滞在三日目は地方の遺跡へ。遺跡といっても凄く昔のという訳ではなく、近年廃村になったベルベル人の集落跡らしい。よくそんなマニアックなとこ目をつけられたなと、俺全然知らなかったよ。
事前に行き方を家庭教師のリームに聞いていたのだ。彼女ザグアーン(Zaghouan)に縁者がいるらしく、そこ迄の行き方はわかるのだが、目的地のズリバ・エラリア(Zriba El Alia)までがはっきりしない。
まぁ、いっちょ行ってみっか。なんとかなんじゃない?
リームが言うには、チュニス南にあるGare routière sud通称ババリワ(Bab Alioua)と呼ばれる乗り場から、ザグアーン行きの"ルアージュ"(と呼ばれる長距離乗り合いタクシー)に乗れと、とりあえずそれでザグアーン迄はいけると。それから先は、多分タクシーで行くんじゃない?って。"じゃない?"ってのがかなり不安だが。
ババリワは初めて行くんだけど、間違って違うバス乗り場に入ってしまった。ちょっと雰囲気の怪しい乗り場だなとは思ったが、二人も何かしらを感じてたみたいだ、凄いな。
まぁ無事ルアージュを見つけて乗れて良かった。ザグアーンではタクシーを呼び止めて値段交渉、二台目で乗れた、意外とスムーズね。でもね、やっぱり懸念の"帰り"問題よ。タクシーが無いんだと。
じゃあ現地で待っててくれない?ってお願いするも、案の定フランス語があまり通じない。いや、通じるのだろうが俺の発音が悪いのか?アラビア語を頑張って使ってもイマイチ。すると運転手の方が意を汲んでくれた、さっすがー。
このように通訳としてはヒジョーに"怪しい"場面が幾つかあったのよ笑。二人は人間観察のプロっつーか、かなり鋭そうな人達だから絶対バレてるだろけどね。そこは笑顔と勢いでカバーよ。人生時にはハッタリも必要よ。虚勢張るべきとこでは張っとかないとさ、ダサいまま終わるの嫌じゃん笑。
ホッと胸を撫で下ろしてその廃村跡を訪ねてみたのだが予想以上に驚いた。とにかく景色の良いこと。そして石造りの崩れた家屋に物悲しい感動を覚えた。かなり崩れてはいるんだけれど、確かにそこで人が生活していた形跡を感じることができた。
その廃村にあるカフェでお茶を。ミントティーの美味いこと、そして景色の良いこと。店主のおじさんが言うには60年くらい前に最後の世代が去ってからここは廃墟なのだと。最初にベルベル人が入植したのが訳500年前くらいで、時代が進むにつれ医療や教育・水資源の確保など日常生活が難しくなって皆山から降りたらしいよ。
来れて良かったな、それもこれもきっかけをくれた二人のおかげだ。
翌日、二人は次の目的地に出発する。空港まで見送り、日本での再会を約束してしばしのお別れだ。結果的にトラブルもなく楽しんでもらえたようで嬉しかったし、勿論俺も楽しかった、何より自分に会いにわざわざこんな遠くまで来てもらうなんてね。俺は果報者ですよ。
二人を見送った後、外で一服しながらまた空を見上げた。
「さあ、次は俺だ。あぁ、やっぱりもう終わるのか...」
今日、日本から客人が、写真学校時代の先生達がね、わざわざ俺を訪ねて来てくれるなんて凄いことじゃない。
やっぱさ、みっともないとこ見せらんないじゃん?焦るよね、顔は慣れた風情に装ってるけど笑。それに、チュニスってモロッコに比べると観光名所とかアクティビティの面ではやはり見劣りするのね。だから、果たして楽しんでもらえるのか心配ではあったな。
宿で荷を下ろして、コースなんて決まってないよ笑。でも付近を一緒に街歩きして、結構喜んでもらえたのよ、テキスタイルの問屋街や教会とか。この教会、事務所の裏にあるんだけど俺初めて入ったよ笑。
他にもハンドメイドのカゴとか電球の周りを覆う木で作ったなにかを売る店とか。結局デカすぎて買えなかったんだけど、楽しんで貰えて良かったよ。
思えば、俺は誰かと一緒に歩くことが殆ど無かったな。楽しいよね、誰かと歩くのって。
クスクス屋にも皆んなで行ったんだよ、喜んでもらえたかしら。そして今日で最後なんだなこれが、寂しいねえ。帰り際店主と一緒に写してもらったよ。
もういないけれど、俺に凄く親切にしてくれた店主の息子のマリオと会いたかったな。聞けば病気で療養中なのだと、早く良くなってね。ありがとうねオヤジさんにマダム、あと強めのお姉さんファティマさん。
その後シディ・ブサイドの砂浜か、綺麗な海だったな。家から近くなのにここも初めて来たよ笑。
カルタゴ遺跡ね、俺はこういうのあまり詳しくないからよく分からないのだけれど、でも二人が喜んでくれたから嬉しかったよ。
これ、ティボーと前に一緒に来といて良かったよ。規模が居住地区を幾つか挟みながらの広大な遺跡だから、初見で一人で訪れるならまだしも誰かを案内するなんて出来なかったかも知れない。
俺明後日帰るんだよな。夕暮れの飛行機雲見てたらなんだかグッと胸が締め付けられてきた。
なんか久しぶりよね、もうあと3週間切ったよ、お留学。
なんか感慨深いネタの一つや二つ語りたいとこなんだけどね、ないのよ、ホントに笑。だって家庭教師はいつものように事務所でやっとるし、食ってるものだってフリカッセにブリックと、いつも通りなの。
今日久々にクスクス屋に行ったよ、2週間ぶりかな。パリで結構出費するだろから節約せんとさ。おととい昨日なんてバゲット一本だぜ笑、哀れだろ?
野菜クスクス相変わらずうんまい。ここ二日間で一気に寒くなって身も心も冷え切ったところにこのアツアツのクスクスよ、ありがてえなぁ。
野菜が甘い。
ここの自家製ハリッサ美味いなあ、ちょっとずつクスクスに付けてたべるのよ。
食後にはお姉さんがマクルードをサービスしてくれたよ。これだけ食べれば明日からまたバゲットで乗り切れる。
いや別に金が無いっちゃ、うんまぁないけど笑、他にも理由があって。フリカッセとブリックを食い過ぎて嫌になりかけてるのよ。これ以上食べたら嫌いになるだろなって。だから、しばらく距離を置いとる。
ここも来れてあと二回かなあ、しっかり味覚えて帰らないとな。
2週間の短い間だったけど、仲良くしてくれたティボーが去るのでいつものクスクス屋へ連れて行った。
俺は魚のクスクス、彼は羊のクスクス。うん、いつも通り美味かった。
寂しくなるね、でもまた会えるよね。今度は東京でね、俺が美味い居酒屋とかラーメン屋さんとか連れて行くからさ。
しっかし、ジェラールといいティボーといいまだ25歳よ。俺ほとんど親だぜ笑、なして若者とこんなに縁があるのかね?悪い気はしないよ笑。若者のエキスを貰っておこうかね。
さてと、バルセロナでは相当抑えたとはいえ、結構スーパーで買い食いしたもんね。出費がやばい笑、これあと1ヶ月相当節約せんとさ。
もう1日フリカッセ2個しか食えんよ、ブリックすら贅沢品になりつつあるもの。
しかしまぁ、日本人でこの短期間に俺ほどフリカッセとブリックを食ってる奴いないと思うよ。ま、だからって訳じゃないけれど、最近思うところがあって。
美味いフリカッセの条件ってなんだろ?俺にとっては、フリカッセはやはり皮の旨さかな。具はね、いかようにも旨くできるのよ、でもイマイチなお店ってやっぱり皮が美味くないのよね。
美味くない皮って美味くないドーナツみたいなもので、パサパサして唾液持ってかれるやつ。一方美味い皮は外はサクっとして中はフワっとモチっとしてるのよね。
中身のフィリングに関しては、俺が行く店は貧弱だねえ。しょうがないよね、1個1ディナール程度だもん。
標準的なフリカッセの中身は、まずハリッサよ、次にマッシュポテトまたは角切りの茹で芋にパセリをまぶしてある。それからツナ、これがチュニジアのやつはイマイチなんだな。あとは茹で卵、これも卵自体がイマイチで。それに種入りオリーブってとこか。ハリッサだけは、"辛口で!"って言うとたっぷり塗ってくれる。
"俺のフリカッセ"を作るなら、いつも行く店の皮に、ハリッサ塗って、ツナと卵は日本のものを使ってみたい。美味いと思うよ。
ブリックに関しては、酒のつまみとしてのポテンシャルがかなりあるんじゃないかなと思ってる。
キチンと皿に乗せて真ん中をナイフで割ったら半熟の黄身がトロリと出てくる、なんて演出は若い子に刺さりそう。これもいつか自作でやってみよう。














































































