「思考の整理学」 | 笑う角には、しあわせきたるの*

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私が向かうべき街まで きっと続いてるの。

思考の整理学 (ちくま文庫)/外山 滋比古

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*出会い

9月。
ママチャリの長い企画が終わり最終イベントのフィードバックをしあう際、
私は自分の考えよりも感情が先に出てしまった。

大きな想いが自分なりに在って、それを伝えたかったのに、
結果的には取り乱してしまったため仲間にそこを心配されただけだった。

「どうして、もっとまとめてみんなに提案できなかったのだろう。」と、

仲間からの励ましの言葉をかけられるたびに自分を戒めた。
同時に自分にはまとめる能力、提案する能力が無いことに気づいた。

ある日、私はふらりと地元の本屋に立ち寄った。

私はこの課題を深められるための本はないかと、自ら自己啓発系の本の方へ向かう。
なんとなく手に取った自己啓発系の本の多くは、
ちょっとした思考の構造を説明した後に、
「あなたがこの行動をすれば、こんな人間になれるぜ!」みたいな、
“著者の理想型に近づける人たち大量生産型”本である。

私はこういう、本質的に全く意味のないと決めている本には興味がないため、
他に良さそうな本がないか探した。

しばらく悩んでいると、父やすまさが早く帰りたがりだした。
私はまだ本を手に取っていない。

私は焦った。

どうしようどうしようと悩んでいるとき、本のラベルに
1986年以来の超ロングセラー
と書いてある本を見つけた。

それを手に取り、早足でレジに向かい勘定を済ませた。

いかにも。
私は単純だ。



* 感想

著者である外山さんは大学の教授も務められており、
学生に向けてのメッセージも多くある。
学生のあり方、教師のあり方、学校のあり方が著者の視点で具体的に書かれていて、楽しめた。
また、1986年の学生たちと2010年の学生たちの傾向に変わりがないため、
読んでいて時代による違いを感じさせることはなかった。
学生は進歩していないというのが現状であるが。。

読み進めると、題名の通り思考をより深めるための生き方、姿勢などを著者の経験をふまえた上で、
昔から伝えられていることわざや権威ある学者の残した名言を基に記してある。
中でも個人的におもしろかったのは、

四章の「整理」

そこでは、コンピューターを人間を比較して考え、
“人間がコンピューターより創造的・独創的であるには”という点から話が広がっていく。
現在コンピューターが普及し、人間のこなしてきた役割の多くはコンピューターに代替わりしてしまった。
それによって様々な職の名前それ自体が消滅し、職場を失う人も出るほど影響力をもたらした。

さらに、コンピューターがそれまで人間が求められていた部分を請け負ってしまったために、
「忘れてはいけない。」といって、
“記憶”と“再生”を教える学校教育のあり方自体を問われることになった。

確かに現在、
コンピューターを開きインターネットに接続すればいとも簡単に大量の情報を受け取ることができる。
そしてそれはとどまるところを知らない。
欲しい情報、得たい知識を探究心のまま、検索にかけることができる。

しかし、それらを入れる私たちの脳スペースには限界がある。
人間はかならず“忘却”というプロセスを避けて通れないため、
コンピューターのように、スペックの限りにデータを蓄積し保存することはできない。

そこで、この本では「忘れる努力」という言葉が記されていた。
ここでは、自分の価値観を強固にし、その価値観にそぐわないものは忘れ、
よりレベルの高いMY脳ファイルを作っていくことが必要。

これはコンピューターにはできない。

先にも述べたが、
コンピューターは使用者の意図により取捨選択されたデータを蓄積・保存することは可能。

しかし、そのデータをよりレベルの高い者に書き換えるという過程は踏めない。
それは、紛れもなく人間にしかできない創造的で独創的な行為だから。

また、MY脳ファイルは個人のみで作り上げることができない。
なぜならMY脳ファイルは強固な価値観が必要であり、
その強固な価値観を作り上げるためには、
自己の価値観を他者の価値観と比較し、自分なりに新しい発見をしていく中で
より分かりやすく、自分にとって腑に落ち、ぶれない価値観ができていくのだと私は思ってる。

価値観がふんわりとしているために、
つまらないことを覚えていたり、それについて悩んでしまうことは
疲れてしまう。

その予防策として、最近自分のアイデンティティを明確にすることが
価値観を強固にする一つの手段であると、仲間とよく談義している。

アイデンティティとは、「同一性」である。
同一性とは、他の者から対立区分されていることでかわらずに等しく在る個の性質を言う。(Wikipediaより参照)

きっかけは私の地元で活動家の共通の友人が、
カンボジアの少数民族に、「お前たちのアイデンティティはなにか」と聞かれたとき、
何も答えることはできなかったという話を聴かされた。

それからというもの、アイデンティティについて考えてみたいと仲間内で思うようになった。

いよいよ長くなってしまったが、書評ではなく別の日記で
アイデンティティについて語りたいと思う。


* まとめ

この本は、思考を整理するための行動や、方法を論じている本ではない。
一個人が、自分らしさを追求する思考を創るために、
著者が必要だと考えた事柄を経験に基づき、著者の視点で論じてある。

それらは、朝ご飯の概念だったり、忘れる/考えることの本意などで、
身近なワードをより深い視点で論じてあるため、著者の価値観をぐっと捉えることができる。

最後まで、どう読むのかは読者次第だというスタンスをくずさなかったところも
私の想像力をかき立て続けた。
著者の勤勉さや洞察力の鋭さを伺える作品である。


* こんな人におすすめ!

・整理整頓が苦手なひと。新しい「整理」が知りたいひと。
・思考ってなんだよ、的なひと。
・ 今持っている知識をより深化させたいと考えるひと。
・ 自分の日常に満足していないひと。
・ 大学生活に対して憤りを覚えているひと。
・ 教授が職業のひと。


次は、パウロ・コエーリョよみたいとおもいやす!

ミヒャエル・エンデのモモ以来物語読んでなかったから、わくわく~♪