講師業に携わって感じたこと、実施したこと:2.研修講師を数年やって感じたこと | “講師の始め方からコンテンツまで” 講師応援ブログ⤴

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「講師として独立を目指す方」、「副業で講師を行う方」、「社内で研修を実施することが決まった方」、「既に講師を行っているが、異なる分野に取り組みたい方」など講師を始める方、更なる成長を目指す方に役立つ情報を提供していきます。

無事、研修講師やコンサルとして法人向けサービスに切り替えることができて数年。

 

しかし、それでやっていけるかとそんなわけはない。

研修やセミナーは提案する商品に形が無く、今のように「動画」というツールもそこまで

メジャーではなかったため、提案しづらい、納得してもらいづらい(特に法人相手の場合、

担当は納得しても、上司や経営者の稟議が必要)という難易度の高さに直面。

更に、福岡という地方都市で研修を業にすることの難しさもあった。

 

立ち上げて、数年の頃を振り返って感じたことをまとめてみた。

 

1.講師はモラルが大切

 講師はある意味、自分で名乗って、顧客が認めれば成り立つ仕事。
知っていることを知らない人に教えるということが基本だとすれば、実施内容が適切で

あったかどうかは受講する側には判断が付きづらい、つまり講師次第ということ。

 どの仕事もモラルは大切だが、研修業界の営業や講師という仕事は、自分自身に相当

なモラルと誇りを課しておかなければ、やってはいけない仕事だということを感じた。

 

2.何をどうすればいいか全く分からない

 研修会社に就職した訳ではなく、起業したので、スタートした時は、コンテンツはおろか、

どう営業をすればいいかのかも全くわからない。

 どういう提案書が必要なのか、研修資料はどのレベルで作成する必要があるのか、何を準備

しておけばいいのか等々。

 幸い、コンテンツを提供してくれた協力会社がいくつかあったことで今に至るが、1番目の

モラルの点からしても、ここは育成に関わりたい人にとって大きな障壁になるなと感じた。

 

3.実績が重要

 提供できるコンテンツができたとして、次にあたった壁が「実績」だった。研修やセミ

ナーは、形がなく試すことができないだけに、研修を実施する企業は決断しづらい。従って、

どういう背景を持つ講師なのかということもさることながら、提案する研修コンテンツは

どのくらい実施していて、どういう評価だったのかという実績が重要になることがわかった。

 つまり、どんなコンテンツであれ、実績が無い時点で、余程関係性が築けていなければ、

検討のテーブルにさえ乗らず、取り入れてもらうことは難しいということ。ここも、大きな

壁だと感じた。

 

4.コンテンツ開発が想像以上に大変

 最も強く感じたことである。何事も見えないところにこそ、コストがかかっているものだ。

1日の研修でさえ、お客様の要望にそってゼロから創るとすると、膨大な時間と労力がかかる

ということが分かった。(要望に沿う実施内容の検討、リサーチ、伝える内容やワークの効果

を最大化するための伝える順番の検討、カリキュラム確定、時間内に収めるタイムスケジュー

ル決定、テキスト・ワークシート作成、受講側視点にたったシミュレーション、シミュレー

ションに基づいたメッセージ検討、修正など)

 既にできている基本コンテンツがあったとしても顧客の業界や要望に合わせカスタマイズ

を行うため、既存コンテンツですら、相応の時間を投資する必要がある。更に、終了したら

研修中の受講者の反応やアンケート結果をふまえ、忘れないうちにコンテンツをブラッシュ

アップするため、終了しても時間がかかる。

 それが仕事とはいえ、もう少し効率化できないものかと毎回思っていた。

 

5.テーマは同じでもアプローチは千差万別

 スタートこそ一人だったが、今では提携先企業や登録講師に様々な企業で様々なコンテン

ツを実施してもらっている。できる限り、オブザーブを行うが、同じテーマや目的であって

も、そこに至るまでのアプローチや活用する理論、ワーク、ロールプレイングは実に様々だ

と気付く。

 しかし、他の講師の研修を講師がオブザーブする機会は、実は少ないらしい。お互いに共

有することができれば、フィードバックし合ってコンテンツのブラッシュアップにつながる

のに、非常にもったいないと感じていた。

 

6.提供先が限定的

 全国に拠点を持つ研修会社や、日本で唯一のコンテンツを持つ会社や講師でない限り、

研修の提供先は研修会社や講師がいるエリアに限られがちということが分かった。

 それは、認知度の問題もあるし、エリアをまたぐと依頼する側に交通費や宿泊費の負担

が発生するから。また、各地に研修会社や講師はたくさんあり、比較検討にも限界がある

から。(今のように、ほとんどの企業がオンラインMTGができる環境にはなっていなかっ

た。)

 つまり、いいコンテンツであっても限られたエリアでしか実施されていないことが多い

と分かった。実際に、コンテンツにオープンな大阪の講師のオブザーブをさせてもらった

ことがあるが、最高のコンテンツだった。そのコンテンツが大阪でしか実施されていない

のは、なんて惜しいことだと心底思った。

 同じように、とてもいい研修コンテンツが、エリアに埋もれているはず。それらを展開

できれば、成長を望む法人、個人にもっと貢献できるのに、と考えた。

 

7.ビジネスモデル

 研修・講師業は、いわゆる労働集約型ビジネス。どんなスペシャル講師でも身体は一つ。

開発した講師のみが実施しているコンテンツの場合、どれだけいいコンテンツであっても、

その講師が登壇している日は、当然ながら、その研修は他で実施されないということ。

 これまた、非常にもったいないことだと感じた。世の中に展開されれば、自分が動けな

くても、他の講師が実施することで、成長を望む人達に貢献できる。自分自身、創業時に

3社にコンテンツを提供してもらうことができ、それらの研修を実施することで多くの企業

様や受講者に喜んでもらえている実体験を持っているので、強く感じる。

 

 

8.喜びややりがいと自らの気付き・成長

 

 享受できる喜びややりがいは大きい。わずか1日の研修でも変化する受講者は大きく変化

する。ましてや、数日や実践を挟んでのフォロー研修で会うと、変化が確認できる。1:多

でアプローチできて、個人や組織の実際の変化につながっていく、その姿を見たり、フォロ

ー研修で変化を確認できたり、人事や研修担当者から変化を共有されたりするのは、今まで

に味わったことのないやりがいであった。

 

 目的やゴールをふまえ、それをプログラムやカリキュラムに組み込んで、はまった時の、

満足感も、完全に自己満足だが大きい。自分も講師を目指したいという声をいただいたり、

数年経った後でも、とてもいい研修だった、役に立った、こんな言葉が印象に残っている

と各所で声をかけてもらえることも。

 

 また、成長する機会は人に伝えることとはよく言われるが、まさにそうで、研修の内容

を考える中で頭の整理がなされ、適当なことは伝えられないので、改めて調べということを

やっていると、自分の成長に気付く。更に、研修中の受講者のワークアウトプットや発言、

発表から大きな気付きを得る機会も多く、成長速度が上がったと感じる。

 

 

 コロナ禍や技術の変化を受け、オンライン研修や動画の活用など、現在は提案方法も拡がり

エリアの問題も物理的には、飛び越えやすくなっている。

 もちろん、競争も増えているということではあるが、それもやり方次第。AIが発達しても、

人と人が直接やり取りを行う研修は、絶対に無くならないので、講師になる人がたくさん増え

るといいなと思う。