【具体的な外傷の対応や予防法について】

Q:子どもがゲーム中に倒れこんでもゲームを再開させようと特に何のチェックもなく抱きかかえて(もしくはおぶって)運び出す姿も多く見られます。まずは運び出す前に確認すべきことはなでしょう?素人にもできるチェック方法などはありますか?
A:日本は怪我よりも試合運営を優先させる傾向がかなり強いです。また、日本の先生は知らないにもかかわらず自分で何とかしようとする傾向もあります。
これを防ぐためにはその場所に専門家を置く以外にありません。
特に脳震とうや頚椎損傷などは専門家でも対応が難しいのです。こういった重篤なケガに関して専門家以外には対処法を伝授しようとは思いません。生兵法は怪我の元です。
ただし意識を失って倒れた選手がいる場合の対処は一刻を争うので覚えて欲しいです。分からなけば、その場から動かさずすぐに救急車を呼びます。
しかし、呼吸や心臓が止まってしまっている場合は救急車の到着を待たずに心肺蘇生やAEDを始めなくてはいけません。うつ伏せや顔が見えない状態で倒れていることもあります。まずは気道を確保する必要があるので、ゆっくりと仰向けにします。できる限り頭を固定しておきます。

Q:最低限、一次救命の知識は得ておく必要がありますね。
A:その通りです。心肺蘇生法やAEDの操作法などは一般の方でも講習を受けられるはずです。指導者の方であれば必須です。

Q:脳震とうを起こした子どもへの対処として、コーチや保護者が知っておくぺきことはなんでしょう?
A:脳震とうに関しては、まずは脳震とうそのものが何かを知って頂きたいです。保護者には特に医者の代わりになってモニターしてもらいたいです。コーチだけでなくレフリーにも知って頂きたいです。

Q:脳震とうを起こした後、復帰までには医師の許可を受けた方が良いとは思いますが、脳神経外科医ならどなたでもスポーツ復帰のプロセスに精通されていますか?
A:残念ながら脳神経外科の先生でも脳震とうに理解がある人は少ないです。現在では脳神経外科では組織的な損傷がないことを確認するだけという認識を持つしかありません。

Q:脳震とうはレントゲンなどで外傷部位や損傷部位を見ることができないから、ということが大きいのでしょうか?
A:そういえると思います。画像ではなく、症状やその回復具合を見ていくしかないのです。機能障害が主なのですから。
 

Q:やはりラグビーでの発生が多いですか?
A:そうですね、ラグビーやアメフトが多いです。サッカー部ではめったにありません。ただ、気を付けなければいけないのは脳震とうが多発する種目の指導者の方々は脳震とうの怖さを良くご存知(自分も経験がある、など)なのですが、めったに起こらない種目で起きた場合、「これくらい大丈夫だろう・・・」と誤った判断をしてしまう、という怖さがあります。指導者であれば、きちんとした知識を得てほしいです。
 

Q:熱中症の予防や対策についてお話を伺わせてください。顧問の先生や保護者との連携はいかがですか?
A:コーチには夏の練習開始時期には、暑さに慣れされる期間が必要だということを毎年話して回ります。暑い日は特には特に全員に声をかけて回ります。 

Q:練習メニューの強度や時間について、高橋先生が顧問の先生たちに意見することなどはありますか?
A:あります。コーチとのコミュニケーションは非常に重要です。

Q:暑さに強い身体作り、というのはできるのでしょうか?親がサポートできることはなんでしょう?
A:睡眠、食事、クーラーの制限、などでしょうか。水筒の大きさも気にかけてください。小さい水筒しか持っていない生徒もいます。とにかく大きいサイズを用意してください。そして、水分はもちろんなのですが、それ以上に大事なのが「食事」。
一般的にも良く言われていますが、本当に朝食を抜いてくる子が多くいます。量を食べる必要はありませんが、きちんと朝食を食べさせてください。

Q:熱中症は再発しやすい、という話もあります。スポーツへの復帰基準のようなものを高橋先生は設けておられますか?
A:ちょっと頭痛が出た程度ではあまり規制はかけませんが、倒れてしまったら少しは休むように説得します。

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