松本隆さんの詩が大好きなのですが、別れと雨の表現が特に好きです。
好きなフレーズTOP3は、「雨はこわれたピアノさ」「雨は斜めの点線」「幾千粒の雨の矢たち」で、
どれも歌いだしやサビにあるパワーワードで、ザクっときます!

「バチェラー・ガール」

雨はこわれたピアノさ 
心は乱れたメロディー
My Bachelor Girl

向かい合う傘の中 君は横に首を降った
これ以上会えないと 予想通りの辛い答えさ
すれ違うバスが水たまりはねてく

雨はこわれたピアノさ
心の鍵盤を叩くよ 

My Bachelor Girl


心をかき乱す音楽を叩きつけるような激しい雨。
こわれる前のピアノの美しいメロディーとの対比で、駆け引きに翻弄された男性の心が伝わります。
歩道を鍵盤に見立てていることで、下を向いて落胆の大きさが伝わってきます(涙)


「瞳はダイアモンド」

愛してたって言わないで・・・
映画色の街 

美しい日々が
切れ切れに映る
いつ過去形に変わったの?

あなたの傘から
飛び出したシグナル
背中に感じた追いかけてくれる優しさもない

ああ、泣かないでメモリーズ
幾千粒の雨の矢たち 
見上げながら
うるんだ瞳はダイアモンド

恋人の心変わりでふさいだ心をさらに傷つけようとする雨。
でも実は自分の涙がその矢から守ってくれていて、上を向くことによってさらに輝きをましている、まるで宝石のように。
けなげな女性が現実を認めたうえで自分の力で前に進もうとする強い意志と美しさが感じされて大好きです。


「いつか晴れた日に」

雨は斜めの点線

僕たちの未来を切り取っていた
窓の板ガラスへと“自由”って
言葉を書いては消した

Cring like the rain
生きることは悲鳴だね
時代の海を
木の葉のように迷うだけ
ただ涙は青くこわいほど透けていた

いつか晴れた日に君と
野に咲く花を探そう
いつか晴れた日に君と
いつか明日天気になあれ
いつか雨のち晴れ
Ah! ah! Clear sky

ピリッと点線で切り取られた未来は二人で描いた夢だったのでしょうが、

窓越しに外を眺めている表現からはどこか他人事かかなり過去のことのようにも見えます。
淡々としているにもかかわらず、「別の道」ではなく「切り取られた」とあるため

失ったものの大きさと喪失感がうかがえます。


“雨”には喪失と晴天への希望が含まれています。
「止まない雨はない」
“夜”も同じ意味合いで使われます
「明けない夜はない」
絶望と希望は歌詞にはなくてはならないものですが
雨のほうが叙景的な表現となり、直接的な言葉を使わずに心情を表現できるので個人的には好きです。