1965年に公開された日本映画です。
監督 山本薩夫
主演 三國連太郎
山本薩夫監督は1961年に
「松川事件」を題材に
ドキュメンタリー的劇映画を
作っています。
「松川事件」は1963年に
最高裁判決を経て
それまで有罪だった人達が
逆転無罪を勝ち取っています。
だから1965年には
プロパガンダ的意味合いは
なかったと言います。
映画は松川事件がモデルで
高裁で実際に証言した窃盗犯が
主人公です。
映画では「杉山事件」と
呼ばれていますが
事件の細部も支援運動も
松川事件のそれです。
しかも映画は喜劇仕立なのです。
三國連太郎さん演じる窃盗犯が
彼を執拗に追う刑事に
脅されながら悩んだ末に
最後には法廷に立ち証言します。
この証言シーンこそが
山本薩夫監督が描きたかった
所ではないでしょうか?
刑事に時効になった事件で
脅されていた彼は
法廷でその嘘を
「ウソつきは泥棒のはじまり」と
傍聴席を笑わせます。
この場面は痛快で笑えました。
ここに国家権力と個人が
対比されているように感じたのです。
それは普遍的な問題であり
松川事件で無罪を勝ち取った以後に
この映画が作られた意味です。
三國連太郎さんの
最後の法廷での証言シーンは
チャップリンさんの
「殺人狂時代」や「独裁者」と
あい通じるものを感じました。