この話は
僕が小学生か中学生の頃でしたから
父親も40前後の頃の
事だったのでしょう。
当時は当直というのがあり、
父親も月一くらいで
当直がありました。
当直というのは学校に一晩泊まり
見廻りをする役割でした。
宿直とも言いますね。
父親の当直日ではなかったのですが
同僚の先生が当直の夜に
見てはならないものを
見てしまったのです。
高校は
後に僕も行った高校なのですが
教室が並んでいる校舎の側から
地下通路を通り
屋内体育館につながっています。
小樽は坂の街なので
地下に降りたのに屋内体育館の
広い玄関から外に出ると
普通に地上出口なのです。
その玄関の横に階段があり
四階分くらい昇ると
そこに体育教官室がありました。
教官室には体育館側に
小窓があり
天井の高い体育館全体が
見下ろせるようになっています。
さて父親の同僚教師は
校内を見廻り体育館を最後に
見に行ったそうです。
体育館を全体見渡し
当直室に戻ろうとした時
体育館側から見上げると
体育教官室の小窓から
裸電球の灯りが漏れています。
体育教師の誰かが
灯りを消し忘れたのだろうと
その先生は思い
四階分の階段を昇って行きました。
体育教官室のドアが
半開きになり
中の椅子に一人の先生が
少しうつむくように座っていました。
その先生は
先ごろ亡くなった
体育教師でした。
見廻りをしていた先生は
腰を抜かし
這うように
当直室に戻ったと言います。
僕の父親はその先生から
話を聞き家族に話してくれました。
というのも
その亡くなった先生も
父親の同僚だったので
実はうちの家族も
よく知っていたのです。
小樽では冬場の体育の授業は
全てスキー授業で
その先生にスキー販売店を
紹介してもらったりしたことが
あったのです。
「かつがれたんじゃない?」
と母親が言いました。
「そんなこと言うような
先生じゃない」
と父親は力説していました。
父親は結局その体育教師に
当直の時も
出会う事はなかったようです。
しかし何人かの教師が当直の時に
その体育教師を見かけ
ついには
神主さんにお祓いをお願いしました。
当時は北海道新聞にも
お祓いしている記事が
出ていたと記憶しています。
僕の在学時も
つくりは一緒でしたが
今は全面改築し
全く違う校舎になっています。