会社からの帰りに北千住で
大手町から乗ってきた千代田線にそのまま乗って柏に帰るか、
常磐快速に乗り換えて帰るか、いつも迷う。

常磐快速はいつも混んでいるので決して座れないが、
柏に早く着く。

いや、待てよ、このまま千代田線に乗っていれば、
この俺の前に座っているマスオさんのような奴が
もしかしたら次の駅の綾瀬で降りるんじゃないかとか
考え始めると、北千住で死ぬほど悩むのだ。


そしてマスオさんが綾瀬とは言わない、
せめて金町あたりでは降りるだろうと賭け、
何度、マスオさんと柏まで一緒に帰ったことか。
時間は掛かるわ、ずっと立っていて疲れるわ。

それぐらい立って帰ればいいじゃんって
思うかもしれませんがね、いやいや、毎日のことですと
結構、通勤って大変なんですよ。


さて、先日はノリスケさんみたいな奴の前に立っていて、
また、北千住で迷った。

ノリスケは亀有で降りる、そう賭けて千代田線に乗り続けた。

予感的中。ノリスケは亀有で降りた。


やっほーいって席に座ったら、俺の前にフネさんみたいな人が
着物を着て、辛そうに立っているじゃないか。


恐るべし、サザエさん一家。


俺は泣く泣く、フネさんに席を譲り、重い足取りで
家路をフラフラ歩いていたら、塾帰りの子供が自転車で
突っ込んできた。

おい、痛てぇじゃねえか、カツオ。


しかし捕まえてシバキ倒すことなどしない。
その気力もない原因はわかっている。

家には俺の残りの体力をすべて奪い取る
息子たちが待っている。

そう、タラちゃんとイクラちゃんが。


ふんが~、ふっふん。