こんにちは、ヒスペディアです。本日はバビロン捕囚の後のヘブライ人(ユダヤ人)を見て行きます。教科書にはこのようにあります。

 ユダヤ人は約50年後にバビロンから解放されて帰国すると、イェルサレムにヤハウェの神殿を再興し、ユダヤ教を確立した。

 ユダヤ人=ユダヤ教徒という現代の認識が最初についたきっかけはここにあります。民族自決という概念が生まれた今でも、人口比や領土の関係から自分の国家を持てない民族はいくつもあります。ただし、その全てが国家を欲しているわけではありません。民族比率が少なくても、国家に所属して生きていくことを選ぶ民族もいます。時代とともに、文化も失われ、同化の道を選んだ民族もいます。しかしユダヤ人は国家を失ってからも文化を失うことなく、現在まで行き続けました。ケンカを売ってみましょう・・・

 解放ってどういう意味じゃ!

 前も言ったようにアケメネス朝ペルシアが解放した。解放というのは簡単に言えば、自治を認めることだ。つまり、ユダヤ人が旧ユダ王国領の総督としてアケメネス朝から任命されることを意味する。

 このことは、古代オリエント史に関する現代人の見方に大きな影響を与える。ユダヤ人にとって都合の良い国が善、都合の悪い国は悪、という扱いがはっきりする。

 ユダヤ人にとって最も関わったオリエントの国家は、ヒッタイト、新バビロニア、アケメネス朝。ユダヤ人の国家を消滅させたヒッタイト、新バビロニアは悪で、ユダヤ人に自治を与えたアケメネス朝は善と、ユダヤ人から見た印象は決まる。この印象が文字としてはっきり写るのが『旧約聖書』だ。世界一のベストセラーと言われる『聖書』が与える印象はそうそう拭い去られることはない。

 特に、ユダヤ人に深く関わった君主は『旧約聖書』の印象が強くついてしまう。イスラエル王国を滅ぼしたアッシリアのティグラトピルセル3世、ユダ王国を滅ぼした新バビロニアのネブカドネザル2世は暴君と扱われる。そしてその新バビロニアを滅ぼしたアケメネス朝のキュロス2世は名君として扱われるのだ。

 次回より、再びオリエントの歴史に入っていく。内容は、オリエントを統一したアッシリアから始めていくが、今回の『旧約聖書』の歴史観はつかんでおいたほうが良い。