ホテルKは、ここラブホテル街界隈において一番コスパがいいものだから
まだ20時前後で夜の早い時間帯だったにもかかわらず、
既にかなーり埋まっていたわ
いつでも不思議なのは、ガレージ形式のホテルなのに、
その肝心のガレージにほとんど車が駐車されていなくて在室となっているところ
たまに軽トラとか、いつぞやは1台の自転車までもが、
ガレージの中央に我が物顔ででーんと駐輪されているのを見た日にゃー、
うーむ、高齢で免許を返納したおじぃが年金受給日に
いそいそとデリヘルでも利用しているのかー?って
こちとら、物書きのロマンがついつい掻き立てられずにはいられなかったわね
ホーント、その尽きぬ性欲、精力、探求心、人生の先輩として大尊敬です!
…って、知らんけど、笑、ま、あたしの完全なる妄想だからね、笑
これを書いている金曜の朝、
今週は立て続けにセフレトライアルを行ったものだから
今では誰とどーんな会話をしたのか、
熱されたフライパンの上で跡形もなく溶けて広がるバターのよーに、
混沌と溶け合って分からなくなってしまってるけど、
それでもぼんやりと耳の奥に覚えてる、あの馴れ馴れしー口調はやーっぱ、
このタツキだったのでしょ、
彼はホテルKのゲートをくぐった時、こー言ったのよ
「俺、このラブホテル街は知っていたけど、このホテルは知らなかったよ
いつもなら、ホテルVとか使ったりしているんだよな」
「あぁ、ホテルVね!まだホテルの内装、雰囲気にこだわりたい、
情事初心者カップルが愛用するホテルだわね
そもそもこのホテル街の中心をこの大きな川が流れているでしょ、
そんでもって、この川の東側に中級~高級なラブホテルが乱立してる
それから、あたしたちのいるこちら側、まさに川の西側は
東側に比べるとホテル内装もサービスもやや落ちるけど、
その分、料金もほぼ半額でお安く利用出来るのよ
相手次第で使い分けるのもアリかもね
もーね、あたしぐらいにもなると、水回りだけちゃーんとしてさえあれば、
どーせ直ぐに服を脱いで薄暗い中で事を始めるだけだし、
そんでもって、事の最中は、快楽で
ほとんどぎゅーっと目をつむったままなんだから
備え付けのソファーが多少破れていようとも、
壁紙が多少剝がれていよーとも気にならないわね
むしろ、まーったく視界に入らないってヤツ?」
おほほ、あたしったら、ついつい老婆心で
要らぬアドバイスを長々としてしまったわ、笑
「さっすが、手馴れてる、笑
よく覚えておいて、今後、参考にさせてもらうよ」
それにしても、毎回、この川沿いのラブホテル街を訪れるたびに思う
よくもまー、こんだけラブホテルを一堂に集めたりしたもんだなって
ほら、昔から「河原乞食」とかの言葉があるよーに、
物乞いや、落ち武者のなれの果てとか、梅毒とかを患って都落ちした遊女…とか
元々は、いろいろ訳ありで社会の底辺にまで落ちぶれてしまった人々の
巣窟であったのが、まさにこーんな川沿いであったわけだし
そのいわゆる「穢れ」の精神が、
ここのラブホテル街にも脈々と受け継がれているなと
そ、「セックス = 汚いモノ」ってね
実際、他県出身のメンズにこのホテル街を案内すると、
ちょーっと異質に感じるのか、驚かれてしまうしね
「よりによって、住宅街に接する川岸に集結してるだなんて!」と言う具合に
さて、いかにもその堂に入った、あたしの水先案内人ぶりに
彼らは素直にあたしに身を委ねたくなるのか、それとも単に面倒臭いだけなのか
毎回あたしに「どの部屋にする?どの部屋がいいの?」って訊いてくるわね
だからあたしもついつい面倒臭くなって、
車庫入れしやすい左側の棟の空いている部屋、
中でも水回りの悪い207号室と部屋の照明に難のある204号室だけは避けると
大体気が付けば、206号室に入りがち
そんでもって、今週は月火水と連続して、
もちろんその都度違う相手と206号室を使ったことには、
クスリと1人で笑ってしまったものだけど
だけど、箱はたとえ同じであったとしても、
相手違えばその都度、部屋の景色もそこで生まれるドラマも
1人1人違ってくるのが情緒ってもんでしょ、笑
さて、今週トップバッターのトライアル生、タツキには
予めこちらからちょーっとばかりたどり着くのにコツがいる、
ホテルKへの行き方を自ら確認しておいて貰うため、
メールにそのリンクを貼り付けて案内しておいたはずなのに
タツキのヤツ、「え?そんなのあったっけ?いや、知らない」って!
すーっかりと見落としてくれていたものだから、
あたしは助手席で面倒くさいなーと思いつつもナビをしてあげたのね
そーんな調子で、相変わらずの空気を読まない、読めないタツキのことだから
こちらがトライアル要項の中の1項目として挙げた、
「あたしへの炭酸水(無香料・銘柄不問)を差し入れすること」についても
どーせ忘れているんでしょって、高を括っていたら、
サイドブレーキそばのドリンクホルダーに
ちゃーんと炭酸水ボトルが用意されているのを見て
あたしも思わずホッとしてしまったわ
「良かったー、まーったくの空気が読めない、
おバカなメンズでもなかったのね」って
あたしのそーんな視線に気付いたのか、タツキも得意気にあたしに言ったのよ
「ほら、炭酸水は用意しておいたよ♪」
あー、ハイハイ、坊や、よーく出来ましたねぇ!笑
ま、いいわ、知性・教養なーんかは、セックスには全然関係ないから
むしろ、足かせにさえなって、時として邪魔したりするものだから
あたしが先になって、ホテルの部屋へと続く階段を登っていくわけだけど
あたしはその時、ぼんやりと我がメンター、
通称・教祖様の言葉を思い出していたわ
教祖様はSNSが大の苦手なあたしに代わって、
SNSでの発信を手伝ってくれていたりするのだけど、こー言われたことがあったのね
「キデさんの性生活における、余りにの破天荒振りさ加減から、
どうもまだ、SNS利用者からはキデさんのことをAIかのように思って、
キデさんのブログ、インスタが完全なるフィクションだと
思い込まれているみたいですよ
だから、キデさんはちゃんとこうして実在することを証明するためにも
徒歩での通勤途中や、ブログを書いているところなどを
是非とも動画で撮ってください」
それなら、こーして、セフレトライアルや逢瀬のために、
ホテルKの部屋の階段を登る足元だって動画で撮ってみるのも面白いかも
だって、それこそがあたしの揺るぎない日常だったりするわけだし
だけど!!
そーやって、実際に階段を登る足元を実験的に動画で撮れたのは、
水曜日のトライアル生、マサヤとの時だったわね
だって、火曜はあたしの古株セフレ、ハルト師範代との逢瀬の時には
久々の逢瀬でお互いはやる気持ちでこの階段を駆け上ったものだから
動画を試し撮りするなーんてこと、すーっかり忘れ去ってしまっていたものだし
その後も、木曜の逢瀬の相手、黒人セフレ・アレックスとはまたしても
あたしの生理の始まりと重なって急遽キャンセルとなってしまったわけだし
それを伝えると、
「そうかと思っていたよ、だいたいキデの生理は毎月4-7日の間に始まるからね」
って、さっすが、優秀な元・セフレの貫禄、お言葉!
え?確かアレックスとは
関係を円満解消していたのではなかったっけ、ですって?
うふふ、それについては、この連載記事の後の回を読めば分かる筈よ、笑
おぉ、それからここでもちゃーんと触れてあげないと、
やきもち焼き屋の彼のことだから、独りでプンプンとお冠になーっちゃう、
内科医の愛人、Dr.レオとも翌日の金曜に逢瀬の約束を入れていたけど
同じく生理という理由で急遽キャンセルになったのね
尤も、あたしと彼との最近のブームは専らコスプレだから、
このプレーンなお部屋の206号室ではなくて、鏡張り特別室の201号室が行きつけで
そこでSNS用の動画、画像も一緒に撮ろうと約束していたのだけどね
ま、それも当然、延期だわね、笑
おっと、古株読者の方なら、記憶のどこかに残ってくれているかも知れない
そ、この201号室は、あたしの現夫から始まって、
叩き上げセフレ・タツノスケ師範、それから
アレックスも実はお気に入りの部屋だったりするわけ
うふふ、どっからどー切り取っても、
メンズとの悩ましーエピソードに事欠かないわね、
このホテルKは!笑
まるで、あたしのセカンドハウスみたいね、笑
メンズとの日夜繰り返される、そーんなドラマに支えられて
あたしの所有する、ホテルKのポイントカードは着々とそのポイントを増やし
興味ないから確かめたことないけど、恐らく今ではVIP会員で、
それなりに割引率だって大きくなっている筈よ!笑
だって、タツキをはじめとした、数名のメンズから
「え?こーんなに料金安いの?!」って驚かれたりするものだから
おっと、そのタツキの話だけど、ついつい話を端折り過ぎて、
いきなりホテル料金精算の話になっちゃったけど、
次回こそは、それに至るまでの本番の話をしないとね!笑
to be continued...