「ね、舐め犬クン、お風呂のお湯、入れて来てよ」

 

あたしと舐め犬クンはホテルの部屋に入って

 

荷物をテーブルに置くなり、あたしが彼にそーお願いしたのは、

 

2人の逢瀬出来る時間が限られていたせいじゃないわ

 

独身の彼は言わずもがな、

 

セフレメンズから「見なし独身の人妻」とも呼ばれるあたしは

 

夫へは事後報告で、いつでも自分のその時の気分次第で

 

外泊だって自由気ままに行えたわけだから

 

少なくともあたしにとっては、

 

今夜が実に2か月ぶりぐらい久々の男との逢瀬だったし

 

それだけに、一刻も早くセックスにありつきたいと言う想いも強かったわ

 

だけど、そのためには今すぐ裸足で風呂場にお湯を張りに行く必要があって

 

そーするには長い爪で脱ぐにはちょーっとひと苦労の

 

網タイツを履いていてムリだったせいね

 

「うん、分かった」

 

舐め犬クンは快く返事をすると、バスルームへサッと消えたの

 

そんでもって、そのまま洗面所で

 

シャカシャカと歯を磨く音も聴こえて来たわけだから

 

うふふ、待ち切れずにいたのは、何もあたし1人だけじゃなかったみたいね、笑

 

あたしも持参した、ヴィトンのバニティーケースを洗面台に持って行くと

 

そこから逢瀬の三種の神器の1つである、

 

アメリカ製のマウスウォッシュを取り出して

 

歯を磨く舐め犬クンの隣で、ブクブクとうがいを始めたのよ

 

マウスウォッシュを口にふくんだままで、あたしは部屋備え付けの精算機に

 

メンバーズカードをまだ通していなかったことを思い出して

 

自分の財布からカードを取り出しに行ったの

 

そんでもって、機械に何度か通してみるものの

 

なぜかずーっとエラー表示されて上手く読んでくれない!

 

いつしか歯磨きを終えた舐め犬クンがあたしの隣に並んで

 

様子を見守ってくれていて、こー言ったのよ

 

「…ひょっとしたら、カードの磁気が飛んでしまったのじゃないのかな?」

 

「そーね、実際、あたし、よくカードの磁気を飛ばしちゃったりするしね」

 

そこで、あたしは部屋のテーブルに置いてある、

 

新規会員用のカードと差し替えよーとして取りに行ったら

 

何て言うこと!!

 

あたしがさっきまで懸命になって何度も機械に通そーとしていたのは

 

違うホテルのメンバーズカードだったのよ!!

 

あちゃー、あたしとしたことが、何たる凡ミス!!

 

ほら、ね、いくら百戦錬磨の女を自認していよーとも、

 

この2か月間のブランクはやっぱ、その勘さえも鈍らせてしまうでしょ?

 

さて、そーやって無事にカードも機械に通した後で部屋に戻り

 

自動止水のお湯張りが済むまでの間、あたしはベッドの縁に腰掛け、

 

舐め犬クンは少し離れたソファに腰掛けていたわ

 

うーん、ホントはこの間に、逢瀬出来たのは久しぶりだから

 

熱い抱擁など交わして、キスの1つや2つぐらいしておきたい

 

だったら今すぐ彼のそばに行くか、あるいは彼をこちらへ呼び寄せればいいのに

 

この期に及んでも尚、こーして若干の遠慮があるのはなぜなの…?

 

狭い部屋の中で、どんどんと高まっていくあたしと彼との性欲と

 

おまけにあたしの場合はこーやって人知れず

 

ごちゃごちゃと考えていたりしたせいもあったのか

 

部屋の換気扇だけがうるさく回って、季節外れの寒さの中、

 

まだ暖房さえ入れてもいなかったのに

 

あたしは急に体が熱くなって服を脱ぎ始めたの

 

「お風呂はまだみたいだけど、暑くなってきたから先に服を脱ぐね」

 

「それじゃあ、僕も一緒に服を脱ぐよ、僕も少し暑いと思っていたんだ」

 

いつもなら!!

 

ここぞとばかりに、メンズはあたしのちょっとしたストリップショーを

 

チラチラと盗み見しながら楽しむところだったりするのだけど

 

舐め犬クンの場合は!!

 

元々、女性のランジェリー姿にはそれほど興味もなさそーでスルーだし

 

逆にあたしの方が、服を脱ぐ彼の、

 

一挙手一投足に思わず見入ってしまったわ、笑

 

なぜなら!!

 

舐め犬クンってば、ちょーっと見たことのない、

 

足袋のよーな二本足のソックスに

 

実は上野公園よりはるかにパンダ王国🐼でもあったりする、

 

南紀白浜のアドベンチャーワールドにでも行って

 

わざわざ買って来たのかしらんと思わせるよーな

 

パンダ🐼と小動物がドットみたいに可愛く散りばめられた

 

淡ーい水色の、ボクサーブリーフを履いていたんだもん、

 

そりゃあ、可愛いモノ好きの女子の性(さが)として

 

思わず見入っちゃうってもんでしょ?!

 

しかも、それを30過ぎなのに、実に嫌味なくさらりと履きこなしてる、

 

舐め犬クンってば、ある意味、最強…!!

 

そんでもって、そーんなキュートな1面を見せてくれたかと思うと

 

舐め犬クンってば、どこかオドオドした顔に似合わず、

 

細マッチョでお腹は締まっているし

 

両腕だって何気に筋肉がついて程よく逞しーじゃないの!

 

そーね、その見るからに硬く締まった両腕の筋肉は

 

昨今流行りの筋トレなんかで作り上げた、

 

張りぼてフェイクのやわやわバルーン筋肉ではなくて

 

日々の労働によって培われた、機能する本物の筋肉ね!

 

これまでいろーんなメンズのボディを見て来たおかげで

 

ええ、意図せずともあたし、

 

メンズの筋肉の真贋(しんがん)を見分けるのが

 

得意になってしまっていたのよ

 

「舐め犬クンって実は細マッチョだったりするのね!

 

その両腕の筋肉、筋トレじゃなくて自然と仕事で出来たものでしょ?」

 

「腕…?ああ、これね、そーだね、

 

仕事上、重い荷物とか運んだりすることがあるからかな」

 

舐め犬クンはそー言うと、

 

細マッチョのボディーにパンダ🐼柄のパンツスタイルで

 

おもむろにベッドに近づいて来たわ

 

ちょーどあたしの目線の高さにあった、彼のそのパンダ🐼柄のパンツの前側は

 

おや、舐め犬クンらしからず、こんもりと盛り上がっていたわね

 

さっき、彼はあたしに予め弁解するかのよーに、こー言っていた筈だったけど

 

「キデさん、ごめんね、僕、まさか今夜突然キデさんと

 

逢瀬出来るとは思っていなかったから、昨夜、たくさん1人でしちゃったんだ…」

 

…ひょっとしたら、今夜はちょーっと、あたしたち、違った夜を迎えられそう?

 

舐め犬クンは、あたしの隣に腰をかけると黙ってあたしにキスをしたの

 

そーやってキスをしたままで、優しくあたしをベッドの上に押し倒したのよ…

 

 

to be continued...

 

 

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