美形ルックスと確かな演技力で日本でも高い人気を誇る俳優、イ・ジュンギ(31)の最新主演ドラマ「TWO WEEKS」が来年1月18日からKNTVで日本初放送される。殺人のぬれぎぬを着せられ、追われる身となりながら、白血病の娘に骨髄移植をするため必死で逃げ回るテサン役を熱演したジュンギ。注目は、激しいアクションや数々の変装シーンとともに、初の父親役で見せた父性愛演技だ。同作品を通じ、「第2回大田ドラマフェスティバル『2013 APAN STAR AWARDS』」で最優秀演技賞を受賞するなど演技者としてさらなる飛躍を遂げた彼に、ドラマの見どころや撮影の裏話などを聞いた。
成長したい…先生を信じて挑戦
--今回、脚本家のソ・ヒョンギョンさんに説得されて出演を決めたと聞きました。どのように説得されたのですか?
「初めて作品に触れたとき、演じるにはとても難しい作品だと思いました。30代前半の子供を持っていない僕にとっては一度も考えたことのない“父性愛”を表現する必要があり、大先輩のソン・ヒョンジュさんがドラマ『追跡者〔チェイサー〕』で演じられた素晴らしい父親の演技と比較されたときに、とても勝てないのではないかと思いました。ソ先生には僕を推してくださったことへの感謝の気持ちでいっぱいでしたが、最初は断るつもりでした。でも、先生が、『演技の幅も広がるし、俳優としてさらにステップアップできるから。この作品を俳優イ・ジュンギの新しいターニングポイントにしてみせるから』と断言してくださいました」
--うれしい言葉ですね
「そんな先生の熱意にとても心を動かされました。何よりもうれしかったのが、先生が僕の出演作を全部見て、『イ・ジュンギこそがチャン・テサンにふさわしい』とおっしゃってくださったことです」
--その理由は尋ねたんですか?
「『イ・ジュンギは人間の両面を表現できる俳優で、温和さを感じさせる顔から深い感情やキレの良い演技、アクションも卓越している』とおっしゃってくださいました。これほどまで僕自身や僕の演技を理解してくださっているのだから先生を信じて挑戦しようと思いました。先生は韓国で実力のある脚本家の方です。お会いして本当にいろいろな話をしましたし、初日からビールを何十杯も飲みましたよ」
--最初は断ろうと思ったとのことですが、最終的な決め手は?
「先生にお会いしてとても前向きな気分で家に帰り、それから2日で出演を決めました。何より新しい挑戦をすることができるし、表現するのが難しい部分も多いだろうけれど、俳優としての力量を大きくしたいという気持ちが強かったです。監督や脚本家さんの説得もあり、役者としての幅をより広げたいという自分の欲求によるものだと思います」
--“父性愛”を表現するのには、たいへんなプレッシャーだったと思います。役作りはどのように?
「もっとも重要なことは『自分に娘がいて、守らなければならない家族がいるとしたら?』という問いを常に自身に課すことでした。心理的な変化や感情の一つ一つをうまく表現しなければならなかったので、どのように表現しようかと毎日考え没頭しました。元恋人役のパク・ハソンさん、娘役のイ・チェミちゃんともできる限り会話をしようと努力しました。特にチェミちゃんとは本当の父娘のように感じられる感情をもてるように距離を縮める努力をしました。毎日毎日、そんな感情表現に没頭していたので、ある瞬間から娘との感情の交流ができるようになった気がします」
--劇中のテサンもそんな感じですね
「幸いなことにテサンも少しずつ父性愛を理解し、感じていく人物だったので、僕が役柄に没頭していくうちに僕自身の変化がテサンと重なっていきました。テサンという人物の感情の変化と心理的な変化をしっかりつかんで表現できたのではないかと思います」
--“殺人のぬれぎぬ”という、あまりにも不条理な出来事が突然、降りかかてきます。ご自身もこれまでの人生で不条理で悔しい経験をしたことがありますか? あるとしたら、その経験が演技に生かされましたか?
「“殺人のぬれぎぬ”ほど深く重たい経験は幸いありません。僕は役作りの際、その状況をシミュレーションし、そのシチュエーションに置かれた時のイメージをずっと描きながら作っていきます。俳優というのは自分が体験したことをもとに表現できるなら最高の演技をすることができるでしょうが、そうでないのが大部分です。とても悔しい状況に陥っていくテサンを演じながら、本当に彼の心情を感じるようになりました。悔しくて腹立たしく、自分自身が世界で一番みじめに思え、自分の娘をたった一度でいいから抱いてあげたい、という父親の切実さも感じることができました。テサンの逃走期間、そのような切実な感情を表現できたのは、彼の心情を感じ取れるようになったからだと思います。ホント、苦労しましたよ(笑)」
現場での撮影が私の活力になる
--“絶体絶命の逃亡劇”である本作。アクションや危険な撮影が多かったと思いますが
「作品でアクションに強くこだわったのは、細やかな感情を表現しきれない部分をアクションで補うことによって幅広く視聴者にそのシーンを見せることができるからです。このドラマのシーンとカットはダイナミックで強烈だったので、自分で演じることにこだわりました。現場で監督とアクション監督に僕がしたいアクションと、僕にできるアクションの限界を話しながら作っていきました。砂に埋められるシーンとか、急流に飛び込むシーン、絶壁でのアクションなどは苦労しました」
--撮影を通して絶体絶命の危機に陥ったことは?
「急流でのシーンは水の流れが速くて泳ぐこと自体が不可能でした。このシーンの撮影時には撮影チームでさえ水に近づけませんでした。撮影地点の遠くからスタートしたのですが、水の中では泳げないし、岩にもぶつかるし、呼吸もできないような状況に陥って、このままヘタすると大きな事故につながりかねないとも思いました。危険な状況でしたが、良いシーンが撮れるまで何度も急流に飛び込みました。心の中では本当にやりたくないなと思っていましたが(笑)、責任感とプライドのおかげで最後までやり遂げられました」
--納得のいくシーンが撮れましたか?
「もう少しいろいろな角度から良いシーンが撮れたらよかったのにという後悔もありますが、当時の状況では撮影チームも危険だったし、仕方がありませんでした。息ができなくて本当に死にそうになりながら飛び込むのですが、遠くの撮影地点にいるスタッフの方たちは、僕の状況が分からないので、『いやあ、うまいもんだ』と見守っている姿が怖かったですね(笑)」
--ハードな演技が多くて大変だったと思いますが、その中で癒やしになったことは?
「私の場合は撮影が活力の源なんです。現場にイ・ジュンギという俳優の存在感を示し、私が何でもできる必要な人間であると思わせなければいけません。何よりも、数カ月の間、家族同然で徹夜をして一緒に過ごすスタッフたちがいるから寂しさを感じる暇もなかったですね。ドラマ撮影というのはつらいものですが、終わってみれば名残惜しくなるのが“現場”というものです。僕にはそういった“現場”というのが活力の源なのです。その中で毎日現場に足を運んでくださったファンの皆さん、そして遠くから応援してくれるファンの皆さん、各国のファンの皆さんの応援もとても大きいですし、その方たちも作品が放送されるときには再び一つになって俳優イ・ジュンギを大きな力で支えてくれるので、それが一番です! そして私の作品を見てくださる大勢の皆さん。日々そういったすべてのものが私にエネルギーをくれます」
--逃亡中のテサンのさまざまな変装術も話題になりました。一番うまくハマったスタイルは?
「ファンの皆さんは僕があまりにも不細工で哀れな姿で出てきたのでがっかりされるかもしれません(笑)。僕自身、テサンの変装は全部似合ってたと思います。変装するたびに面白くて『もっとやりたい』と言っていたくらいですから。もっと技術的な変装術があったらよかったのですが、現実的ではない部分なので我慢しました。僕はひげがきれいに生える方ではないので、ひげの変装の時が一番楽しかったですね(笑)。やりすぎも問題ですけど(笑)」
本当の自分を探し続ける表現者
--「次はロマンチックコメディーに挑戦したい」と思っているそうですが
「ファンの皆さんはイ・ジュンギのビシっとした姿を見たがるので、次はどんな役を演じようかなといつも考えています。でもラブコメなら何でもやらなくては、というのも違うんです。いろいろな人物を全部表現したいという気持ちがあるので…。『これ』と決めているわけではないです。あえて何をしたいかという問いに答えるなら、たくさんの方が望んでいる、作品性がある意義深いロマンスや、ラブコメもやってみたいなと思います。でも人生なかなかうまくいかないものです(笑)。イ・ジュンギの本当の姿をお見せできる作品がきっとあると思います。いつも期待していただければ幸せですし、もちろん俳優として人気を得ることのできるそんなジャンルが必要とは思っています。難しいですね」
--現在は、どのような毎日を送っていますか?
「俳優として演技をするのが一番ですが、まだこれだ! という作品には出会えていません。ここ最近は1カ月ほどアルバムのレコーディングをしました。もうすぐファンの皆さんを招待するイベントも準備できると思います。ファンミーティングで単純にファンの皆さんと会って楽しくおしゃべりをして終わり、というのではなく、イ・ジュンギに大きな力をくれるファンの皆さんに楽しいパーティーをお届けしたいです。ずっと思い出に残るような、そんな時間になるように頑張ります。次の作品探しもずっと悩んでいますし、一番大事なのはよい作品で早くお会いできるよう努力することですかね。私の興味はそこだけです」
--最後に、「TWO WEEKS」を楽しみにしている日本のファンにメッセージを
「チャン・テサンを演じながら自分に足りなかった家族に対する思いだとか、足りなかった感情だとか、知らないうちに受けていた小さな傷を一つ一つ癒やしていくこともできました。本作を通じて一段階、人間として成長できた気がします。『TWO WEEKS』を通じて皆さんも癒やされ、内面的に成長することができるのではないでしょうか。意義深くて感動的な作品なので皆さんに大きな感動をお届けできれば幸いです」
新アルバム&アジアツアー 2014年も素敵な時間を過ごしましょう
ジュンギは、12月14日から韓国、日本、中国を回る「ASIA TOUR JG NIGHT」をソウル・光云大東垓文化芸術館でスタートさせる。ライブはもちろん、トークやゲーム、未公開映像上映などファンにはたまらない内容。日本ツアーは、来年1月27日の名古屋公演を皮切りに大阪と横浜で計4公演を開催する。
日本ツアーに先駆けて1月9日には、約1年ぶりとなる新アルバム「My Dear」をリリースする。収録曲がそれぞれ異なる3タイプでの発売で、アンケートで人気の高かった3曲のリメイク曲、タイトル曲「My Dear」を含む新曲を2曲、ボーナストラックとして人気曲の日本語バージョンの中から、それぞれ収録される。
ジュンギは「今回のアルバムには、皆さんが選んでくださったリメイク曲が収録されます。これまでリリースした曲の中から、人気の高かった3曲を再レコーディングしたのですが、皆さんがどのように感じてくださるのか、今からとても楽しみです」とコメントしている。
ツアー&アルバムの詳細はイ・ジュンギ日本公式サイト(http://www.joongi-splendor.jp/)で。
「TWO WEEKS」
街のチンピラとして情けない人生を生きてきたチャン・テサン(イ・ジュンギ)。彼の元に、かつての恋人ソ・イネ(パク・ハソン)が8年ぶりに訪ねて来て、テサンの娘スジン(イ・チェミ)を密かに産んでいたことを明かす。しかも、スジンは白血病で、死の瀬戸際にいるという。血液検査の結果、テサンの骨髄が適合し、2週間後に手術日が決まるが、そんな矢先、テサンが殺人のぬれぎぬを着せられ、捕まってしまう。ところが、移送中のパトカーがトラックと衝突し横転、テサンは逃走する。 来年1月18日からKNTVで日本初放送がスタート。本放送は土、日曜午後10時から、再放送は月、火曜午後2時5分から。12月27日午後10時5分から特番+第1話を先行放送する。
イ・ジュンギ
1982年4月17日、韓国・釜山市生まれ。2001年に広告モデルとしてデビュー。04年に日韓合作映画「STAR‘S ECHO~あなたに逢いたくて~」やSMAP・草なぎ剛主演の映画「ホテルビーナス」に出演。05年の映画「王の男」では中性的な男性役を演じ、“女よりきれいな男”と呼ばれて大ブレークした。その後も、「イルジメ〔一枝梅〕」「ヒーロー」など人気ドラマで主演する一方、歌手でも活躍。10年5月に入隊。12年2月に除隊し、同8月にドラマ「アラン使道伝」で復帰した。1メートル78、63キロ。血液型B。
