Avec Ma Solitude~《ここの古い椅子に腰をかけて、二人でしづかに話してゐよう》

Avec Ma Solitude~《ここの古い椅子に腰をかけて、二人でしづかに話してゐよう》

《表現》は『カタルシス』です。言葉を結露させる事で、少なくとも僕は、精神的平衡を保ってます。またそれを読んで頂く事(読んで頂いてると云う実感を得る事)で、日々現実の怒涛の中でも平静を保てている。…そう云う感じのブログです。コメントやペタ、大歓迎です。

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昨夜…かな?オフィスの内装の会社にいた頃の話をしました。その会社には若い職人さんが多かったって。
その中にレゲエが大好きな子がいまして。その子は二十歳をちょっと過ぎた子でね、レゲエにハマってて髪の毛をドレッドにしてたりそっち系の煙草を吸ってたりしてて。ちょっと変わった子でしたけど、結構頭も良かったしルックスも悪くなかった。ただ吸ってる煙草が独特の強い匂いがして、使ってるパヒュームも南国系なのかどうか分からないけど、かなり強めの匂いだったのが気になったくらいで。
でも基本音楽好きって事で、僕の車に乗ると僕が持ってる70年代のソウルミュージックとかR&Bとかを聴いて、嬉しそうにしてる子でしてね。

その子と或る日、ラーメンを食べに行こうかって事になりまして。事務所からちょっと離れた、谷町九丁目にあるちょっと有名な店に行きました。本店は奈良の天理にあって、大阪で初めて支店が出来たのがその谷町九丁目店でした。やっぱり美味しかった。
帰り道に彼が、今からレゲエ聴きに行きません?って言い出しまして。まあ僕も若かったし、遊びが好きだったし、何より音楽好きだったし。いいよってんで、車をそちらに向かって走らせました。

レゲエを聞かせる店って云うのが、泉北の栂尾って所にありました。谷町九丁目からだと僕等が住む町を遥かに通り越して、高速を使っても小一時間は掛かる。その間、この前のあの番組、見ました?って話になりまして。『恐怖の百物語』って番組です。毎回数人の素人さんが出演してそういった体験を話すって番組でした。結構怖い話が多くて、またスタジオも囲炉裏の周りに百目蝋燭の灯りって感じで。そこに進行のアナウンサーと霊能者がいて。稲川淳二さんもいたな。…あれ怖かったっすね、おお怖かったぁって盛り上がりまして、泉北までの道、ずっとその話をしてました。

泉北高速の栂尾を降りて側道を並走するんですね、その店に向かうには。今まで何度も彼や同じ会社の子達と一緒に行った事のある店でしたから、いつも通りの通い慣れた道を走って行きました。この道を左折すればあの店…。そう思いながらハンドルを切ると、いつもと違う様な気がしました。助手席の彼に、ここやったよなと尋ねてみると、ここですよねぇ…って答える。不審に思いながらも、まあ違ったら戻ればいいかってんでそのまま車を左折させました。

…やっぱり違った。少し走っても、目当ての店が見えないんですよね。いつも目指した交差点を左折すれば、ほんの数分で看板のネオンが見える筈なのに。違うね…違いましたね…でもあの交差点やなぁ…あの交差点ですよ…なんて会話をしながら、適当な所で切り返して戻ろうと思ってたんです。でも適当な横道がなかなか現れない。ずっと薄暗い一本道です。疎らに街灯はあるんですが、民家の灯りの無い一本道です。
その内、向かってる先に結構大きな建物の黒い影が迫って来ました。学校か何かみたいやね…学校っすよね…やっぱり夜の学校って嫌やねぇ…とか話をして、あそこに行くまでに切り返したいなぁと思って周りを見てゾッとした。ポツリポツリとある街灯に照らされた光景、右も左も一面の墓地でした。背丈くらいの柵がありまして、それだって木の柵に鉄条網が張られてる様な簡単な柵で。近くの墓石はヘッドライトに浮かび上がる、遠くには青暗い空に影になって連なる墓石の群れです。今走ってる道、多分対向車が来てもすれ違えないくらい狭い道です。墓場が車の両側に迫ってる光景なんですよ。

焦りましたよ。とにかくここを離れたいと、アクセルを踏み込みました。うわぁ…って声に出しながら、ひたすら走りましたね。不気味って思ってた学校も、墓場よりはマシですもんね。ただただ走りました。
結局何処をどう走ったかは分かりませんが、明るい道に出てからやっと落ち着きました。…もうその日は帰る事にしました。さすがにねぇ、レゲエなんて聴いてる気分じゃなかったですよ。

呼ばれたね…やっぱり呼ばれたんすかねぇ…って、帰り道ではそこそこ大きな音でR&Bを鳴らしながら走りました。まあね、大の大人二人だったし実際何かを見たって訳でもないんでね、すぐにテンションは戻りましたけど。

よく怪談をするとそう云う経験をするって言う人がありますけど、こんな事ってあるんですね。呼ばれたりするんでしょうかね?

そんな話です。