またFacebookからの転載です。
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今夜も少しだけ怖い話を。また苦手な方は回避を願います。
三十代の頃、まだオフィスの内装関係の会社で営業をやってた頃の話ですが。
その会社には若い職人さんが多く所属していてね。彼等より少し年上で、夕方から夜遅くまで事務所に残って仕事をしてた僕は、結構彼等の遊び相手になってた訳ですよ。彼等は事務所に戻ってからも、そこそこ遅くまで他愛も無い話をして残っていた、なんだかんだで僕も相手になってた、って言うか遊んでたりしてた訳です。まあ僕も面白い事好きな方ですからね。結構飽きずにそんな彼等に付き合っていまして。
丁度世間が盆休みに入った頃です。それでもオフィスの内装の仕事と云うのは、事務所が閉まってる期間に仕上げてくれってお客さんがあったりしまして。その日も陽が暮れてから数件の仕事先から数人の若い職人がうちの事務所に戻って来まして。僕も彼等が仕事をしてるって事で、事務所を開けて待ってた訳です。まあ自分の仕事もあったんですよ、書類作成とか。彼等はやっぱり夜遅くまで事務所で遊んだりしてました。お腹が空いたってんで、コンビニで何か買い込んだりして。
その内、怖い話に移っていきまして。自分達が知ってる怖い話を終えた後に、誰かが肝試しに行きたいと言い出しまして。なら自分が住んでるアパートの近くに、誰も住んで居ない家があるとか言い出す奴がいまして。…でもそこは住宅街の真ん中で、もうこんなに夜も更けてから塀を乗り越えて侵入ってのもなぁ…と、分別のある年上の僕としては難色を示した訳ですよ。大人としての分別です。なら白川さん、車出して下さいよ、ちょっとドライブへー行きましょって事になりましてね。皆んなで車に乗り込みました。…何処行く?って、アテも無く車で走り出しました。とりあえず神戸の六甲の方へ行こうと云う事で、そちらに向かう事にしまして。
事務所があった場所から神戸方面に向かいました。高速に乗るつもりで走っていたら、あ、ここで一発肝試ししましょうって言った奴がいまして。
大阪天王寺の少し南に、少し大きめの霊園がある。結構整備されてまして、またそこそこの街中ですからそれ程怖いって雰囲気でも無いんですよ。とは言えもう深夜に差し掛かる時間ですから、皆んな一人では怖すぎるっておもったんでしょうね。霊園の近くに車を停めて、皆んなで入り口に向かいました。真夜中なのにその霊園の、門が開放されていたんですね。どうなんでしょう?他の霊園は。夜中に墓地なんて訪れた事が無いから分かりませんが、その時はまあそんなものなのかとさほど違和感を感じませんでしたけどね。
高速道路が丁度門の頭上を通ってまして、霊園前には二車線の道路があって。両側にはそこそこ広い舗道がありまして。昼間は結構人通りもあるんですよ。勿論真夜中ですから、その道路も舗道も寂しい街灯に照らされてるだけで。人通りなんてあるはずがない。なだらかな坂になっていて、僕達の前方はゆっくりと下りになっています。その先はもう、僕達の住む区とは違う区になります。霊園には入り口が二つありまして、僕等は手前の入り口から入る事にしました。ちょっと怖さでテンションが上がったりしてまして。
霊園の入り口に差し掛かった時、坂になった舗道を登って来る人影に気付きました。黒い影です。僕にはそこそこ高齢の女性に思えたんですよ。歩きがゆっくりでしてね、背もそんなに高くない。少し痩せた感じのおばあさんが歩く姿を想像してみて下さい。そんな感じですよ。皆んなも気付いてた様で、あれ?って雰囲気になりまして。皆んなの目線がそちらの方に向いてる様に思ったんですよ。でも僕自身は皆んな一緒だからって心強さからか、それ程怖いとも感じませんでした。霊園の斜め前には救急病棟のある、そこそこ大きな病院があります。もしかしたらそこの患者さんが深夜の散歩って可能性もあるあるよな、なんて事も一瞬頭をよぎりましたし。
でも、深夜ですよ。深夜に人通りも無く車通りも途絶えた霊園前の舗道を、おばあさんが独りで散歩ですか?可能性が無い事もないけど、それって異常じゃないですかね。その時、何故もっと強い違和感を感じなかったんだろう。そんなものなんですかね?
ただもっと怖くなったのは、その後です。僕等が霊園への入り口を入ったと同時に、その老婆らしき影が、向こう側の入り口から霊園へ入って来たんですよ。
あ。これは違うって思いました。あんまり良くないなって。同じ恐怖を感じたのか、皆んな「ウソ。入って来たで」って慌て出しまして。真夜中に霊園前を歩く人影ってだけでも「…?」なのに、一人で霊園に入って来るおばあさんって?墓園の途中まで来ても、皆んなその人影がどこにあるか、辺りをキョロキョロ見渡したりして。誰かが「あ…!」と言う声を上げたのを合図に、全員が出口目指して走り出しました。車まで一目散に走りました。
本当に、単に真夜中に散歩してただけのおばあさんなのか…。だとしたら、少しおかしい人だなぁとは思いますけど。結局あれが霊だったのかどうかは分かりません。そんなに怖い!って程じゃないけど、妙な経験をしたなぁと思ってます。
その後、僕等は予定通り神戸の六甲の山道まで走りまして。もう深夜の一時二時でしたが。あの道をクネクネ走って裏六甲までと思ってましたが、途中からかなり深い霧に包まれまして。これには運転してた僕が恐怖を覚えまして。あ、ヤバいって。事故るって。
狭い道を何度も切り返して、元来た道を降りました。今考えると、六甲は六甲でも、どの道をどこまで走ったのかがわからない。あの先には何があったんでしょうね?ただその山道を降るのに、僕は本当に動揺してました。あの霧、濃すぎたんですよ。車のほんの数メートル先が見えないんだ。しかも晴れて視界も良かったのに、突然霧に包まれ始めたんです。ヘッドライトに照らされた部分が乳白色に見えた。そんな状態になるまでに、ほんの数分しか掛からなかった。
先に霊園で妙なおばあさんを見たせいもあったんでしょうかね、僕はこれは異常だと本能的に思いました。どこかで関連付けてたんでしょうかね。呼ばれてるんじゃないかな、とも思ってたんでしょうか。昔の事だから、その時の気持ちは忘れてしまいました。でも怖かったって気持ちだけは残ってるんですよ。
では、おやすみなさい。