涼風ペナン島で 50
道場海峡男(どうば うみお)は、
2009年3月13日、マレーシア・ペナン島に到着し、
三日目。
ホテルを引き払って、新居「G-B resort」に移ったあと、
次に行ったのは、日本食材の店「MEIJIYA」。
その品ぞろいは、道場の度肝を抜いた。
日本の缶ビール、カップ麺、日本酒に焼酎・・・。
熱帯の国、イスラムの国マレーシア・ペナンで、
道場は、「ここに定住しよう」と思った。
Plaza Gurney・・・ここにも楽園が!
日本食材店「MEIJIYA」を一巡し終わった上西は、
「次の店に行きますか」
と言って、引き返していった。道場海峡男は慌てて、「いいちこ」を持って入り口のレジに向かった。
口には出さなかったが、酒に興味のない上西を道場は、「つまらないヤツだ」と思いながら、MEIJIYAを出て、上西の愛車Myviに乗りこんだ。
出発して1分、大きなショッピングモールPlaza Gurneyの屋上駐車場に行くらせん状の通路をぐるぐる上って行った。広い駐車場に車を止め、エスカレーターで下に降りていった。
「ここの駐車上は広いので、表示しているアルファベットを覚えて
おかないと、車をどこに置いたか分からなくなりますよ」
と、上西は教えてくれた。確かにそうだ。
エスカレーターで地下まで下りると、スーパーマーケットがあった。Cold Storageというスーパーだ。中に入ると、道場が思っていたよりきれいで、整然と商品が並んでいる。日本の食材コーナーもあり、また、ワインや洋酒が豪華に陳列されているお酒屋さんもあった。「ここも楽園だ!」と道場は思い、つい、
「ここにも楽園がありますね!」
と、弾んだ声で言ってしまった。すると上西が、
「えっ?何ですか?」
と、不思議そうな顔をして尋ねてきた。道場は、
「ここには、MEIJIYAにはなかった、わいんがずらりと並んでいますね」
「そして、また、安い!」
「ウイスキーも各種あるし、なかなかの魅力です」
と、にこやかに上西に言った。すると上西は、
「ああ、お酒のことですか・・・」
と、力なく言ったあとは何も言わずに歩き出した。
道場は、もっとワインやウイスキーの棚を眺めていたかったが、置いて行かれたら困るので、仕方なくその場を離れた。
「全くつまらないやつだ!」
ちょっと上西とは距離を開けて歩き、聞こえないような小さな声でつぶやいた。
ここでは、ミネラルウォーターやバナナを買った。
Plaza Gurneyは、非常に大きく華やかなショッピングモールで、高級ブランド品の店はもちろん、電気屋、本屋、スポーツ用品店、そして映画館、レストラン街など、大変充実した建物である。全館エアコンがガンガン効いていて、肌寒いくらい快適である。
ここは酒飲みだけではなく、高級なブランド品を求めるきれいな女性たちの楽園でもある。
こんなショッピングモールを見ると、やっぱりペナンは、道場の田舎に比べ、信じられないくらいの大都会だ。そして、道場のペナンの家から、すぐに来ることが出来るので、とても便利なのである。
のちに道場は、ここのスポーツ用品店でゴルフクラブのセットを買うことになる。
(続きます)
※おことわり
この物語に登場する人物、団体、名称等は、実在のものとは一切関係はありません。
また、物語の中の写真はすべてイメージで、新旧が入り交じっています。
「涼風ペナン島で」
定年までの残り10年を、充実したものにしたいと考えた道場海峡男(どうば うみお)の念願の「海外勤務」の赴任先は、マレーシアのペナン島だった。
ペナンがマラッカとともに、世界遺産に登録された次の年、まだペナンの昔が残っていた2009年のことだった。



