涼風ペナン島で 49
道場海峡男(どうば うみお)は、
2009年3月13日、マレーシア・ペナン島に到着し、
次の日から、ペナンでの新しい生活が始まった。
三日目。
ホテルを引き払って、新居「G-B resort」に移った。
そして次に行ったのは、日本食材の店、
「MEIJIYA」は、道場の度肝を抜いた。
「つまらないヤツもいるものだ」
日本食材屋のMEIJIYA、驚きの日本の缶ビール、缶ジュースにカップ麺、そしてお菓子たち。とどめは驚愕の日本酒に本格焼酎の数々・・・。
これはこれは、すばらしい品ぞろいだ。イスラムの国「マレーシア」で、この実力・・・。
道場海峡男は3日目にして、はや、「ペナンに定住してもよい」と思った。
買い物係の上西はゆっくりと大きな冷蔵庫の方に向かった。キンキンに冷えていそうな瓶ビール。アサヒスーパードライにサッポロ黒ラベル、キリン一番搾り・・・Tigerビールもあったが、日本のビールたちの方が大きな態度で冷蔵庫の中でふんぞり返っている。
道場は、
「ここは楽園だ!まさに熱帯の楽園だ!」
と、上西に向かって言った。すると、意外な言葉が上西から返ってきた。
「そうでっか?」
「日本食材がいっぱいあるのはいいのですけど、酒はねえ・・・」
つまらなそうに、冷たい言葉で言い放った。
道場は、急に上西に大きな距離感を感じ、
「上西さんは、酒は飲まないのですか?」
と尋ねた。すると上西は無表情に言った。
「まあ、飲まないことはないのですが、あまり興味はないですねえ」
道場のバク上がりしていたテンションは、急激にしぼんだ。
「そうですか・・・」
心の中で道場は、「つまらないヤツもいるものだな・・・」と思いながらも、お世話をしていただいている身、「ここは謙虚に」と思い直した。
冷凍コーナーもあった。もちろん冷凍食品がたくさん並べられていた。
「ほう、納豆も冷凍している」
冷凍庫の中ものぞいてみながら、道場は感心していた。
一巡し終わったのか、
「次の店に行きますか」
と、つまらない上西は引き返していった。道場は慌てて、「いいちこ」を持って入り口のレジに向かった。
(続きます)
※おことわり
この物語に登場する人物、団体、名称等は、実在のものとは一切関係はありません。
また、物語の中の写真はすべてイメージで、新旧が入り交じっています。
「涼風ペナン島で」
定年までの残り10年を、充実したものにしたいと考えた道場海峡男(どうば うみお)の念願の「海外勤務」の赴任先は、マレーシアのペナン島だった。
ペナンがマラッカとともに、世界遺産に登録された次の年、まだペナンの昔が残っていた2009年のことだった。


