婦人科便り304 クスコ(腟鏡)が痛みの原因ですか | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ウェルカムですが
最近ご質問内容が
すでに記事になっていることが多くなってきました。
お手数ですが、まずはブログ内をご検索ください。

ネタ提供ありがとうございます。

 

ランダム宣言したにも関わらず

せっせとブログ書いています。

己の変な真面目さが憎らしい・・・

ネタが尽きるまではちゃんと続く。

グッジョブ自分。

 

何が辛いって

ネタを製造するのがムズカシイんだよー

 

個人情報もへったくれもなかった平成の初め頃

外来では患者さんの名前で呼ばわっておりました。

だんだん疲れてくると

患者さんの名前を呼ぶのもきつくなってきて

休憩がてら、皆を笑わせようと

「桜井 薬子さん、

 桜井 薬子さん

 外来1番までどうぞ~」

とやってたなあー しみじみ・・・

(注・サクライも特殊な形のクスコの名前)

 

どこのギョーカイにも内輪受け、というのがある。

 

 

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Q.クスコが小さければ痛みが

 少なくなるものなのでしょうか?

 

A.そだね。

 クスコのサイズが大きければ大きいほど

 腟の入り口が狭ければ狭いほど

 痛いかもしれないね。

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クスコのサイズは

3SサイズからLまで幅広く、

お産直後に使用する、産褥クスコという

巨大なクスコまでラインナップが揃えてあります。

 

要するに、内診の痛みを分解して考えると

① 腟の入り口をこじあけられる痛み

② 子宮頸部を動かされる痛み

③ 子宮頸管に何かを入れられる痛み

④ 腟や子宮頸部のどこかをつままれる痛み

であるからして、クスコが大きいと①によりマダムは苦しむ。

 

診察する側からすると、まあ、大きく広げられれば

その方がよく見えるんで、できれば

マダムが痛がらず、さりとて見えないわけではない

というぎりぎりを攻めてサイズを選ばねばならない。

うちの元の親分(先代教授)は

ご自身も「巨神兵」とあだ名されるくらい

ガタイのでかいお方であったためか

がん検診であるにも関わらずLサイズを常にご選択される、

正真正銘まごうことなきサドであった。

痛がり泣き叫ぶマダムに

「じっとして」って言っちゃえるのは権力のなせる業。

ごいごいすー

 

一般小市民である私は

マダムに敬意を払い、大体SサイズかSSサイズで果敢に挑む。

慣れてしまえばそんなに不自由もないので

両者Win-Winで外来は和やかです。

痛くさせちゃうと身がすくんで

さらに視野が狭くなるからね。

おいおっさん聞いてるか。おめえのことだぞ

 

ちなみに産褥クスコは

分娩直後の広がってしまった腟の精査に用いられる。

ペリカン、とは言わないが

ヤンバルクイナのくちばしくらいの大きさはあり

かなり舞台映えする。

不謹慎ではあるが

産婦人科の小道具として忘年会によく登場していた。

童話「金の斧、銀の斧」のパロディとして

「金のクスコ、銀のクスコ」とかやったことある。懺悔。

 

ま、えげつない芸では整形外科や泌尿器科には負ける。

女性相手の商売であるため

芸風もマイルドかつファンシー。

安心してください。