婦人科便り301 手術の創(きず)が気になります | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ウェルカムですが
最近ご質問内容が
すでに記事になっていることが多くなってきました。
お手数ですが、まずはブログ内をご検索ください。

ネタ提供ありがとうございます。

 

癒着べたべたで大変だった手術を

乗り越えたマダムよりお便り。

乗り越えた挙句に術創のトラブルで

お悩みのようです。かーいそーにー

 

幸いにも私には手術の創部でトラブルに

見舞われたことがあんまりなく

参考になるような不幸なマダムの担当に

なったことがない。なぜだー(原因不明)

 

後輩の話なんかだと

デブの創部が術翌日にばっくり開いた、とか

腹腔鏡のちっこい穴に小腸がはいって詰まった、とか

ホラーな話にいとまがないのであるが。

 

しかし、

 

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Q.

先生が驚いた?経験された?術後のお話など

 

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というお題を頂戴したので、少ないながらも紹介したい。

いかんせん、目下治療中や継続中の

あれやこれやはブログなどで晒すわけにも行かず

こちらで披露するケースは時効がほどよく成立したものに

限ってはいるのでご安心召されい。

 

とある結婚したてのマドモアゼル。

医者になって3年目の美しい彼女が

卵巣嚢腫の手術をしに来た。

駆け出しではあるが、形成外科医として修行中の身

腹腔鏡と言えど、汚い創になるなど

可能性すら許せない、という。

婦人科医が皮膚を触るなんて!あり得ない!!

との極端なお申し出により、

彼女の信頼する形成外科医(女性・10年目くらい?)

が、腹腔鏡の、あのちまっとした

ちっこい創部を縫いに来た。ほぼ特別扱いだね。

 

さすが形成外科医、その腕前たるや

術後のマドモアゼルの創はしばらくすると

跡形もなく消え去ったかのように美しい創となった。

 

私たちは心の中で

「5ミリの傷をねえ・・・そんなにねえ・・・」

と思うのが止まらなかったが

それはそれで彼女の本懐であるのだからして

なんとかなるもんだったら通してあげたい希望でもあった。

仕方なし。生温かい目で見ておいた。

 

それから1年くらいして

 

何をお気に召したのか、今度は彼女の先輩の方が

手術を希望でやってきた。

そう、あの奇跡の手術をした女性医師である。

あんなすごい形成手術をする人だから

今度はさぞかし凄腕の医者を連れてくるだろうと

わくわくしていた身構えたのだが

彼女、曇りなき眼で

 

「かーっと掻っ捌いてください、一思いに。」

 

・・・え?

 

「私自身は創がどうつこうとあんまり構いません

 先生のいいようにされてください。」

 

と、おっしゃられた。・・・あれ?来ないの?凄腕ドクター。

 

「年を取っていい具合にしわになります。

 私、あのしわも大好きなんですよねー

 うふふふふふ・・・・うふっうふっ」

 

 

凄腕女医、

まさかのしわフェチだった。

 

 

サムライ、かつ、しわフェチの彼女の執刀は

もちろんあたくしでございました。

きもちよーくすかっと執刀させていただきましたとも。ええ。

 

 

 

こんな昔話でよかったですか?

ご感想お待ちしています。礼