婦人科便り150 セカンドオピニオンのお作法 | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ありがとうございます。


セカンドオピニオンのお作法について

お尋ねいただいた。


セカンドオピニオンとは一般的に

病気の治療方針に関して

診断を受けた病院以外の

専門家に意見を聞く制度、であるが

驚くなかれ、原則


自費診療


である。


どうもお上が

日本は国民皆保険制度を採用しており

医療機関にわりとアクセスがしやすい代わりに

基本的に診断を受けた病院で

精密検査も治療も受けなはれ

という考え方でいるようなフシがある。


よって、患者さんが

他の病院で意見を聞きたいんやけど、というと

正規のルートでは

だいたい25000ー30000円/時間の

お金がかかるところが多い。


しかもセカンドオピニオン、として

いらゆる正面玄関から入るようなルートでは

セカオピ側は検査も診察もせず

今までに行った情報のみを元に

できる治療や提案をすることになっている。

大学病院など常日頃からかなり頭が高く

個人で予約を取り得ず 

かかっている病院がやり取りをすること、となっており

セカオピまでたどり着くのも一苦労である。

ちなみに各地に点在するがんセンター某も

一般病院に比べて敷居が高い。


で、治療は原則、

診断元が行うシステムになっており

患者さんがセカオピ病院を気に入っても

一度は紹介元に戻される。

えーここで治療してよーと思っても

ギョーカイにはギョーカイの仁義があり

任侠世界と同じくらい、掟を破ると

それなりの制裁もあるため

泣いても喚いても「正規のルートでは」

無理なのである。


お気づきかと思うが、蛇の道は蛇

抜け道もいっぱいある。


私はどこかの病院に行きたい患者さんを

自分の病院に引き止めることはほぼ、しない。

だいたいどこの医者もそうだと思うが

そんな時患者さんからセカオピ言われたら

意見を聞きに行くだけでなく

もう、そちらで治療したいと言うてます、と

紹介状に書く。

セカオピですよ、と書かない、

ただそれだけで保険診療になる上

紹介先のセンセが診察もし、検査もし

治療前提の説明をするだろう。

で、別にあとで患者さん本人が

元の病院に戻るのは自由!なので

私はそのようにお伝えし、選んでいただいてます。


まあ、たいていは

裏ワザの方法で行くわな。

30000円でどれだけ焼肉食べれるかしら、て

思いますよねー


世界の医療事情を興味を持って聞いているが

日本ほど充実し、アクセスしやすく

手取り足取りしてくれるところは例を見ない。

そして日本のいいところは

どんな田舎の病院でも

志高く、質の良い医療を提供しようと

研鑽に励む医師が大半である点。

医療サービスの提供を受ける際

様々な不平不満が出てくるし

掃除が行き届いていないだの

メシがまずいだの

病身にはキツいこともあるが

それでもなお、世界水準に照らし合わせれば

恵まれているらしいことをぜひ、

お忘れなきよう…