婦人科便り84 子宮体がん② 検査について | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ウェルカムですが
最近ご質問内容が
すでに記事になっていることが多くなってきました。
お手数ですが、まずはブログ内をご検索ください。

さて検査。

 

細胞の検査でなにかしら異常が出たり、

異常が出なくても担当医の女の勘がアラームを出したりすれば

次は何かしら、別の検査に進む。

 

大体は組織診に進むんじゃないかなあと思う。

組織診は多少の痛みを伴うので、

ここで骨盤MRIを挟むこともあります。

まあ結局直接顕微鏡で見てみるのが最強の検査なので

そちらにせっせと誘導しますけども。卑怯

 

細胞と組織って何よ?というあなたのために解説すると

例えば一つの会社をブラックなのかホワイトなのか判断する、

というのを考えてみてほしい。

 

最初は会社の人間一人一人に声をかけて

出口調査をするんじゃなかろうか。

これが細胞診です。

ただ、人も細胞も嘘をつく。特に女は嘘をつく。

ブラックなのにホワイトと言う人もいれば、

逆にホワイトなのにブラックと言う人もいるでしょう。

会社から出てくる人間が、口をそろえて全員ホワイトで助かってます~

もしくはまっくろくろすけです、

と言えば多少の信ぴょう性はあるが、

2~3人、ひそひそと実は・・・てなると、次の段階に行かねばなりません。

今度は部署ごと引っ張ってくる。こちらが組織診に相当します。

 

組織の検査は

外来でそのままできちゃう内膜組織診と

入院が必要な(少なくとも私とこでは)子宮内膜全面掻把術とに分かれます。

内膜組織診、外来で痛みと羞恥のためひゃあひゃあ言われちゃうのと、

子宮体がんの診断は難しくて

結局「もっと組織が必要」とかなることも多いため

すっ飛ばして子宮内膜全面掻把術をご案内しがち。

 

子宮内膜全面掻把術は文字通り、子宮の内膜をできるだけ全部かき集めるもの。

検査の意味合いが強いのですが、基本的には流産の手術と一緒で

子宮の中に鉗子を入れて中身をかき出す手技のため痛みが強いのです。

よってある程度の麻酔が必要で、

うちの病院では全身麻酔をしています。術中患者さんが動くと危ないし。

最近は、手動真空吸引管なる(MVA)便利な道具も開発されて

荒っぽく金属のおさじをがさがさ突っ込まなくても

すっぽんと内膜全部を吸ってくれる優れものが出てきたため

もっぱらこれが大活躍しています。

一度、あんまり痛くないんじゃないか、と

入院を渋る患者さんと相談して外来でこのMVAをしてみたことがあるんですが

いやいやどうしてやっぱり痛かったそうですよ、皆さん・・・

その患者さんは「入院にならなくてよかったー」とか言っていましたけど笑

これにこりたワタクシ、必ず入院でご案内しています。

あしからず。