フランシス・F ・コッポラ監督の『ゴッドファーザー』(72)の冒頭は延々と続くドン・ビトーの娘・コニーの結婚披露宴から始まります。
映画の登場人物を観客に紹介するには、これ以上の舞台はありません。
暗黒街のドン、ビトー・コルレオーネがどれくらいの権力を持っているのか...そして、その三人の息子と近況...相談役の弁護士...ドンを慕う歌手...五大ファミリーの顔触れ...等、およそ40分のシーンに納めています。そのドッシリとした見事な演出を観て当時のパラマウント映画の幹部は、新人のコッポラに任せて良かったと思ったのに違いありません。
コッポラは黒澤明監督の『悪い奴ほどよく眠る』のファーストシーンからヒントを得たと証言しています。
こちらは土地開発公団の副総裁である岩淵の娘・佳子と秘書・西の結婚披露宴。そこに公団と建設会社の数十億にのぼる汚職を嗅ぎつけた新聞記者達も駆けつけてくる場面です。案の定、式の始まる直前、公団の課長補佐・和田が警察に拘引されてしまうのですね。
それだけではありません。ケーキ入刀で、運ばれてきたケーキを見て、岩淵の部下である守山と白井は驚愕するのです。公団のビルをかたどったケーキの7階に赤いバラの花が刺さっていたのです。それは5年前、公団の課長補佐・古谷がこの窓から飛び降り自殺したのは誰もが知っている事実だったのですね...
こちらは25分くらいのシーンで登場人物を観客に紹介してくれました。
どちらの映画も観客に気を配った監督気質が伺えます。
自分の作品を"観客の目"で観る事が出来る才能です。
さて、今のドラマや映画を観ていると登場人物に感情移入が出来ないのは、造り手が下手なのでしょうね...そう思います...
『ゴッドファーザー』が1972年の作品で『悪い奴ほどよく眠る』は1960年ですか...
コッポラは黒澤明をリスペクトして自分の映画に取り入れています...
それは技術面だけではなく"根っからの映画クリエイター"という心もです。
だから彼らは"クロサワ・チルドレン"と呼ばれているのでしょうね...
■ハリウッドの親孝行な奴ら(前編)
http://s.ameblo.jp/kicks1138/entry-11859061597.html
■ハリウッドの親孝行な奴ら(後編)
http://s.ameblo.jp/kicks1138/entry-11859868612.html


