女体盛り」とは、むかし、いやらしいおじさんたちが熱海の温泉旅館とかでやっていたアレです…。
そして、恥ずかしながら告白すると7、8年前に一度だけ「女体盛り」をやった事があります。

発端は、サンディエゴのベンチャー企業とのビジネス・ミーティングがあり、その会社の社長さん主催の現地でのパーティに出席した時でした。
そのパーティーには15人ぐらい地元のうだつのあがらないベンチャー仲間が参加していたのですが、宴もたけなわ、私もかなり酩酊した頃に、二人の若者が私に近づいて、ぼそぼそと話しかけてきたのです。

「日本では、裸の女の人の体にお寿司をのせて食べるんでしょ?」

「ほっ???」

あっ、「女体盛り」の事か、ほんとは「おすし」じゃなくて「おさしみ」だけどね。

どういう経路で、このように日本文化が歪曲して伝わるのでしょう…。
と思いつつも私も酔っぱらっていささか良識を失っていたのと、英語での表現力が乏しい事もあいまって口をついて出た言葉は…、

「君たちは、実に『日本文化』についての造詣が深いねえ…。それは『女体盛り』と言って、古来より伝わる伝統的な儀式なんだよ。われわれ日本人は人生の特別な記念日にのみ執り行うのだが、儀式の際には『柔道着』を着用するのが習わしなんだ。」

こうやって「日本文化」が歪曲して伝わるのですよね…。

「君たちが、日本に来た際には、特別に『女体盛り』パーティーを開いて歓迎するよ!」

はっきり言って、酔っぱらっていた事もあって、「サンディエゴの貧乏ベンチャーが日本に来るわけない」とたかをくくっていました…。

後悔したのは、それから2年後、幕張メッセだか、有明の国際展示場だかの展示会会場からやつらの電話がかかって来たときの事でした。
電話の向こうから複数の口から発せられているとおぼしき「にょたいも~り」と実にうれしそうな声が聞こえています。

「ビジネスにおいて大事な事は、『信頼性と有言実行』」

どんな貧乏ベンチャー相手でも約束した事は守るべき!

私は、覚悟を決めて、知り合いのAV制作会社の社長さんに電話をし、1日10万円で女優さんを一人調達して、私が経営していたバーの個室に来てもらいました。

「今日のおしごとは…?」(女優さん)

「ぐっ…。今日は『本番』がない楽なおしごとです。裸でこのテーブルに寝てて頂ければよいだけです…。」

意味不明な説明を女の子にしつつ、店の若い者におすしを買いに行かせ、さっそく、彼女の体に盛りつけを始めました。

やってみると人間の体って、ほんとはとても『立体的』なんですね!

体に「おすし」を盛りつける作業は実に難しい、すぐころころ落ちちゃいます。

それから、やっぱりちょっと、どこにでも「素に置く」のは、衛生観念的に嫌なかんじがするので、局部周辺には「大葉」を敷いてみたりとデコレーションにも工夫をこらしました。

おすしを人間の体に盛ると、体が冷えます、と言うかおすしが温まるのと同じ意味ですが…。

「ごめんね。こんな仕事で…。」

女の子の足先を一生懸命さすりながら、奴らが到着するのを待ちました、もちろん自分はバカみたいに『柔道着』を着用して…。

到着した彼らが、よろこんだ事…。

You are the man ~!

…だって。

そこから先は、描写に耐えないので、ここらへんでやめときます。

そして、それから5年後、彼らの会社がグーグルに買収され、彼らは突如大金持ちになりました。
昨年のある日曜日、オフィスでひとり仕事をしていた私の元へふらっと一味の一人が遊びに来ました。
グーグルの極東太平洋地域のビジネスディベロップメントのマネージャーの名刺を持って…。

…ところで、お前の会社、資金の必要性はない?なんならグーグルから投資してもいいよ!

けっ!