プロボクシングの元世界2階級制覇王者で、「亀田3兄弟」の長男・興毅(23)とWBA世界フライ級王者の次男・大毅(21)=ともに亀田=が8日、そろって7月25日のノンタイトル戦(大阪府立体育会館、相手未定)を控え、合宿を張るフィリピンへ出発した。興毅はこの試合からフライ級(リミット50・8キロ)から1階級上げたスーパーフライ級(52・1キロ)への転級を決断し、日本人ボクサーでは例のない世界3階級制覇を目指すと宣言。「減量」という未知の戦いが始まる。

 世界2階級を制した実績も、頼りにはならない。日本人世界王者にとって、前人未到の3階級制覇へ。興毅が手探りとなる合宿へ旅立った。

 「Sフライ級がどんなものかつかまないと。未知の世界でどこまで通用するか不安があるよ」

 15歳でアマチュアデビューし、17戦を重ねてプロへ転向してからも、06年8月のWBA世界Lフライ級王座決定戦と同12月の初防衛戦以外、23戦中21戦はフライ級で消化してきた。この世界戦にしても亀田家の野望、「世界3階級制覇」を視野に入れ、無理にフライ級から1階級下げてベルトを獲りにいったもので、階級が適性ではないとして、王座を返上している。

 ノンタイトル戦の契約体重でも51・5キロが最重量。約8年間、フライ級一筋で闘ってきた興毅にとって、リミットで1・3キロ重いSフライ級は未知の領域だ。

 調整は遅れている。3月のWBC世界フライ級王座統一戦で、暫定王者だったポンサクレック・ウォンジョンカム(32)=タイ=に判定負け。王座から陥落した直後、父・史郎氏(45)が起こしたどう喝問題で所属する亀田ジムが約2カ月間、活動停止に追い込まれ、練習環境は河川敷など限られたものになった。

 継続している筋力トレーニングや成長期と相まって普段の体重が約60キロまで増えたことで、Sフライ級のリミットまでは約8キロある。プロデビュー当初は、増えても55キロ程度だったことから減量幅も2倍になった。10日間予定されるフィリピン合宿では、温暖な気候や多彩な練習相手とのスパーリングで、少しでも52・1キロへ近づける予定。大好きなスイーツも控えて一気に5キロ以上の減量に臨む可能性もある。

 王座を上げて再起戦へ。「(フライ級での)スピードを生かす自信はある。25歳までに(Sフライ級の)世界王座を獲りたい」。WBA、WBC両王座の動向に目を光らせ、一気に勝負に出る。