- 佐野元春 「カフェ・ボヘミア」
本日3月12日は佐野元春の56回目の誕生日であり、新譜「ZOOEY」の発売日である。オフィシャルサイトでは発売記念ライブが生中継されていて、それを見ながら記事を書いている。何とも贅沢な話ではないか。
メディア戦略とかネット動画配信には先駆者として取り組んできた方なので別に珍しくもないが、ビデオテープとか紙メディアしか無かった頃を思うと隔世の感である。カセットブックや現代詩集等の数々のワークが想起される。しかし時代を経ても元春の音楽の語りかけてくる高いメッセージ性は変わっていない。むしろ同時代の中での先駆性を越えて、普遍性を持ち出した様な感覚を前作「Coyote」から感じている。
特に今までの作品との差異を感じるのは、言葉の持つ神秘性を’50年代アメリカのビート・ジェネレーション作家達から抽出するように込められた詩の世界と上質なオールディーズPOPSの様な美しいメロディーに肉感的なLIVEBANDサウンドを構築させているところである。過去の思想的、文学的ルーツをPOP(ROCK)ソングの中で全面にだすような事は今まであまり無かったように思うが、それだけスピリチュアルな感覚が研ぎ澄まされ、言葉の力が身に染みる様に感じられるようになった。
思えば自分も元春に憧れて、ケルアックやギンズバーグを齧ってみたりしたが、全く身にならなかった。
その当時の思い出の作品が「Cafe Bohemia」である。「Visitors」では生のHIPHOPを導入し、それまでの世界を激変させた為、戸惑いもあって迎えられた感があるが、当時のブリティッシュPOPの最先端と「Yong Bloods」の扇情的なまでの疾走感は無条件で「若い血潮」熱狂させた。先行シングルでカットされた曲と「99ブルース」、「Individualist」等のパワーソングやインスト曲が微妙に配列され全体の流れが素晴らしい。
「虹を追いかけて」がフェイバリットトラックでテーマは喪失感と希望である。
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