大きな体を土俵に叩きつけて

顔を土俵にこすり付けて

体も顔も 全身が砂まみれで

倒れても立ち上がり

立ち上がれば また倒されて

悲鳴のような うめき声のような

泣き声を搾り出しながら

力士はまた立ち上がる


もう降参だと

もうやめたと

言えば楽になれるのに

土俵の上を転がり続けた大きな体から

湯気が立ち昇り 目の中に涙が見える

それでもまた胸を借りる


力士達の華々しい取り組みの背景に

地味で苦しい汗と涙があったことを

テレビでは見せてくれない

国技館でも見れない


きっと人の生き様も同じ

華やかな笑顔の背景に

人には見せない汗と涙が

嫌というほどあるのにね

僕だけは知っているよ

君が一人の時には

奥歯をかみ締めて

砂にまみれていることを