僕ら人間は、いつか必ず誰でも例外なく、その人生を終える。命が終わ
る。
人生を終わろうとしている最期の時に観る事になるだろうドラマがある。
自分の生涯と言うドラマで、まさに人生最期であり最後のドラマとなる。

このドラマは、自分が主役を演じ、自分が劇作家であり脚本を書き、演出
も監督もすべて自分が受け持つ作品。
テイク2は存在せず、台本もなくカメラもない。
そうやって一生かかってできた作品が、人生を終わろうとする刹那、心の
中のスクリーンに映し出される。
そう、言い換えれば自分のこれまでの生涯を振り返って死んで逝くのだと
言える。

僕は日頃意識する事が多くて、何かに迷ったり行き詰ったりした時に、どんなドラマを人生の終わりに観たいかと考える。

目の前の壁に何もできないで逃げ出す不様な主人公をドラマの中に見たいのか。
それとも、何度叩きのめされても立ち上がり壁に向かって行く勇敢な主人公を見たいのか。
自分が見たい主人公の姿が決まると、自分はその通りに人生を演じて行くことができる。

人生必ずしも予定通りにはならないから、時には演出家の手を借り、作家に原作を書き変えてもらうこともあるだろうけど、,,,

なにはともあれ、ドラマの観客でもある自分が、本当に良いドラマだったと心から思えるドラマを作りたい。

生きている間にいろんな事があって、辛い思いもするし悲しい事も沢山ある。
でも、そんな大変な事は見応えのあるドラマには欠かせないものだって思う。

それに、そういう波乱万丈があってこそドラマになる。
ドラマの主人公には何の出来事もなくって平和なままのストーリーだった
らドラマにならないもの。

そうやって、今は充実したドラマ作りをしていんだって思うし、行き詰まるとどんなドラマが観たいか、どんな主人公であって欲しいかを考えるようにしている。
そうすると、ただ辛いだけの人生だなんて全然思えないんだよね。