変形性膝関節症 2 | 【きぼう堂鍼灸治療院ブログ】 まぁ、飄々といきましょう。 

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「病は気から」 病気は心の状態が身体に現れたもの。

健康を回復するには心の癒しが何よりも大切!

このように考える鍼灸師が、日常や治療の中で感じたことを拙い文章で書いています。

とは言っても、難しいことは考えず、まぁ、飄々といきましょう。(^O^)/

「変形性膝関節症ですが、鍼灸で磨り減った軟骨を元に戻せますか?」

と尋ねられる事がありますが、それは無理です。

一度磨り減った軟骨は元には戻りません。


でも、鍼灸で関節の腫れ、痛みを緩和することは出来ます。

そして腫れや痛みが軽減したら大腿の筋肉を鍛え、

体重を減らせれば生活に支障は出なくなると思います。


(変形性膝関節症は、加齢と大腿の筋力低下と体重増加が原因です。)


当院の鍼灸は痛みの出ている患部には鍼をしません。

乱れている経絡を調えるだけです。

(治療については当院のHPを参照して下さい。最後にリンクがあります。)


変形性膝関節症の方は肝経、腎経、胃経の経絡が乱れていることが多いので

それらを調える曲泉、復溜、上巨虚といった経穴(ツボ)を使う事は多いです。

でも、肝経、腎経、胃経の経絡の歪が出ていなければこれらの経穴を使うことはありません。


当院の鍼灸は変形性膝関節症でも、経絡を調える手足の経穴に

1~3mm皮膚に鍼を刺すだけです。決して筋肉までは刺しません。

膝関節の病だからと言って関節腔内に刺す事は勿論ありません。


それでも関節の痛みはとれます。

関節に溜まった水(関節液)を抜かなくても引いていきます。

関節の腫れもとれ皺が出てきて歩き易くなります。(関節腔内圧が下がる為)


急性期の場合は3日間ぐらいは連続の治療がいいです。

日に日に痛み、腫れが引いていきます。

症状が和らぐ分無理して歩かないから膝への負担も少なく、結果早く良くなります。


初診で一人で歩けなく付き添いの人に脇を支えられてきた方も、

帰りはご自分一人で歩いて帰られることもあります。


膝を曲げてなかなか靴下がはけれなかった方は

「膝を曲げてはけるようになった!」と喜ばれてて帰えられます。


そして翌日(2回目)の治療のときには、

前日(初診)パンパンに腫れていた膝に少しずつ皺も出てきます。


変形の程度、年齢、体力などにより治るスピードは違いますが、

それでも徐々に症状は緩和していきます。


痛みがほとんど気にならなくなったら再発予防として、

大腿四頭筋、大腿の内転筋群を鍛える運動をお教えします。


特別な方法ではないです。

椅子に座り膝の曲げ伸ばしをしたり、両膝に間にボールを挟んで押し潰すことです。

整形外科で指導しているものと変わりません。


必ず痛みの出ない範囲で行い、勢いをつけずゆっくりと丁寧に、

鍛える筋肉を意識しながら行う事を見本を見せながら念入りに説明します。

(間違ったやり方をして再発させる方が多いので・・・。)


慢性痛で見た目にもO脚が酷くて変形が進行している方でも良くなっていくものです。

もちろん真面目に定期的に治療を受け、痛みを緩和させながら

大腿を鍛える運動をして生活習慣を改善された人ですよ。



一方、治りが遅い、悪い方は、


・治療間隔が空き過ぎる。

・来院できないとき自宅で指示されたツボにお灸をしない。

・自己流の間違った運動をする。

・生活習慣を改善しない。


ここまでは他の疾患でも同じですが、変形性膝関節症特有なのは、



膝の関節液を抜く為、消炎鎮痛等の為に関節内注射をした方です。



はっきりした原因は判りませんが、関節に何も治療を受けずに来院された方に比べ治りが遅いです。


ここで私が思う原因を書いてみます。



急性期の膝関節症で関節液が過剰になり腫れる現象は、

炎症が起これば生理的に当たり前の事です。

炎症とは身体の治癒システムで起こることで、悪い反応ではないんです。

(炎症反応の詳細はご自分で調べてください。)


関節腔内には他の組織とは違って血管はありません。

腔だから空間です。通常そこには関節液が適量存在し、

関節液が関節腔内に酸素、栄養を血液の代わりに供給しています。


何かの原因(膝を酷使した等)で関節に炎症が起こると生理的反応として

一時的に関節液を過剰にさせます。


それは修復に必要なリンパ、酸素、栄養素を関節内に供給するためのはずです。

そして炎症が治まれば過剰な関節液は自然に吸収されて正常になります。

これが人間の持っている自然治癒能力です。


それを関節腔の内圧が高いということで関節液を無理やり注射器で抜く行為は、

身体の治癒システムにとっては不自然な事と思います。


確かに内圧が高い状態だと、関節は動かしづらいです。

それは「今、この関節をこれ以上動かしてはいけない」と身体が訴えているからだと考えれます。

「修復が済むまで安静にしていてくれ!」と言っていることです。


その身体からのメッセージを無視して関節内注射で関節液を抜いたり、

消炎鎮痛剤を注入して強引に歩けれるようにする行為は不自然と思います。


それより治癒システムが効率良く働くように促すことと、腫れている(内圧が高い)間は

関節への負担を減らした生活習慣の改善が回復を早めると思います。


内圧が高い状態が長期間になると軟骨の変性が起こるらしく、

それを防ぐ目的もあり関節液を抜くらしいですが、

鍼灸で腫れが早く引くことを知っている私には納得できません。


関節液を抜くことで見掛け上腫れが引いて、「これで治った!」と患者さんが思い、

その人が生活習慣を改善せずに再発させることはよくあります。

現に抜いても抜いても何度も溜まる方がみえるのがそのことを表しています。


関節腔の内圧が高いということで関節液を無理やり注射器で抜く行為は、

不自然な事で反って治癒を遅らせることになると思います。


また、注射針(かなり太い)で新たな傷を関節周辺(関節包、靭帯)に付けてしまうこと

も推測でき、これも治癒を遅らせることにも繋がると私は思います。





ここからは余談です。

関節内は無菌状態らしいです。

関節注射は針が太いため関節内に細菌を感染させてしまう可能性があるそうです。

感染に対し充分注意を払われて治療が行われていますが、万一感染が起こると

関節内は血管が有りませんので、感染に対する抵抗力が弱くなかなか治りづらく

大変なことになるそうです。

このリスクを考慮し重症以外は関節注射をあまり勧めない整形外科の先生もみえます。







以上のような理由で、当院での治療を希望される方は

関節注射をされないでの来院をお勧めします。


これは関節注射をしてしまったら治らないということではありませんよ。


ただ治るのに通常より時間が掛かることがあると思って下さい。


(いつも話すように、患者さん一人一人の治癒力に左右されることが一番大きいです。)





(注)

関節注射で治らないと言ってる訳ではありません。

実際に病院で関節注射で治っている方は大勢いると思います。

ここに書いたのは、自然治癒力が充分に発揮できるようにするのが目的の

鍼灸治療の立場からみた私個人の勝手な意見です。






おしまいm(_ _ )m






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