Kさんは、私の近所に住むおじいさん(90代)である。

 

妻に先立たれ、子供がなく、親族も皆高齢で、誰もKさんの世話をする人がいない。

部屋には冷暖房がないため、夏と冬は過酷な状況になる。

家の中は、物やゴキブリの死骸が散乱する不潔な有様。

 

足が悪く、近くにスーパーもないので、毎日の食事は1日2回の配達弁当でなんとか凌いでいる。

ご近所に買い物を頼むこともあるが、人情だけで、すべてを頼ることはもう限界であった。

 

幸い、地域の包括センターに通っていたため、後見人を探してもらい、後見人と見守り契約を結ぶことになった。

 

後見人は、親族との連絡のほか、病院や銀行などへの付き添い、買物を代行をする。

いわば家族のような人で、身の回りのことを何でもしてくれる人である。

 

今回、Kさんは、部屋で転倒しているところを救助され、緊急入院し、そのまま特別養護老人ホームに入居することができた。

 

もし、見守り契約を結んでいなかったら、病院へ行けず、そのまま孤独死していただろう。今の時代、お独りさまは、見守り契約は必須かもしれない。

 

Kさんは、今、冷暖房の行き届いた清潔な場所で、毎日あったかい3食のご飯やおやつを食べ、テレビを見たり、アルバムを見て昔を懐かしんだりしながら、過ごしている。また、着替え、お風呂、排泄もすべて介助をしてもらっている。まさに、24時間の見守りがあるので、安心だ。そして、いつか訪れる死も、人間らしく、安らかに迎えられるだろう。