こちらが

Suite Coco Chanelになります

 

ホテルの方に導かれて

部屋のドアを開ける直前、

 

うわー、ドキドキするなぁ

 

って小さくつぶやくと、

 

ママちゃん、よかったね!

 

と次女が嬉しそうに見上げてくれて

 

木製のカードキーを掲げ、

白い頑丈な扉を開けました。

 

 

 

!!!

 

「シャネルの香りがする」

 

なんだか…

さっきまで、シャネルがそこに

いたような香りが漂い

 

不意に涙があふれました。

 

 

彼女が愛用するNo5の香りや

随所に飾ってあるブーケの香りではない、

 

家具に調度品にまで

染み込んでいる

 

人間としての

ココ・シャネルの香り

 

「名残を感じるね」

 

長女がそう言って、

部屋を見渡します。

 

188平米の空間には

シャネルが愛用していた

ベージュのスエードのソファ

漆塗りのコロマンデル屏風

 

修復を加えながら、

実物そのものが佇んでいて

 

シャネルが30年以上居を構えて

愛した空間が

優しく立ちのぼっていました。

 

「中をご案内します」

 

ホテルの方の説明を聞きながら、

 

2つのベッドルームとリビング

窓から光が差し込むバスルーム

 

年代物のシャンデリアや

家具、ベッドサイドの装飾、

 

 

スチームサウナには「perfume」

というボタンがあり、押すと

ミストと共にアロマの香りが漂う設計

 

テーブルの上には、

綺麗に飾り切りされたウェルカムフルーツ

 

エッフェル塔に型どられたチョコレート

フレッシュジュースやシャンパン

 

 

 

 

 

 

 

そして、子どもたちには

特製の小さなトランクに、

塗り絵やカラーペン、

小さなRitz名物のぬいぐるみ

 

 

主寝室の枕カバーには、

夫婦のイニシャルがそれぞれ

刺繍されて

 

同じく、家族全員分の

イニシャルが入った

バスローブのプレゼントまで

 

 

 

・・・と、夢見心地で、

お部屋を巡っていましたが、

 

さきほどから、

部屋のあちこちに飾ってある

シャネルのポートレートから

 

強くてシャープな

エネルギーを背後に感じていました。

 

 

 

 

数年前の自分なら、

そっと視線を外したくなるような

己を問うような眼差しのポートレートから

 

奥までは誰も入らせないような、

エネルギーが放たれています。

 

『皆殺しの天使』

『死ぬほどの完璧主義』

 

と友人に評されるほど

鋭敏な彼女の精神。

 

その視線を背中に感じながら、

部屋の調度品や置き物や

年代物の鏡などを見ていくと

 

次第に、

 

それを選んだ彼女の眼差し、

それを愛用する彼女の指先

 

彼女の奥底のエネルギーが

伝わってきました。

 

それは、

 

優美でこれ以上ないほど

ロマンチックなエネルギー。

 

 

可憐で繊細な世界を愛する

自立した少女の感性

 

なんてロマンチックな人だろう…

シャネルの心の奥に佇む儚さに

触れたように思いました。

 

しかし、その日の夜、

 

窓から見える

ヴァンドーム広場を眺めながら

天蓋付きのベッドで眠りについた後、

 

さらにその奥に漂う

彼女のエネルギーを感じることになりました。

 

続きますキラキラ