これまでいろいろなことがありましたが、宙組に残って精進してきた劇団員たちのこともあり、宙組の舞台再開は「劇団員のパワハラ行為なしと公演の安全」さえ確保できれば許容したいという考えで書いてきました。

 

でも「大丈夫だろうか」「観る気がおきないかも」などとつぶやくファンや一般の方たちに対して「観たくなければ観なくて結構」「わざわざ言うな」などの書き込みを多く目にして、考えを変えました。

 

「観に来るな」と書いている方たちは、決して愉快犯でも荒らしでもなく、れっきとした宝塚ファンです。プロフィールにもご贔屓の名前があり、観劇もしていて、取れたチケットの種類からも彼らのいうところの「アマチュア」ではないことがわかります。

 

ただの荒らしだったらよかったのに。

 

宝塚ファンをおりてただの一般席から見ていると、宙組を守っているのは他者の意見を受け入れず、最も傷つく言葉を選んで叩きにいく人たちです。その人たちによるとチケットはもう誰が買わなくてもよくて、売る前から完売状態のようです。実際そうなのでしょう。

 

どの会社でも学校でも、パワハラ行為者は社内で処分を受けます。でも今回特定された10人にはなにもありません(劇団が公式にそう発表しています)。これだけでも批判されて当然です。

 

H演出家が手記を出して1年です。あのとき劇団は即座に部署を替え自主退職に追い込みました。相当ひどいことをしたのだろうなと当時は思っていましたが、今はあれは劇団の尻尾切りだったのだと考えます。当時すでにパワハラ行為はありました。劇団が公式に認めています。ほかのことが露見しないようにあわてて1人だけを切った。もしあのときに、劇団が本当にハラスメントについて考え、劇団全体を調査して対策していたら、命は失われませんでした。

 

やれることはたくさんあった。あのときにも、あのときにもと悔しい思いでいっぱいです。

 

そして今、やっぱりこれはおかしい。パワハラ行為者10人(特定されただけの人数)をそのままにして、次に何が起こるのか、起こってからでは遅い。もうわかっているのだから、このまま進んでいいわけはないと思います。(本当はH演出家のときにやらなくてはいけなかった、劇団全体の事実調査と指導が必要です。宙組だけではないという視点に欠けています)

 

宙組で頑張っている人たちのことを考えます。見守っているわが子に救いの手を差し伸べられない親御さんの気持ちも考えます。わたしなどがここにいくら書いても全然意味がないこともわかっています。でも本当にもうこんなことがあってはいけない。だからわたしもあちこちの方面にいい顏をして、理解者のようなふりをしていないで、「現体制のままの宙組公演再開には反対」と書きます。(今後何人退団者が出ても、キャスト発表にあるトップはそのままなのでしょう。この状態は現体制といっていいはずです。)

 

ここに至るまで、そして亡くなった前数日間何があったのか、間近で見ていた劇団員たちが恐怖や疑問を抱くことなく稽古し、胸を張って舞台に立てることを願っています。