こちらの動画で書き起こしています。

 

・会見目的

本日午前大阪にて合意書締結された報告

 

・ 合意内容の要旨説明 

別紙A遺族代理人と阪急代理人共同作成

読み上げ

https://kageki.hankyu.co.jp/news/pdf/20240328_003.pdf

 

・14項目の読み上げ

・被災者の母親の訴え代読 22分頃

 

・合意書締結にあたっての弁護士団の声明読み上げ 別紙C

(概要)依頼を受けたときはすでにヒアリングが始まっていた。多くの証拠を手にし、ひどいパワハラ、労働状態を知り、調査書はしっかりしたものがでると思っていた。ところが全て否定するという驚くべきものだった。ことさらに被災者の不備を強調するものだった。本件の調査チームの内容は適切な内容とはいえず、ご遺族を著しく傷つけるものだった。独立性にも疑問を残し前向きの問題解決に向けてマイナスの効果をもたらすものであった。本日まで解決が長引いた重要な要件なので改めて指摘しておきたい。

宝塚歌劇団において将来のある劇団員の命が奪われた事実は重大な人権侵害事件である。宝塚歌劇団は関西の経済界においてもっとも有力な企業である阪急阪神HDの経営である。事件後速やかに謝罪すべきであったが、事実を究明せずパワハラを否定し続けてきた。ご遺族の毅然とした姿勢によって合意に至ったが、阪急阪神グループが改善しなくてはいけないことは無数にあることを指摘しておく。同じ時刻に会見すると聞いているが、まず本件の痛ましい事実を真摯に反省する、このことから出発することなくして改革はあり得ないことを弁護団として主張しておく。深刻な人権侵害を痛感した。今後は芸能芸術の分野で働く人たちの人権、命、健康が奪われることのないよう活動を続けていく。

 

・補足事項

12月7日会見で調査報告書の誤りを指摘し15項目主張した。今回の合意書14項目の(5)は新たに追加。本来16項目に増えるのだけれど合体した部分があり14になった。

従前から主張してきたパワハラ行為はおおむね今回の合意書に反映することができた。100パーセント一致しているわけではないがおおむね合意に達した。

 

ここから質疑応答 

・匿名報道をお願いしてきており、個人情報その他により非公表だけれど、できる限りお答えしていく。

 

・日本テレビ パワハラ項目について

項目については全て合意した。

ヤケドについて、振り写し、お声がけのパワハラ行為などの様々な事件について全て劇団は認めている。

(14は時系列にならんでいる)例えばへアイロン事件はこちらは「故意があったと受け止めているが、仮に過失でもパワハラ行為は明らかである」という説明をしてきた。結果、故意という認定でなく、こちらが自分でやるといったのに上級生が髪を巻こうとして怪我をした、「自分でやることを望んでいたのに」という表現で合意した(100パーセント一致しているとはいえない例として)。またこの件について謝罪はなかったと主張していたが「真に気持ちをくんだ謝罪ではなかった」という表現で合意した。

このように表現上の違いはあるが当初は事実無根と言っていた点については劇団は完全に撤回した。そもそも「事実無根」という発言自体重大な問題であった。

 

ここから右側から指名する形で各社質問 ほとんど社名なし

 

・パワハラ行為者の人数について

10名はパワハラ行為に関わっている

厳密に言うと10名以上。

劇団幹部 宙組上級生幹部 宙組上級生 演出担当者

本日代理人を介して謝罪文が提出され、受け取った

アイロン事件の上級生は謝罪文提出予定だがまだ受け取っていない。代理人によれば提出予定とのこと。

きょう受け取ったのは6人(演出担当含む)。

 

・未払い賃金などの主張について

労働関係に関する詳しい表など賃金についても請求した。個々についての反論はなく法的に未払い賃金があったか交渉はなかったが、慰謝料・解決金の中に含まれているという理解をしている。

・契約関係についての実態について

具体的な改善事項をのせて交渉していくとなると相当な時間がかかる。無数の問題があるので(6年目から委託契約がいいのか、現在の契約が適切なのか、などなど)今回の交渉では行わなかった。そこまでご遺族に託されるのは負担が大きすぎるので。

 

・法律的な労働契約について

(弁護士個人の意見)宝塚の実態は委託契約されている人たちは労働法上の労働者であるとすべき、厚労省の基準から見てもそうされるべき。今の状況が続いて6年目以降も拘束されるのであればその契約にするか、委託契約にふさわしい関係にしてフリーランス適用の契約に変えるべきだ。

 

・本日の角会長の謝罪の具体的なやりとり 謝罪文の内容

合意書に沿った内容の謝罪だった。

この会見の場で謝罪の言葉に対するコメントは特にない。よかったとか悪かったとかそういうコメントは差し控えたい。なお文書でも謝罪文としていただいた。

6名の謝罪文の内容は公表差し控えたい。パワハラ行為者といえども完全に特定されることをご遺族が望んでいるわけではないので。

個人の謝罪は要求してきたが、全員揃えることを要件とはしていないので、6名だったがそれはそれとして受け止めて合意した。

・合意書の表現について

個別条項について、それぞれあとでお答えします 時間がかかるので。

 

・解決金について 1時間9分頃

金額は非公開 金額が推定できる表現も差し控えたい

・場所

大阪市内のホテルの会議室

・死亡原因とパワハラの関連について

死亡原因について詰めて明確にしようとするとなると、亡くなった状況などの書類を共有しなくてはいけない。裁判になればやることになるが、本件の痛ましい亡くなり方を考えると好ましくない。医学的因果関係を明確に認めるという言葉は合意書には入っていない。ただし、長時間労働 14項目のパワハラによる心理的被害 安全配慮義務違反を認めているわけで、亡くなった原因として劇団側が認めたと理解している。言わずもがなということである。

 

・謝罪文について 1時間16分頃

6名自分のことばで自分の文章であり、すべて直筆で書かれている文章もあった。劇団がつくって連名で署名したようなものではない。文章の中にパワハラという言葉が入っているものもあったかもしれないがなかったかもしれない。各人が行為を理解して謝罪文を書いているので(パワハラを認めて出している文章)パワハラの言葉が入っているかどうかは問題にしていない。

関与した人の内訳 幹部上級生4人 上級生3人 劇団幹部2名(P含む) 演出担当1名 完全に特定できているのはこの10名

(4)(8)(11)(12)(13)に出てくる幹部上級生の中で謝罪文を出したのは2名 (幹部の定義が人によって違うので、ということで内訳内容でしばし質疑が中断した)宙組上級生1名 演出担当1名 劇団幹部2名 計6名提出があった。 

 

・ヘアアイロンの上級生の謝罪文は届いていないが確約は?

劇団代理人からは確約をもらっている

間に合わなかったが出す予定であると聞いている

 

・手紙 残り4人の出す意志について

受け取る際に1名間に合わなかったと言われたが、他の方々は話がないので出さないものと解釈している

・パワハラと自殺の因果関係について 文書に載せなかったことについての説明はなにかあったか

因果関係を認めないという話は全くなかった。「パワハラを認めるがそれと亡くなったのは無関係」などとは劇団は言っていないし、そんなことをいったら合意できないので。こういう合意書締結のときには「強い心理的負荷」と書かれた時点で言わずもがなということ。

 

・合意に至るまで 1時間29分頃

前回2月27日記者会見では決裂の可能性ありと考えていた。というのも劇団が一貫して否定していたパワハラを、パワハラに認定すると明確に示してきていたが、まだ具体的なパワハラ行為の特定についてもかなり開きがあった。宝塚グラフについても謝罪がなかった。

その後「せめてこの事実は認めなさいよ」という事実まで否定するようなことであったら、場合によっては司法、国連などに訴えることを伝え、関連書類も結構出して 本日の合意に至った。面談交渉その後3回 そのほか連日のように連絡などをして合意に至る。

 

・改革案について

まだ改革案については内容は知らない 

最低限変えなくてはいけないもの、委託契約などがあり、 同労基準監督署の立ち入りもあったのでフリーランスなど行政指導などによって改革しなくてはいけないだろうと推測している。

 

・労災申請について

やりません。労災申請の手続きは1年以上かかる(判断を含めて)、過重労働は明らかだが相当期間かかり、ご遺族がやることはない。

 

・面談交渉日時

3月4日 15日 22日 大阪にて

 

・劇団がなぜ認めたか理由 1時間40分頃

こちらではなぜ劇団が当初の態度を変えたのかはわからないが、パワハラがなかったという報告書が出たこと自体がおかしい。報告書を理由にしてパワハラはないという見解だったのでその出発点自体がおかしい。きちっと交渉し、資料を出し、密室でなく世間も見ている中での交渉なので、社会的にこれはおかしいとなるのは当然のなりゆき。行為者の主張に引っ張られて劇団がパワハラ認定しなかったので長引いたのではないか。1月のこちらの会見で社会的にもこれはおかしいという流れになり、変わったという流れではないか。(会見の時期についての確認のやりとりあり)

 

・長くかかった理由

組織防衛と個々のパワハラ行為者をかばう両方の原因がある。

 

ー具体的なものもどうぞと弁護士

 

・今後について

仮にこの合意書を納得できないという人がいたとして、自らをかばうとかご遺族を批判するとかそういう行動があった場合は、それは新たな紛争なので、新たに誰かが何かをやった場合はそれに対する対応はしっかりする。大きな区切りになったと思っているが、明日からこの問題に関して大きな問題は起こらないと決めているわけではない。余波が残る場合もあるのでしっかり対応していく。

 

・阪急阪神HD 阪急電鉄の対応について

グループとして謝罪すると認めたことは評価するが、全て劇団・グループの責任ですということは個々のパワハラ行為を行った人たちの責任を減じる可能性がある。こういうものはやった人が責任を認めて謝罪することが大切。だから両方の謝罪を求めてきた。

・調査書、調査委員会について

調査報告書の内容は弁護士の専門家集団が作るものとしては汚点。パワハラがないというのは無理がある内容。調査活動については反省してもらいたい。ただ法的な手段で訴えるということはない。

・証拠があるなら見せてという発言について

謝罪があった。にやにや笑いながらの会見は不謹慎だと強く抗議した。この点についても交渉の中で明確に謝罪があった。

 

・妹さんについて 亡くなった方の退団について

1時間53分頃

妹さんは調印の場にはいたかは常識的に考えていただければというところで。

亡くなった方の退団については合意書の締結をもってHPでご覧になって情報を収集されたらと思うのですが、合意書の締結をもって行われたと理解している。

 

・SNS上で誹謗中傷があったことについて

1時間56分頃

直接的になにかやってはいない、やる予定はないが今後絶対やらないわけではない。けしからんのひとこと。

 

・事実関係について補足(冒頭の質問に答えて)

(4)会議室に呼び出した件

過呼吸の状況にあった被災者に対して配慮を欠く態度があった 

(8)(9)

通常8名なのに2名しかいなかった 被災者が責任者だった

多忙極まる状況だった のにこれまで行われてこなかった振り写しをやるということで負担を強いることになった経過

これを前提として問題が起こった。 関連して(14)不備があると指導叱責された。 つまりこの3つはパワハラを理解するのに重要なものであると理解してほしい

この構造が今回のパワハラとして重要である。要旨としては書かれていないが補足。

 

・パワハラ行為者10人の現況

退団している人、していない人もいるが退団理由についてはわからないのでコメントするのは不適切と考える。

 

・改善策について具体的に 2時間13分頃

無数にある。

本件の死亡について事実関係を確認しそこから反省点を整理し、教訓を踏まえて改革案を出さなくてはいけない。初めの実態を大江橋法律事務所の調査でいいよとしていた、そこが誤りである。そしてこの合意書で済んだとしてしまうとこれが一番まずい。

 

「弁護団の意見として」

宝塚歌劇団は阪急阪神グループのエンターテイメント部門として位置づけは極めて高く、有価証券報告書20年分見たが収益が高い。そこで低賃金長時間労働はあってはいけないこと。グループの構造の中で発生した問題である。企業体だから収益も上げるものだけれど、コンプライアンス、SDGSそういうものに沿ったものにしなくてはいけない。芸術部門であっても同じこと。企業集団として当たり前のこととして人権、命、健康を守ることをしっかりやることが大事である。

 

いかに世界的にも日本にも多くのファンがいて観劇してくれても、演劇によって人々を魅了することのできる芸術活動であったとしても、それを担う劇団員が人権侵害を受けたり命と健康を奪われるのは絶対あってはならないこと。これは特殊な部門であるからと見るのではなく、当たり前の人権、健康が尊重され賃金もまともなものが支払われる、そういうことがしっかりと改革の姿勢の中に入らなければならない。

多くのファンは劇団員が健康、命が亡くなるほどの過重労働をして舞台を見せてくれと思っているわけではない。

最後に、伝統的な大正以来という文化ということで誇りに思うことはいいことかもしれないが、今の時代 縦の関係イデオロギーがいかに危険な影響を及ぼすのかを認識してほしい。

 

本公演の2回公演の方をやや少なくする、1回公演をやや多くするというような案はそれはそれで評価しなくてはいけないこともあるかもしれないが、現状からいってその程度の負担軽減でいいのか、ということがあり、今はパワハラについてだが、長時間労働についてなど個々の問題について今後関心を持っていただいて、いい方向での改革を実現できるように、メディアとしての取材を行っていただきたい。

 

たとえば労災認定について、すごく怪我が多い。統計が発表されるわけでもないし、労災認定をされていないものも多い。怪我をどう防止するか、怪我が発生したらどうするのか。これまでは治外法権という特殊な場だった。具体的な課題は無数にある。元にある考え方をしっかりしなくてはいけない。

 

受験生は少なくなったが今年も10倍くらいある。今後も日本社会全体で注目をし監視していただきたい。ご遺族がそういう改革実現を提案するということまでは酷であるので、今回は責任をとらすということを明確にして合意書締結となった。弁護士個人としては今後も調査、研究をし、社会に向けて発表したいと思っている。

 

大阪で記者会見も考えたが、様々な事情もありご理解いただきたい。このあと個別にお答えします。

 

以上です。