人権派 がなぜか非難のワードになっているのを見かけたので、「武器としての国際人権」(集英社新書)という本について書きます。この本を取り上げるのは2回目です。著者は藤田早苗さん 英国在住の法学博士です。

 

日本の人権イメージは「親切や思いやりによって実現するもの」ではないでしょうか。優しさ・思いやりが強調された学校教育になっています。

 

国連人権高等弁務官事務所 つまり国際的には人権とはこう説明されています。

「生まれてきた人間すべてに対して その人が能力・可能性を発揮できるように、政府はそれを助ける義務がある。その助けを要求する権利が人権。人権は誰にでもある」

 政府の義務は3つあるとされています。
・人がすることを尊重し不当に制限しないこと(尊重義務)
・人を虐待から守ること(保護義務)
・人が能力を発揮できる条件を整えること(充足義務)

 

日本は「人権=思いやり」重視の教育なので、大変な人を助けてあげる、つまり助けてあげないこともある。助ける側の意志に任されていることが問題です。弱い立場の人が権利を主張すると自己責任と言われて 本当は全ての人にある権利なのに 主張しにくくなる。本当の人権教育が早く根付けばいいのになあと、わたしはいつも思っています。

 

この本には国際的に活動してきた藤田さんの実体験も多々述べられていて 衝撃的に興味深いです。できるだけ多くの人に読んでいただきたい。日本は先進国と教えられて学校生活を過ごしてきたのですが、どうもかなり遅れている 遅れているどころか何もまだ始まっていない国のようです。

 

企業も個人も 国境を越えて活動している現代の状況を考えると既得権益や前例にとらわれず 国際的に通用するものの考え方を身につけたいと 強く思う今日この頃です。