2つ目の講座は

「墓誌から見た日本古代の死生観」


墓誌も火葬も

大陸から伝わったものに

間違いなく


中国 朝鮮 日本と

葬送について考察しています


墓誌は中国から伝わりました


この時代

遣唐使や遣唐留学生など

交流が盛んでした


中国の墓誌は

石に刻まれています

マス目にきっちりと

美しい文字が彫られ乱れがありません


日本では

金属や塼(せん)  や石に刻まれています


塼とは煉瓦のことです


内容も極簡単で


安万侶の場合は

住所 官位 名前 死亡年月日と

墓誌の作成日くらいしか

刻まれていません


朝鮮では墓誌の出土は極めて稀で

墓誌を伴わない火葬が普及したと

考えられています


火葬について


中国では

儒教的道徳観から普及しませんでした


遺体損壊は「孝」に背くことに

なるようです


また生活用具の副葬品が

多いことから


死後も埋葬されたところで

生活をすると考えられているようです


日本では

死者は天に昇ると考えられ

墓に故人が居るという観念が

希薄といわれています


肉体よりも魂を尊重していると

考えられています


副葬品も

冥土へ渡る銭が入れられていたりもします


安万侶の場合も

真珠が副葬され地鎮と考えられています


3国で葬送にこんなにも違いが

あることが分かりました


中国は墓誌はあるが火葬しない

朝鮮は墓誌はなく火葬をする

日本は墓誌があり火葬をする


近い国同士であり

交流も盛んに行われていたのに

死生観の違いが表れていることに

興味がわきます


ただ古代日本の墓誌は

16例しか出土されていません


なぜ少ないのか

なぜ断続しているのか


講師の東野治之さんは

結びにおっしゃいました


「文化交流史の落とし穴は

 受容された文化要素ばかりが

 脚光を浴びる

 文化の特質を表すのは

 受容されなかった要素です」


深い言葉だなぁ