雨上がりの早朝の頭上にはペールライトブルーの空が拡がり見渡す
周囲には比較的厚いブルーグレーの雲がゆっくりと形を変え流れて
います。日の出の時間は過ぎていますが遮られてお陽様はお出まし
にならずただ雲の上端がオレンジに輝いています。隙間から放射する
光条の元を辿れば大凡の位置は把握出来ます。歩く目線からはまだ
まだ低く在っても周囲を取り巻く雲の同じく上端は照らされています。
日光を浴びる順番は東西南北はほぼ関係なく高さにより決まります。
何気なく眼に映る大自然のダイナミックなメカニズムを感じられる瞬間
です。お天道様の方角には分厚い雲が重なり、ふと虎の形で有るのに
気付きます。牙を剥いた口が最も照らされ良く見ると所々薄い箇所から
滲む光は赤く黄色くダークグレーの胴体に明暗の縞のグラテーション。
振り返れば何処も彼処も似た景色。そして虎は走り去り何時もの朝に・
目線が変われば景色は違い色彩も変わります。人は何時でも眼に見る
景色を信じ、ソコに正義を置きがちです。一つとして決まったモノも変わ
らぬコトも同じイロも無いのに、そんな多次元の混沌がこの世界なのに
わざわざ三次元の世界に閉じこもり観えない高次元を認めたがりません。
仮に貴方が三次元の住人だとして二次元で暮らしたいですか?まして
もっと窮屈な一次元に世界を決めたいですか?ナンセンスですよね!
この世界はもっともっと高次元で自由です私達は既にそこに存在します。
正確には有限の時間を持つ身体と絡み合って制限と戦いながら活きる
例えて命のちぎれ雲なのです。私達はそれを知っています。何れソコに
帰るコトを・・でもジャクソン・ブラウンの名曲STAYの様にあともう
ちょっとだけもう少しだけ長く居たいのです。三次元で経験を重ねたいの
です。ほっぺたが落ちるような美味しい料理を燃え上がるような恋愛を・
其の為に眼の前の誘惑に惑わされず耐え難きを耐え忍び難きを忍びます。
そして或モノは成就し上級といわれる優越感に浸り或モノは挫折し下級と
呼ばれ、二次元の紙に記された制限の中でどちらも藻掻きます。これは
本来前述のナンセンスな低次元な生き方で人それぞれ頭数だけの正義が
あり生き方も千差万別あって然るべきなのです。幸せへの道?そんなモノ
そもそも他人から教わるモノでは無く自分で掴むモノなのです。
人は生きている間いくら美味しいモノを食べても翌日にはお腹が減ります。
いくら熱く燃え上がるような恋愛を経験しても何時かは冷めるのです。決して
否定するつもりは有りません。人生楽あれば苦がありどちらも経験すべき
コトでありこの世に生まれた理由でもあります。ただ執着しても最後には
苦しみしか残りません。幸せは通り過ぎて往く経験で切り取られた記憶の
一場面なのです。人はソノ為にこの世界にもう少し居座りたいのです。
ほんのちょっと先の雲の形すら視えません。ついさっきにも戻れません。
写真に切り取ってもソコには今の自分は存在できません。でも旧い写真を
眺めるとこの写真の空の続きの何処かの下で祖父や祖父母が確かに居て
その時々の青春を謳歌し或いは人生の高みを経験する最中かもとか考える
と何とも言えない感傷が湧き立ちます。本当に高みに在るのなら歴史にその
記憶が残るコトも有るでしょうし、その記録を失うコトもあり得ます。
未来のコトは記憶に視えませんが今自分が高次元で生きれば未来の誰かが
生きた証しを見つけてくれるかも知れません。東西南北と時間に関わらず高い
処が先に照らされ輝く雲の様に・・・低次元に埋もれると暗く紛れて判らない様
に・・・そう考えると過去も未来もココから拡がると言えます・・・・・