電気技術者さんは電気図面や関係図面をチェックしながら、作業をします問題点を探す時は原点に戻り回路にテスターを当て地道に一つずつ順番に部品を検査し、問題ないことを確認できれば消去法で原因をあぶり出します、電気技術者さんは確信しています、問題には必ず原因があり、その原因を取り除くと必ず問題は解消すると、電気製品は時間が経つと劣化します、発熱を除去する為、ファンが回っていたりするので必ず埃を呼び込んでしまいます、その埃が湿気を含んだりすると回路をショートさせる原因にもなります、でも通常回路は自己クリーニング機能は無いので、埃を被らない設計や定期的な清掃が欠かせません、ショートしてしまうと過電流が流れ、部品が焼けてしまったりします、通常想定内の過電流による回路保護にはブレーカーが設定されますが、回路内ではヒューズが飛んだり、抵抗が焼けたりして故障の原因となったりします、電子回路の環境によれば油分にさらされ基盤にこびりつく時もあります、そんな時は電気技術者さんは、汚れた基盤を取り外し水洗いしてしまったりします、電子回路基盤を水洗いするなんて、使いモノにならなくなると素人は考えますが、プロは解っています、勿論水濡れ厳禁の部品もあるでしょうが、水洗いしても完全に乾燥させれば回路はショートすることは有りません、素人は焦って乾燥しきらない間に通電してチェックしようとするので、その時点で回路を破壊してしまいます、プロは理屈を充分理解しているので基盤をオシャカにすることは有りません、そしてプロの作業には無駄がありません。
理屈を辿って地道に原因追求することが問題解決の一番近道だと知っていますし電気回路とはそんな理屈で作動するものと確信を持っています、だから作業が早く終り、原因もしっかり除去します、しかし修理を依頼する側はそうは観てくれないこともあります、私の懇意にする技術者さんから聞いた話ですが、他の技術者が3日掛けても直らなかった問題をほんの数時間で直してしまうと、依頼者は高い報酬に疑問を持ってしまうこともあるそうです、視えない部分のノウハウの価値を計りにくい部分は有りますが、仮に判っていても早く作業が終ったコトに対し、報酬の値引き交渉を持ちかけられることもあるそうです、プロの電気技術者の仕業に素直に感謝してくれる依頼者には、プロの目から気付いたその依頼者の電気環境の不備を指摘し、改善方法も教えてくるそうです、こんな知識は通常聞かせて貰えませんし、企業のコストダウンに直接繫がっていく貴重なノウハウでもあります、そのアドバイスを手にする分岐点にあるのは素直な感謝する気持ちなのです・・
ファナックという会社があります、工作機械のCNC制御装置のメーカーですが、富士電機から派生した富士通が世界のCNCのリーディングメーカーであるドイツのシーメンス社に技術提携を受け富士通ファナックとしてスタートし今や元の親会社も凌ぐ世界的メーカーとなっています、ファナックが大躍進を続けている理由は時代を先取りした先行投資とドイツの技術を追う日本の立場を補完する為の必要性に迫ままれてという部分有りますが、何といっても電気を知り尽くしたプロのノウハウを企業戦略に活かせることが出来たからだと思います、理屈どうりに戦略を実行していけば必ず答えに到着するとういう確信をビジョンにして持ち付けているからに違いないでしょう、工作機械の機械的技術や特許はドイツがその大半を所有していました、航空機や車を作る為のマザーマシンとしての機械は時代が移るのに合わせる形で高精度が要求されるようになり、メカニック的には限界近くまで達成されてきました、ドイツの後を追うかたちになった日本は、知的財産権に守られた技術をその昔の様に無償で拝借できません、そこで考え出されたのが電子制御システムです、限界までに高精度ではなくても、直線移動のガタツキのプラスマイナスを電気的に補正して無くしてしまう位置制御技術は、プログラムによる複雑な自動運転を可能にし、機械操作が未熟なオペレーターでもマニュアル通りに数字を打ち込めばデータ通りの精度の加工が出来るという、モノ造りの新しいスタイルを生み出しました、工作機械メーカーが独自のCNC技術を発展させ自社製の機械を制御するのも、保全や修理にメリットが多く素晴らしいコトなのですが、別段新しい電子制御技術を一から育て上げるのもそう簡単ではありません、機械メーカーは機械造りのハードに専念し、電子制御のパートはファナックとタイアップして解決するというスタイルは資金力の脆弱な中小企業のメーカーの立場とすれば選択すべき方向でありました、そして何時の間にかDOS-Vを採用したマイクロソフトのようにそのシステムが世界基準の一つにまでなっています。
ファナックを採用した機械メーカーの機械はそのメーカーの技術者だけでは機械の保全や修理に対応できません、電気的な部分はファナックの技術者が派遣され解決することになるのですが、ファナックの技術者は原因を追究するコトをしません、エラーが出ればマニュアルに随い機械的に処理し、マニュアルが指摘する問題箇所の回路基盤を丸ごと交換します、これにより派遣する技術者が電気的専門ノウハウが無くでも目的を達成できるシステムを構築したのです、このシステムが無ければ機械の電気部分の修理に腕の確かなプロの電気技術者を何日も待たされるコトになります、顧客のシェアを世界的に増やしたファナックとすれば、対応しきれない由々しき問題にも発展するでしょう、顧客の工場では機械が止まると生産計画も崩れるという死活問題でもあります、機械導入の計画時には故障による使用不可期間は想定されることは有りません、一日でも一時間でも早く戦線復帰が望まれます、だから誰もファナックの修理システムに文句を言いませんし、文句を言っても選択肢も無く得することにはなりません、これから益々AIやロボット技術にファナックは絶大な影響力を持つように成って行くことでしょう。
最近のファナックの制御装置にはそんなAI技術の走りになるような技術が既に採用されています、機械でモノを造ると言うコトに関してファジーできめ細かなサービスを実現しつつあります、なら修理マニュアルもそんなファジーな対応をしてAIに判断させ無駄のないサービスを顧客に提供して貰いたいモノです、一個数十円の抵抗器を交換するだけで済む修理を一枚数十万円する基盤交換で対応するのは無駄が多すぎると思います、ファナックだけに限らず自動車メーカーも何だか長年乗っているうちに、少しずつ少しずつ時限爆弾のように部品が故障していくことには、新車販売には貢献は出来るでしょうが顧客は無視されています、昔の車は少しでも修理費を抑えてくれようとするプロの優しさがあったと思います、だから古い車は何時までも大事にされたりするのでしょう、最近の時限爆弾つきの車は流行が通り過ぎれば誰も見向きもしません、クラッシックカーとして残されていることも想像できません、そしてそんな大手企業のエゴの隙間は埋められていく宿命があるのです、大きくなりすぎて身動きの取れにくくなった怪物は内部から派生した隙間を埋めた考えのベンチャーを産み出し、そして産みの親をも凌ぐ会社に成長するのです、その辺りの顧客に対する感謝が薄まった部分の隙間はこれからの狙い目でしょう・・・