映画マトリックスのヒロインが愛する主人公をサポートする為、仮想世界に入り込み、バイクの操作方法や、ヘリコプターの操縦の仕方を瞬時にインプットして貰い危機を脱出する場面がありました、仮想世界では長時間訓練や練習を重ねたという情報さえあれば、身体は自然に必要な動きをし、勝手知りたる行動が執れるのです、女性に200kgのバーベルを持ち挙げろと言うのはさすがに無理があるかも知れませんが、普段鍛えて運動神経が発達した人なら乗り物の操作は可能なような気がします、しかし主人公の場合は、神の領域に近づくにつれ筋肉量とか運動神経とかを超越した行動がとれるようになって行き、自分に向け放たれた無数の銃弾を避けるまでも無く止めて落とし、遂には空を自在に飛び回るようになりました、これは情報のインプットではなく、情報で管理されている世界そのものからの脱出を意味します、情報をインプットして貰うデータベースにはそんな情報は存在しないからです、但し主人公は最後まで表裏一体のライバルと戦い機械との最終決戦では極めて人間臭い選択のエンディングとなりました。

 

 実際の現実世界が仮想世界かも知れないということは一先ず置いておくとして、人間には映画のように首の後ろに接続ジャックが無いし、便利なUSB接続も出来ないので機械と直接の情報交換は無理があります、やはりモノ事の経験をインプットするにはこつこつと行動するしか無さそうです、しかしネットから様々な情報を引き出すことで、どこで経験できるかとか幾ら位の予算で、どの指導者に就けば良いかとの情報を予め取り入れ、要領よく経験を積むことは可能です、情報だけを取り入れることは出来ますが経験は実際の行動からしか自分のモノとすることは出来ないのです、でも人間にも出来ることがあります、人間の頭の中にもパソコンのデスクトップのようにゴミ箱があり、気になれば中身を空にすることが可能なのです、嫌な過去の経験や、必要の無いこだわりや思い込み、まだ起こっていない未来の変化に対する恐怖、何時も自分を虐める天敵のような存在等々、意識してゴミ箱に捨てていきゴミ箱を空にするように多段階で忘れ去ることは可能です、インプットではなくアウトプットです、これにより本当に必要な情報が入り易くなりますし、自分で自分の歩むべき方向を捻じ曲げてしまうことも軽減できます、本来人間には越えることが出来ない峠は目の前にありません、一歩ずつ越えれば必ずやり過ごせるし、越えれないと思わせるのは捨ててしまう必要のあるこだわりや恐怖心の仕業なのです、忘れ去っても対象が消えて無くなる事はありませんが、どうってこと無くなるのです・・

 

 記憶の中の嫌な事柄をゴミ箱送りにするには、その事柄が頭に思い浮かぶ毎に無念無想を心掛けるのです、これには少々練習とコツがいりますが、そんなに難しいことでもありません、こんな逸話を聞かせてもらったことがあります・・昔とても偉い禅僧に無念無想の境地が解らない人がどうすれば無念夢想の状態に成れるのか尋ねるとその禅僧はこう教えてくれたそうです静かなところで無理せず座した姿勢で《頭の中が空っぽ》《頭の中が空っぽ》《頭の中が空っぽ》とそのこと一つを考えて雑念に入る隙を与える事無く集中するとそのうち頭の中には《頭の中が空っぽ》しかなくなる瞬間が訪れる、何度も何度も繰り返すとその瞬間が維持できるように成る、そして《頭の中が空っぽ》そのものも捨てると頭の中には何も無くなりそのとき全ての思考が止まりそれを維持する・・これなら就寝前のベッドの横でも練習が出来そうです、私はお風呂のシャワーを少しいじり、小さな滝を作りそれに打たれながら練習したこともありますが、頭の中が空っぽになればシャワーの音も気にならなく成ります、慣れれば場所も選ばず短い時間ならどこでも空っぽになれます、傍からみれば間抜け面をさらしているかも知れませんが、目の前に問題が起こる度に瞬時に実践し解決に役立てることが出来ます、マトリックスのヒロインとは逆のアウトプットに依ってですが・・

 

 原子核の周りを回る電子は以前には太陽の周りを周回する惑星と似たモデルで説明された記憶がありますが実際の電子は原子核の周りを周回するのではなく電子雲のかたちで軌道の距離に帯電しているというのが最近の流れになっています、その一番外側の電子雲に凸凹があることによって+や-の電荷をもち他の原子と結合します、そして電子は外部から一定の光子エネルギーを受けると励起状態となりワンランク上の軌道にジャンプします、そして元の軌道に戻ろうとします、この軌道というのは太陽系にもありますこちらも全く自由な位置に存在するのではなく、惑星が自分自身で集められる物質の量や、惑星同士の重力の干渉で丁度バランスの取れた位置にしか存在できないのです、その辺の動きを元に太陽からの計算された距離を探索し、新しい惑星が確認されていきました、この丁度良いバランスの軌道という概念は人のモノの考え方にもあるようです、人生の試練を乗り越えたり、本来あるべき自分の生き方を実践できたりを積み重ねると、機が熟してモノの考え方そのものがワンランク上の軌道にジャンプします、そしてそのレベルをクリアすると、もうワンランク上にジャンプも可能で、その頃には、普通のレベルでは見えなかったモノが見え出したり、常識ではありえない力を使えたりも出来るのです、本人からすると何てことはない力なのですが普通の人からはそうは見えないのです、まるでマトリックスの主人公が常識世界を脱出して自在を得たように・・・