これは私が見た夢の話です、当時の私を取り巻く環境や想い、心的ストレスを私の脳がミキサーで混ぜ合わせて歪曲したり象徴化したりして創作したフィクションであり実在の団体や人物には一切関係がありません。

 

 母親が亡くなって父親と同じお墓に納骨をすませ暫くたった頃、母親が夢に出てきました、出て来てくれたのは良いのですがその登場の仕方が・・・暗い小さな部屋の片隅でパジャマのまま、ずぶ濡れになってへたり込み 寒い~寒い~と震えながら呻いています、母さん何してるのそんなところにいては駄目でしょ こっち来て! 身体が動かない~と訴えるので、抱えあげて介抱し着替えさせて連れて行くことに・・・次の場面では車に乗せてどこかの田舎道を走っています、山間部の集落のようなところにたどり着くと、車を止め、結構広めの宅地のある邸宅というよりも田舎によくある平屋の旧家に入って生きます、広い玄関から上がるとこちらへどうぞと白い塗り壁というか白い紙が貼られたというか、そんな壁の続く廊下を案内され、ここでお待ち下さいといわれた場所は少し風変わりな何か違和感のあるところ、部屋自体が長く廊下の延長のような場所なのですが廊下そのものは行き止まりでそこを横向きに壁に向かって何人も座って何かを待っています、良く判りませんがこの壁の向こう側は・・

 

 次の場面ではまた廊下なのですがこの世のものと思えないぐらいの景観です、松の一刀彫が時間を経過してヤニで渋く変色したような光沢のある褐色一色で造られていて壁や天井そのものに延々と荘厳な彫刻が施されています、窓は一つも無く、やはり長い廊下の先は行き止まりです、母親の手を引き行き止まりの前で途方に暮れていると、父親が知らない人2~3人と登場です、父親が私に、ここから先はお前には行くことができない、そして母親に、こっちだと廊下の突き当たりの横の部分にある細工された潜り戸を明けると、外の景色が目に飛び込んできました、ここは断崖絶壁の山の上のようです、遠くの方にも山が在りかすかに集落のようなものも見え、どうやら険しい山道で繋がっているようです、母親はその絶壁を目の当たりにして怖気づくのですが、父親が俺の行くとおり付いて来たら大丈夫と勇気付け手を引いて連れて行ってくれました、親父が一緒にいてくれるなら安心と私も戻りました。

 

 こんな夢を見ました、清水寺(行ったことはありませんが)のような外観の寺というか神社というか中に入っていくと正面に舞を舞う広い舞台が何箇所にもあり周囲の渡り廊下や階段がが複雑に入り混じる大きな柱の木造4~5階建ての大きな伽藍です、所々に神様や明王の像のようなものが安置されお参りに来た人がその前で手を合わせています、仏像のようなものもあるのですが大きさが7~8メートルはあると思われる偉いお坊さんのような坐像が並んでいるのです、この像は生きた人間のように彩色されていて、荘厳ではあるのですが不気味な感じがありました。

 

 私はお参りというよりは見学していたのですが、そこにどこかから声がします、上に上がってご覧と・・階段を何度か上がって外の景色が見えるところに出ると、あっちを見てご覧・・とまた声が、その声に促されるようにそちらを見入るとそこには参道一杯に参拝者の長い列が見え次から次へと建物に入ってきます、良く見ると何だか見覚えのある人が1人、手には供えのお酒を一本ぶら下げて、よく着ていたジャケット・・親父? 近づいてくると確かに父親でした、生前も良く神社仏閣にお参りする人でしたので、そんな場所で父親がお参りする姿は私にはごくごく自然で違和感が無かったのですが、ここは普通の神社仏閣ではありません、近づいてきた父親に(親父!)目の前を通り過ぎる父親に(親父!)と呼びかけても聞こえないようです、それどころか私の存在自体も見えていないようです。父親の後を付いていくと、目的の参拝所に付いたのか持ってきたお酒をおもむろに供えると手を合わせ、何か願い事をしています、何故かは判りませんが、その願い事が聞こえるのです(息子をよろしくお願いします)と何故か涙が止まりませんでした。

 

 私は戒壇巡りを時おり利用します、胸のもやもやが取れなかったり、スッキリしたい時に、お寺の本堂の地下に巡らされた真っ暗な回廊は、手で壁をなぞっていかないと壁にぶつかってしまいそうです、そこを1人で歩いていくと、少し不安な気持ちもなるのですが、2度目以降は勝っ手知りたる回廊です途中2~3箇所でセレモニーがあり、普通ご本尊の真下の位置にはボワッと明かりが付いたところがあり、そこには小さな仏像が安置されていたりします、ここで手を合わせると自分の守護神が想い浮かぶとも聞いたことがあります、真っ暗で何も見えない回廊を行くとごく稀にですが誰かとすれ違う気配を感じます、光は感じませんが無音ではありません、上の本堂の床を誰かが行き違っているのかもしれませんが、お化け屋敷じゃないので誰かが潜んでいることも考えられません、でも気配はすぐ横を過ぎていきます・・・

 

 父親がお参りする夢を見た後、生きている人が先祖を偲んでお墓参りや仏壇の前で手を合わす時、同時にあの世の先祖もそんな場所に出向き子孫を偲んで手を合わせているのかな?こころとこころがそこで出会えるのかな?と思ったりします。ただ神社仏閣にお参りに行ったり、お墓参りしたりする事は確かにこころが晴れスッキリして気持ちの良い事だとは言えます。