ささやかな幸せでもこのままずっと続いてくれたらと誰でも望むものです。でも何故かそうはいかない。人生の未来側からは紆余曲折様々な変化が舞い込んできます。ある時は病が、ある時は事故、またある時は天変地異、はたまた人災、勿論時たま善い事も起こります。
この世の生きとし生けるものは自分が生きていく為の術を持っています、生きていく為に学びます、子供ライオンは狩りの方策を見て、真似て、失敗して学びます。そして独り立ち出来るようになると、雄ライオンなら群から離れることを余儀なくされます。テリトリーの獲物は無尽蔵ではないのです。群から離れれて新天地を求めても何の保証もありません。新天地には既に別の雄ライオンのハーレム(プライド)が在るのです。
自分のテリトリーとハーレム(プライド)を持つ為には、とにかく自力で獲物を確保し生き残ることが初めの条件です、一緒に群を出た兄弟とタッグを組み有利に生き残ることも在るようです。死肉に食らいついたり、ハイエナの獲物を横取りしたり、逆襲されて殺されることもあります。しかもそこは別の雄ライオンのテリトリーです。テリトリーを侵す若い雄ライオンは群で撃退された上、最終的にハーレム(プライド)の主との戦いになり、その主がパワフルなら大怪我をしたり最悪殺されます。
大自然の過酷な生存競争を生き抜き、運よく大きな負傷も無く修羅場を潜り抜けてきた若い雄ライオンだけにチャンスが巡って来ます。別のハーレム(プライド)の主が全盛期を越えていたり、度重なる戦いで負傷していた場合、勢いのある若い雄ライオンが戦いに勝利すればハーレム(プライド)に君臨することができます、そんな場合、新しい主による元主の遺伝子に対する粛清の嵐が吹きます。母ライオンは我が子を守ろうとしますが、抵抗は無駄な結果終わり、最悪母子共に殺されてしまうそうです。
これは元主の子が憎いとかどうとかの問題ではなく、雌ライオンが子供を妊娠していたり、育児中の場合、雄ライオンを受け入れない習性がありハーレム(プライド)の雌ライオンたちに
自分を受け入れさせる為の行動だそうです。結果としてそのハーレム(プライド)に新しく生まれてくる命の遺伝子は新旧入れ替わることになます。
獅子は我が子を千尋の谷に突き落とし、這い上がって来た子供だけ育てるという話があります、これはライオンの子供に対する究極の教育方法だと解説されますが、確かに人間の立場に替えると意味がありそうにも思えますが、実際の彼らが置かれている大自然ではそんな理屈は通りません。谷に突き落とされ運よく自力で這い上がって来た若い雄ライオンは真っ先に親ライオンを殺しそのハーレム(プライド)を自分のものにするのです。
ライオン以外の生物でも住んでいる場所や生きていく方策に違いはあっても生存競争に勝ち残ると言うことには似たような厳しさが付き纏います。負ければ淘汰され消えてゆきます。
アフリカゾウの雄は雄同士の力比べの為、大きな牙を持つ雄が競争に勝ち残りました、しかし近年大きく立派な牙を持つゾウがいなくなっています。象牙商人の密猟で大きく立派な牙を持つゾウが狙い打ちに合い、象牙を採る為に大自然が残した大きく立派な牙の遺伝子が淘汰されてしまいました。人間が勝ち組の条件を負け組みの条件に入れ替えたのです。
人間は大自然の秩序を乱します。昔からの勝ち組は未だに勝ち組が多いです勝ち組は自然のサイクルに逆らい自分たちの保身に力を注ぎます、勝ち組になるパワーと勝ち組を維持する方策は異なります、ジンギスカンは最速の機動力を誇る騎馬軍団で一大帝国を築き支配しました、しかし孫のフビライはその帝国を治めるため馬から降りました。馬上で収めるには世界は広すぎたのです。今の尺度で考えても何時間も時差のある国土の管理は始皇帝以降培われてきた法治に倣う外、術はありませんでした。
角栄さんは未だに人気のある総理大臣経験者です。新潟の貧しい農家に生まれ、好きな食べ物は鮭の頭とかいって大変庶民的なところがある方でした、一代で立身出世した苦労人ですが日本列島改造論なるオリジナルの方策も打ち出して一部実践した人でもありました。彼が勝ち組になった過程は土地転がしだったそうです、法整備が進んでいなかった時代にしこたま土地転がしで儲け自分が為政者になったとき土地転がしを出来なくしたそうです。地方の地価が上がってしまうと自らの列島改造論の妨げになるというデメリットも十分理解して転がしていたのでしょう。まるでタイヤの修理屋が自らあちこちパンクさせて廻るような勝ち組のお手本のような話です。
新しい時代は新しい勝ち組も生んでいます。孫さんの行動力と発想力は自分でいう脳みそちぎれるぐらい考えることを習慣とし勝ち続けている人だけが為し得るのでしょうが、天才的としか思えません、いずれは孫さんが馬から降りる時が来るでしょうが恐らく目が黒い間は挑戦し続けることでしょう、精力も強そうだし、弱気になったら淘汰されてしまいそうだし、何時足をすくわれるか、虎視眈々と狙う人も半端無い世界レベルでしょうし。
短時間で物質を集める巨星は太陽の何十倍何百倍にも成長するがその寿命は太陽の何十分の一や何百分の一しか無いそうです、遠からず超新星となり爆発し、中性子星になったり、宇宙空間に物質を撒き散らし新しい星の誕生の原料になったり、ブラックホールとなり永遠と物質を吸い込むだけの存在になったりします。これらは望みとか意志とかとは無縁で大宇宙のどこで生まれたか、どの方向に進んだかとかの偶然の重なり合いで決定される必然なのです、たまたま沢山集めることが出来たら勝ち組で集めすぎると寿命が短い負組みとなるのです。勿論そのどちらかに向かう過程の状態もありますが・・・