今丁度新学期というか
いじめがテーマの漫画を読んで

ふと、中学の頃を思い出した




中学で入った部活でいじめが流行った

一番最初が彼女だったか、もう一人だったか忘れたけれど

いじめが始まってしまった


何か隠したりとかするわけではなく

キツい言葉をかけたり

鋭い視線を投げたり

相手にしなかったり

そんないじめだった



一人目のAがいじめられて

私は小1の頃に近所の子に意地悪された過去もあって

いじめる側には絶対に回らないと決めていたし

「皆がいじめてる中、庇ってたらかっこよくない?」

「いじめに加担しない私、かっこよくない?」

「いじめ、クソダサくない?」

の精神でいたので

いじめが始まったその日からずーーーーっとAと一緒にいた


どれだけ周りが冷たくしようと

どれだけ周りが相手にしなかろうと

絶対に加担せずにそばにいた


帰りも一緒に帰ったし、遊びもした

お喋りも沢山して、部活も一緒に頑張った

いじめる側とも仲良くしてたから

特別私の生活に変わりはなかった




そしたら今度はBがいじめられて


それならAと3人でいたらいいよと思ったけど

人間そんなに甘くないらしく

Aはいじめる側に回ってしまった


だから今度はBとずっと一緒にいることになった


いじめる側の人間には何も言えなくて

ただ一緒にいるだけ

お喋りして、一緒に片付けて、味方でいられたのかもわからないけど

仲良くしてた




そしたら今度またいじめがAに戻って

今度は3人かな?と思ったらまたBはいじめる側に回ってしまった


ああ、そうか

復讐してるんだ、と思った

馬鹿だなぁ、痛みがわかるなら一緒にいたらいいのに、と

本気で思ってた



そしたらまたBがいじめられて

今度はもう、2人だなぁと思った


人間、何で同じことを繰り返すんだろうかと

馬鹿だなぁこの子たち

ほんとバカ


これが先生とかにバレた時に

あとから後悔するに決まっているのに

いじめをするとか

馬鹿だなぁ、と

思いながらいじめる側ともられる側とも仲良くしてた




ある日

練習試合の日


汚い話だけれど

腹痛が酷くて下着を汚した


どうにもならなくて

でも替えの下着なんてあるわけないから

ナプキンするしかない、と思い

Bに「ごめん、生理来ちゃったからカバンからナプキン取ってきてもらえないかな…」と伝えた


そしたら一言

「はぁ?そんなの自分で取っておいでよ」

「何で私が取ってこなきゃいけないの」


キツい口調で断られた


けれど下着はもう見るも無惨で


「ごめん、ホントに履けないくらいだから申し訳ないけど取ってきてくれないかな」

「ホントにホントに、ごめん。お願いします」


そしたら怒りながら取ってきてくれて

「ちゃんと自分でやりなよね」

とまたキツい口調で返された




そこでわかった

あ、今度は私だ


復習してたんじゃなかったんだ

いじめられる側に回りたくないから行くんだ

それが、いじめてる側たちに気が付かれないような場所であっても

私に順番が回ってきたから

いじめられてる子のそばにいてあげる私がいじめられるわけだから

私は今日から一人か




ただ無視されて

冷たい言葉をかけられて

鋭い視線で黙らされる


いつか終わるから

また誰かに回るから

そしたらまた、その子と一緒にいて過ごせばいいから

今だけだから、と

思ったけれど

それが永遠に感じて




また別の練習試合の日

色んな子の親が車を出し合って練習試合の学校へ行くことになった

乗せてく親たちはもう決まっていた

試合後1年生は自分の中学に戻って体育館の床のライン貼り替えをする予定になっていた


朝は駅から先生が送迎して

帰りは親たちに


先輩たちはもう早々に帰っていて

1年生の私たちは片付けで残って

済んで




乗る車がない



携帯なんて持っていない

公衆電話なんてどこにあるかわからない

今いる学校の場所もよくわからない


誰もが口を揃えて言う

「あっちに乗せてもらえば?」

「先生の車で行きなよ」

「先生の車どこかなぁって?知らんよ」

「自分でなんとかしなよ」



ぽつん と

グランドと校舎の間のコンクリートで佇んで

皆帰ってしまった



乗る車がない

帰れない


親は私がいじめられるのなんて知らない

迎えに来て、って、今からなんとか連絡しても間に合わない

床の貼り替えに間に合わなかったら顧問に叱られる

どうしよう、ここがどこだかもわからない

帰れない


そう思って頭が真っ白で、泣きそうになって

困っていると

Cが「何してるの?」と


乗る車がないと言うと

「じゃあうちの車乗ってきなよ」

「私一人だし」

と声をかけてきた



その時は今思い出しても不思議なくらいいつも通りで

冷たい視線もキツイ言葉もなかった

今思えば彼女はきっと、いじめに乗り気じゃなかったんだろう


すぐ車に乗せてくれて

その子の母親とその子が話をしているのを聞いて一緒に笑った

それが楽しくて楽しくて


コンビニでその子のお母さんがおにぎりを買ってくれた

一緒に食べて笑って

何回も何回も頭を下げてお礼を言った


「もう帰れないかと思った」と呟いた私に

「大丈夫だよ」と彼女が笑った

あの瞬間だけは心が落ち着いたのを覚えてる




それから暫くして

私は怪我をして

いじめも終わらなくて

9月頃に休部するという形で部活を辞めた


成績が下がったら部活を辞めると話をしていた

順位が少し落ちたから、辞めるチャンスだと思った

家に帰って買い物に出かけている母にすぐ電話した

少し待てば帰ってくるのに、電話した


「成績が下がったからやめる」と話をしたら

「馬鹿言うな、いじめられてるわけでもないんだから続けなさい」と叱られた

そこで黙ってしまって

「すぐ辞めるなんてだめ、ちゃんと続けな」と続いて

そこからもう無理で、泣きながら「あんなのいじめと一緒じゃん!!」と初めて伝えたら

その後自分が何を喋ったかなんて覚えてないけど

母はすぐに「部活辞めな」と言った



すぐに母は学校に連絡して

担任と私と母で話をしてくれた

担任は男子の部活の顧問だったから違和感には気が付いていたらしい

「顧問は3年生の担任で、部活に顔を出す機会も少ないから気がついていないんだろう」と言っていたことは覚えている


担任から顧問に話が行って

その後顧問とも話をしたけどあまり覚えていない

「お前は背が高くて上手いから、またいつでも戻ってこい」と言われたことだけ覚えている

あとから母は「気が付かなくてごめんと言っていたけど、」と話してくれたが覚えていなかった

それくらいには下を向いて暗い気持ちで面談した




暫くして

廊下でいきなり部活の子たちに囲まれた

それも全員に

練習試合だったか一年生大会でボロ負けした部活の子たち

大会開催当初から毎年優勝していたのにドベをキメた部活の子たち

その大会がこの囲まれたあとだったか前だったか忘れたけれど、大敗をきした訳で

それくらいチームの力が落ちて



「輝羽!いつ部活戻ってくるの?!」

「輝羽がいないと試合にならないんだよ!」

「先輩も先生も「輝羽がいれば」って」

「私達、いつでも待ってるからさ!」



今でも覚えてる

渡り廊下の、私達のクラスがある校舎側に近いところ

灰色の床で、薄暗くて


あんなに冷たくしてた子たちが私に笑顔を向けてくれている

もう、いじめられてないんだ、と思った


部活をしていたそのスポーツは本当に大好きになったから

本当はやりたかったから

戻ろうかな、なんて

怪我治ったら、またやれるかな、なんて


思ってふと奥を見たら

一人だけ下を向いて、暗い顔をしている

ピクリとも笑わず、青白い暗い顔で

ただ俯いてジッとしている



あ、あの子が順番なんだ



とっさに「まだ怪我治ってないから治ったら考えるよ」と断れば

「早く治してね!」

「待ってるからね!」

と手を振って職員室の方へ向かって歩いていった

新しく順番の来たDは少し後ろを歩いていった



家に帰ってその話をして

「部活、戻らないとかな」と呟いた私に母は

「絶対に戻らなくていい」

「そんな自分勝手な話ムカつく」

「怪我はもちろんあったけど、誰のせいで辞めたと思ってんの」

「絶対に戻らなくていい」とキレた

ちょっと怖かった




その数日後くらいにDからメールが来た


「輝羽ごめん」

「謝って許してもらえることじゃないけど」

「本当にごめん」

「お願い、早く部活戻ってきて」


やっぱり順番が回ってきていた

何も知らない顔して「どうしたの?」と返事をすれば、「いじめられている」と


Dはきっと、私が絶対にいじめをしないとわかっていたから

連絡きてきたんだろうなと思った

「この間皆で来てくれたときに何となく気がついてた、ごめん」と返信した

暫く話しして、時折それからメールをするようになった




それからまた暫く


たまたま近所の幼馴染の家に遊びに行っていた時

そのお母さんに「ちょっと聞きたいんだけど」と声をかけられた

「部活でいじめとか、ある?」と


Cに順番が回ってきていた


Cと幼馴染は同じ習い事をしていて

習い事先で笑顔が消えたからおかしい、と

私に話を聞きに来てくれた

全部話して納得した様子で

その後どうなったかは知らない




2年生に上がって

いじめの主犯だった子に順番が回ってきた


それから仲直りして、いじめがぐるぐる回るのが終わった



3年生の公立高校一般入試の日

3月11日

推薦で学校の決まっていた私は

これまた推薦で学校の決まっていたAに遊ぼうと誘われた


「ずっと輝羽に謝りたかった」

「本当に酷いことをした」

「私も自分がかわいいから、加担してしまった」

「ごめんね」


とストレートに謝られた

今思えば何でいじめをしてきた子に誘われて遊んだんだろうと

自分の能天気さに笑えるけれど

謝ってくれたし

「いいんだよ、過ぎたことだし」

「もう気にしてないよ」と笑い飛ばした

Aはホッとしたような顔をしていた


「引退試合の時ね」

「負けて引退するわけじゃん」

「顧問がさ」

「輝羽がいれば、もっといいチームだったのにって」

「最後の最後まで言ってたよ」

と教えてくれた


私はそれが嬉しかったんだけども

母は「いや、お前がもっと早く気が付いてれば輝羽が部活を辞めることも無かったんだから」

「輝羽がいれば、じゃないんだよ」

とキレてた

ちょっと怖かった




中学3年の時

〇〇ちゃんがいじめられてるらしいと話をきいた時

いじめてる側が仲のいい子だと知った

ホントかどうかもわからなかったし

別の部活だったので耳に挟む程度だった


その子と一緒に帰っていたら

「今、〇〇いじめてるんだよね〜」

「何で今日も部活にいるのかな〜?って大きい声で言ってさ」

「マジキモいんだよね」

と楽しそうにキツイ顔をして笑った


いじめられたバネがあったから

あの時、いじめられる側のそばにいるだけでいじめる側に何も言えなかったから

あれは良くなかったんだ、とバネがあったから


「お前そんなダサいことすんな」

「やめとけ」

「いじめなんてして、進路パァになったらどうするん」

「ダサいからやめとけって」

と声をかけた


進路パァとかどうでもよくて

いじめが無くなればそれで良かったから

学歴とか気にするタイプの親だって知ってたし

本人もエリートみたいなことを誇りに思ってたから

「経歴に傷つくぞ」と脅した


「でも、ムカつくんだもん」

「いるだけで無理」


と返ってきた

だけどそんなのは許せなくて


「だから、ダサいんだって」

「やめとけ」

「つまんないことすんな」

「嫌いなら視界に入れずに話しかけなきゃいいやん」

「向こうだって、話しかけてこないよ」

「ダサいからやめな」



そしたらもう

心底面白くない顔をして、「わかった」と暗い顔をした

きっと「面白い!」と私が笑うと思ったんだろうけど

「ダサい」と言い続けた


その翌週くらいにたまたま一人で帰ってるところに遭遇して

「〇〇!」と呼んだら振り返ってくれて

小3の時に仲良かったし、時々話ししてたから

向こうも満面の笑みで話ししてくれて


「部活、楽しい?」と聞いたら曖昧に笑った

「ちょっと聞いたけど、何かあったら言いなね」

「私は絶対に〇〇の味方だから」

「部活、辞めてもいいし」

「アイツにも言ってやるから」

「だから、死んだりとか、なしね」

「絶対絶対、私が味方になるから」


彼女は笑って帰っていったけど、その後会っていないから

私はその後、いじめがどうなったかも、彼女がどうなったかも知らない



そのいじめてた子は

私がいた部活の先輩を「お姉ちゃん」と慕ってて

その伝で母がいじめてた子の母から聞いた話があって

「輝羽がいじめられてるの、知ってたらしいよ」

「大丈夫かなって、心配してくれてたんだって」


そういえば一度だけ、ポツンと立ってる私に声を掛けてくれて

「怪我で練習できないなら雑用変わってきなよ」と指示をくれて

雑用変わり行ったら案の定同級生に断られて

とぼとぼ戻ったらどうしたの?とまた声をかけてくれて

「怪我人は何もすんなってこと?!へー!!凄いね!!」と聞こえるように言ってくれたことがあった


まあでも 1年と2年も仲悪くて

2年生から1年生もいじめられてたから

心配してたんなら助けてほしかったしいじめんな?!と思ったけども




高校三年生で

部活でやってたスポーツが選択肢に入っていた

二学期も三学期もそれを選んだ

そのスポーツが大好きだったから


三学期

いじめの主犯がそのスポーツを選んで授業が一緒になった


「輝羽いるじゃん!!」

「また一緒にこのスポーツやれるんだ!!」

「めっっっちゃ嬉しい!!」

「また一緒にやれるね!!」


もうびっくりするくらいのキレイな笑顔で喜んでて


え、えぇーーーー…………


あまりのキマりっぷりに呆れてしまって

「そうね、よろしく」だったか何だったか

何とか言葉を絞り出して

「わぁー、なかった事になってらァ…」と思ってたら


高校で同じ部活の同級生が

彼女が去った後だったか

あまりに衝撃だったから同級生に話したからだったか

彼女のいないところで一言




「マジでキモい!!!!」




大爆笑




「どのツラ提げて輝羽にそれ言う?!」

「ヤバくない?!アイツ!!」


私は呆れてしまっていたけれど、こんなに怒ってくれる友達、私にいるんだ…

え、恵まれてるぅ…



そんなことを思ったのを思い出す

意外とポジティブな私

可愛いねぇ




私は嫌な子がいたら

皆でまとまって無視するとかはしないし

自分が嫌なら話しかけなきゃいい

関わらなきゃいいと思って生きてきた


嫌な子でも話しかけられたら返すし

助け求められたら手を貸してたし

人が良すぎると怒られることもあったけど

そうやって過ごしてるけど


けど

私が相手を傷つけていることなんてザラにあるだろうし


口も態度も悪かったから

嫌な気持ちになった子、沢山いただろうなぁと思う




そんな事を思い出しながら

自分の子供がいじめる側に回ったらどうしようと

とても心配



まあ自分の子供どころこ結婚もしていないし

予定もないので心配するだけ無駄なんですけどね