落ち続ける娘の成績が、親子のステータスを脅かす。どうしようもないと判断した母は、社会的地位を保つため、非常に極端な手段を取ることを決意する。

最終話…。こう来ましたか…。
↑の簡単なあらすじでは、ほとんど意味不明なのですが、近未来のお話です。現在より医療も科学も目覚ましく発達し、教育・社会制度も現在とは全く違った状況での親子関係のお話。いや…親子関係と言えるかな?子供の方はクローンだから。
クローンものは…映画でも、ドラマでも、カズオ・イシグロの「私を離さないで」を筆頭に、見終わった後の感じが何だかとても薄ら寒いです。最近見た映画だとEVAとか、愛を複製する女とか…。
このドラマの社会では、国の政策として、母親はクローンの子の胎芽を産み育て、子供達は、定期的に資格試験を受ける。その成績によって、職業や住居が割り振られるという仕組み。成績優秀な親子は、超高級マンションで優雅な生活、そうでない親子はスラム街で貧乏生活。更に、成績が20点以下の子供は…何と!抹消処分!子供の成績を上げられなかった親も責任を問われる。
でも、一つ抜け道が…。もともと与えられたクローンの胎芽に欠陥があったら?子供クローンは抹消処分となりますが、親は責任を問われず、新しい胎芽がもらえる。「初期不良の場合は無償で交換させていただきます。」ってことか。
主人公の少女は、もうすぐ資格試験だと言うのに、母や家庭教師の必死のサポートにも関わらず、どんなに頑張っても成績は落ちて行く一方。そこで母は、自分の面子やステータスを守るため、少女にADHD(注意欠陥・多動性障害)のフリをさせる。少女は単純に「資格試験は回避できるし、病気だったら治療してもらえばOK」と思って従うけど、実はそんなもんじゃない…。
このドラマだけでなく、クローンの物語のテーマはどれも、「そこに愛はあるのか?」「それは本当の愛ですか?」って事ですね。そして、愛があってもなくても、結局悲しく切ないラストを迎えるのがお決まりパターン。
このドラマシリーズ、全5話。いろんな親子問題が描かれてきましたが、最終話は、「未来社会への警鐘」って形で締めくくられましたね。こんな風に親が子への愛を見失ってしまうような社会にしてはいけないって…。