2006年 ドイツ・フランス・スペイン
18世紀のパリ、悪臭のたちこめる魚市場で産み落とされたジャン=バティスト・グルヌイユ(ベン・ウィショー)。驚異的な嗅覚を持つがゆえに、奇怪な青年として周囲に疎まれている彼は、ある晩、芳しい香りの少女に夢中になり、誤って殺してしまう。その後、彼は少女の香りを求めて調香師になり、香水作りに没頭するが……。

タイトル「パフューム」から想像して、貴族の優雅な生活とか、そういうのが描かれている映画かな?それとも、調香師って職業の舞台裏を描いた映画?…なら、サブタイトルの「ある人殺しの物語」って何だ?初めから「⁇」疑問符を頭に点滅させたまま見はじめました。

冒頭から、主人公の青年が処刑場に引き立てられて行くシーン。処刑場の広場では民衆が怒り狂っていて、裁判官(?)が読み上げる判決文は「この犯人を十字架に縛りつけ、鉄の棒で12回滅多打ち、全身の骨や関節を打ち砕いた後、まだ息のあるうちに縛り首に処す」って…。聞いているだけでも忍びない、どんだけ酷い刑なんだよ!でも、民衆の怒り様からして、この青年の犯した罪はそれに値するほどのものだったに違いないのだろうし…。
あれこれ思っているうちに、舞台はパリの貧民街に変わって、時間を遡り、この青年の生い立ちから物語が始まる。不幸な出生、孤児生活、皮なめし職人(ほぼ奴隷)…色々あって、類稀なる嗅覚を生かして調香師に…と話は進むんだけど、私はずっと冒頭のシーンに囚われていて、「ちょっと、あんた!これから、何をしでかすつもりなのよ!!」と、ハラハラしっぱなし。
中盤以降になって、青年は「そりゃ…民衆も怒り狂うわな。」と納得するようなどエライ事を次々とやらかしてくれて、ここでもドキドキは止まらず。そして、冒頭シーンに戻る。
ところが…一件落着、ここで終わりと思いきや、「え〜!本当にこれでいいのか?」って展開になって…更に、衝撃のラスト。

思いのほか、ダークなお話でしたが、見ている人の気持ちのつかみかた、引きずりかたがうまいなぁ…と思える映画でしたよ。