昨日収めさせて頂いたお客様

当店に来られる前に、他店で象牙の法人印の説明を受けられたのですが、素材のお話ばかりで、どんな印面、どういうデザインになるかのお話を聞いても、「まかしとき、一流の職人に彫らせるから・・・」としか説明がない・・・３０万円や５０万円の象牙の素材を見せてもらい勉強にはなったが、「はて？自分の会社の印面はどんなデザインになるかわからない・・・」

そういう事象は、このお客様だけでなく、ずーっと印章小売店がたどってきた商売のやり方であったと思います。

棒を売る

技術は二の次・・・

仕上がった印影をお見せすると、「いろんなところに押したいけれど、そうもいかないし、次に出番はいつくるのだろうか・・・」とおっしゃっておられました。

これから益々押印機会が減って来ます。

勿論ゼロではないけれど・・・

私が「印章と美」の世界に出会ったのは、３５年ほど前になります。

その美を目指して鍛錬を続けてきましたが、上手く彫れることではなく、押して美しい印影になること、その美を探求してきました。

その美を遺したい。

自分の技術を遺したい。

自分の技術は自分でしか表現できないし、実用印章の美というように括れない、ひとつにできない、職人個々の美であります。

何かの組織に入っているとか

資格を持っているとか

ではなく、

印面にどのようなデザインを表現できるのか

そのデザインは、先人の技とつながっているのか

独りよがりやパソコン機能をつかったものではないか

そういう技術を見せることが大切です。

こういう時こそ・・・

いや、こうなった以上

これをチャンスと捉え直して、自らの技術を社会に投げかけてみよう！

この五月の個展の案内を『月刊文具』が掲載して頂きました。

https://exhibition.mitamura-inshouten.com/

”こういう時こそ、技術を意識しよう！”