前の職場の責任者が

「子供を可愛いと思ったことが無い」 

と言うのを聞いてハッとする自分がいました。 

自分の子育てに対する気持ちはどうだったのだろうと、自身を振り返るきっかけとなったのです。

一人一人を自活出来るようにせねばという、その責任感はとにかくあったと思います。

そして我が子を非難したり軽くあしらったりする輩には結構きつく対応もしました、高校を卒業するまでは髪も染めさせませんしピアスも開けさせません。

しかし高校を卒業して自分の給料で生活するようになったら何をしようが、とやかく言うことはありません。 


一社会人として対等だと思っています。


そして末っ子が社会に出た時に本当にホッとして、神様なのか仏様なのか解りませんが心から感謝しました。

「ここまで健康で親をさせて貰って本当に有り難い」 

そう思うと同時に自分の存在意義が無くなったとも感じました、明日事故で亡くなろうとも後悔はないぐらいに………

しかし姉娘宅に居候するようになり御飯をつくって婿殿の弁当をつくって、洗濯を担当し少しだけ掃除もしたりする生活となりました。

それでも食材を購入するお金も自分の飲む炭酸水とコーヒーも、姉娘か婿殿の給料から出して貰うことに

「親としてどうなんだろう」

と思うようになりました。


まだ自分の中に親だという気持ちが残っていたのです。  


せめて部屋代ぐらいは渡さなければと仕事を探しました、還暦直前の自分を雇ってくれるところはなかなか見つからず働くまでに結構時間がかかりました。

しかも自分という人間が偏屈なので職場でも問題を起こすわけです、今の職場も次の人が見つかるまでと十日間だけ無休で出勤し辞めることが決定しています。

息子や娘には致し方無いと受け止められるような説明をしましたが、結局自分は辛抱が出来ない人間なんでしょうね。


自分の父親と母親に本当に申し訳ないと思います。


貴方がたの息子はこの歳になっても、まだまだどうしようもない人間です。

あんなに真面目な父親に育てられながら、あんなに逞しい母親に育てて貰ってこの体たらくです。


誰のせいでもなく我が人生は我のものだと、割り切って生きて行くしかありません。

自分はどうしようもない人間だということを噛み締めながら……