我が家は絵本を買ってくれるなんてことのない家庭だったので、字を読めるようになってから漫画にもはまりましたが綺麗な絵本を持っている友達も羨ましかったですね。
覚えているのは新美南吉さんの
"手袋を買いに"
とか
"ごんぎつね"
です。
どちらの作品も優しさに溢れた作品ですが、決して無責任にではないのです。
手袋を買いにお母さん狐と町まで行きますが人間は恐ろしいと知っているお母さん狐は、お店には子狐だけで向かわせます。
片方の手だけ人間の子供の手に化けさせて、こっちの手だけ戸から出して
「"手袋ちょうだい"って言うのよ」
と言い聞かせるのです。
しかし緊張する子狐は間違って反対の手を出してしまいます。
店主は
「狐か、ではお金も木の葉かな」
と先にお金を要求して受け取ったコインを確認すると、カチカチと響きどうやら本物のようです。
そして無事に子供用の手袋を渡すのです。
そのあと子狐が店の横を通ると子守唄を歌いながら子供を寝かしつける人間のお母さんの声が聞こえて
「なんて優しい声なんだろう」
と気を惹かれるのです。
読んだことのない方は、大人になってからでも是非読んで頂きたいのです。
新美南吉さんは二十代で亡くなっています。
この時代の二十代の早熟なことに驚きますよね…
その若さでこんなにも深い世界を創造するなんて、そんな若者で溢れていた時代のこの国はさぞ頼もしかったことでしょう。
働くようになりお給料を頂いてから、新美南吉さんの絵本を買ってひどく満足したことを覚えています。