普段の食事は姉娘が食材を買って来てくれて、それを見て自分がつくるという流れです。

たまに姉娘との思惑の違いがあることも、もちろんあるので買い物後に

「今日は◯◯にして貰おうと思って」

と御指定を受ける時もあります。


たまにカブを買って来てくれることもあるのですが、その時は付け根から切り落とした葉を乾燥させておきます。 

カラカラになったらしっかり茹でてみじん切りにしたら、丸く握って冷凍するわけです。

そして少しいいお豆腐を買って来て冷凍します。

安いお豆腐だと大豆をあまり使わずにがりで固めただけですから、凍らせると中に氷だけの部分が出来てしまいます。

この凍り豆腐とカブの葉(干菜)の味噌汁が、子供の頃から冬場にのんでいる言わばソールフードなのです。


我が郷土は東北の山村ですが冬は半年雪がありますので、これに限らずその間の保存食各種は山のようにつくってありました。

タクワンを漬ける樽は中に人が入って洗える程の大きさでしたし、白菜なんかでも20玉30玉漬けてました。


そして干菜も一回分ずつ丸く冷凍して、きっとかなりの数を保存していたのだと思います。


しかし、それは自分の中でのソールフードであって……

果たして現代娘の口にはどうかと思いましたが

「優しい味だ」

と案外好評でした。

口に合わなくても仕方ないところですが真っ向から否定されるよりは、こちらとしてはかなり気分が良いわけです。

それで調子にのって姉娘婿殿が帰って来たら振る舞ってみようということになり、しっかり前説もして出してみました。

「これは俺にとっては子供の頃から食べている、いわゆるソールフードなんだよ」

と言ったら姉娘婿殿が

「ソウル?義父さんルーツは韓国なんですか?」

なんて、素っ頓狂な返答がかえって来ました。

もやもやっとしましたが、汁の評判は悪くなくホッとしました。

これは一度やってみて下さいとか、そういうことではなくただの呟きです。


食は文化ですから馴染みのないものは、なかなか受け付けませんからね。