途中からなので
下記☟
”これまで”を
お読み頂けたら
嬉しいです
はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説
☟前回文末部分
「んじゃあ、俺たちも帰ろう」と、矢儀は大きな声で二人に声をかける。
「本当に帰るんですか?」
驚く織田村に「んなわきゃ、ねぇやろ」と小声で呟く。
老女が角を曲がり、姿が見えなくなったところで「よし!」と、矢儀は頷いた。
「んじゃあ、行こうか」
「え? どこへ?……って言うか、帰るんじゃないんですか?」
☝ここまでが前回でした
「口に出さずとも態度に出るんだよ」
矢儀は、隣で騒ぐ織田村を無視して、後方の兼行と向き合った。
「ばあちゃん、やけにおまえのこと見てたな」
瞬間、彫りの深い端正な顔が張り付くように凍る。
「なんでだろうって思った。そしたら――」
矢儀は指先を、擁壁側に立つ兼行に向け、そこから右斜め上にずらす。「ほら!」と声を弾ませた。
「見つけた。上への道」
4
上へ続くもう一つの道も、また、石段だった。
とはいえ、石段の下のほうはすでにない。削られ、コンクリートで土留めされた擁壁の上に、三段ほど見えるだけだ。その先はどうなっているのか。矢儀たちがいる位置からは、見えなかった。
織田村が「あ!本当だ!」とひとりはしゃぐ。矢儀はさっさと踵を返した。
壁面は傾斜が急な上に、コンクリートのため滑りやすい。とてもじゃないが、登るのは無理だ。となると、擁壁がないところを探すしかない。
矢儀は、ずんずんと坂道を上って行く。と、ちょうど道が左へ大きく曲がるあたりで、コンクリートの土留めは切れていた。
「よし!この辺は登りやすそうだ」
〜続く〜