途中からなので
下記☟
”これまで”を
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嬉しいです
はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説
☟前回文末部分
「ただ、結局、本人は自殺してしもうて、真相はわからんままよ」
「え、自殺?」
矢儀と織田村の声が揃った。矢儀が慌てて問う。
「フジヨシさんは、すでに亡くなっているのですか!?」
「転落事故の一ヶ月後くらいじゃったかの。最近様子がおかしいっちゅうて、志乃さんが見に行ったらしいんよ。ほしたら、家の欄間に紐を掛けて、首を吊っちょったらしいわ」
☝ここまでが前回でした
「ちなみに、フジヨシさんは女性ですか? 男性ですか?」
「藤吉秀人言うて、私や志乃さんより、三つ下の男よ」
老女は、やれやれとばかりに肩をすぼめる。
「こう言うちゃあ何じゃけど、やっぱりちょっと変わっちょったよ。とにかく喋らん男で、喋ってもぼそぼそと、何を言うちょるか、ようわからんかったわ。独り身で、仕事もしょっちゅう変えちょったらしいしね。それにどうも他の人が言うには、やっぱり本当におかしかったらしいんよ」
老女は、とんとんと、自分の側頭部を指で叩いて見せた。
「別に私らも、藤吉さんに恨みがあるわけじゃあないんよ。じゃけど、転落事故があった時はもう、上にゃあ志乃さんと藤吉さんしか、おらんかったからね。しかも、事故があった後、自殺されたらねぇ」
なるほど。それで松重志乃が、最後の住人だったわけか。
矢儀は、メモを取りながら、訊いてみる。
「ちなみに、最後の住人となった志乃さんは――」
「あの人は、藤吉さんが自殺した後、しばらくして亡うなったんよ」
質問がくることを察していたか、老女はさっさと答えてくれた。
「もともと、数年前から癌を患っちょったらしいけぇ。じゃけぇ、もう上には誰もおらんのよ。とは言え――」
老女は、言いおくように、矢儀、織田村、そして後方の兼行を睨めつけてきた。
「誰もおらんこうなっても、カミダオはいろいろと因縁めいた土地よ。あんたらも近づかんに限る」
〜続く〜