途中からなので
下記☟
”これまで”を
お読み頂けたら
嬉しいです
はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説
☟前回文末部分
ようやく口を噤んだ老女は、肩を落とし、ふうっと長い息を吐く。
「まぁ結局、志乃さんにはいくらか金を渡して、息子と縁を切らせたんじゃろうねぇ。須藤さんとこの長男は、その後すぐに他から嫁を貰うたんよ」
☝ここまでが前回でした
「じゃけど――」と、老女は何度も頷きながら話を続ける。
「未遠の者は、皆知っちょるけぇねぇ。神子の家の娘が産んだ子供の父親は、須藤さんとこの長男じゃって。もう堕ろせん時期じゃったんかもしれんが、子供は生まれながらに後ろ指をさされる存在で、可哀想じゃああったかねぇ。まぁ――」
一瞬、躊躇いを見せた老女は、亀のように首を突き出して続けた。
「今は当事者が誰もおらんくなったから言えるけど、私が見た上の〝頭がおかしい女の子〟っちゅうのは、実は志乃さんの娘でね。あれも結局、母親と同じ、結婚もせず子供を産んで、しかも産後しばらくして亡うなってねぇ。まぁ、ここだけの話、どうも自殺じゃったらしいんやけどね。当時は上は別世界じゃったから、私らも詳しいことは知らんのやけど。残された子供は志乃さんが面倒をみることになって。あの人は一人で二回、子供を育てたようなもんじゃったよ」
「孫……」と、織田村が隣で呟く。と、いきなり前のめりになり、「男の子、ですか?」と老女に問う。
「いいやぁ、女の子じゃったよ」
唐突に性別を訊かれた老女は、目をぱちくりさせながら答えた。
「志乃さんに似て器量は良かったけど、たしか高校も辞めて、家を出て行ったんよ」
〜続く〜