初めての方はこちらもどうぞ→

 

 

 

 

表紙

 

 

途中からなので

下記☟

”これまで”を

お読み頂けたら

嬉しいですニコニコ気づき

 

 

はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説

ケ・ハレあらすじ

まずは、あらすじから読んでいただけると嬉しいです

 

①ケ・ハレ 序章(神の放物線)

学校内転落事故のゆくえ

②ケ・ハレ 第一章(禁忌の石段)

その石段、通るべからず

 

③ケ・ハレ 第二章(上の秘密)

石段の上の秘密

 

 

 

 

☟前回文末部分

 

「私も一度、(うえ)(もん)がおかしゅうなる瞬間(しゅんかん)を、()()たりにしたんじゃけぇ」

「おばあさんも、実際(じっさい)目撃(もくげき)されたんですか?!」

 織田村が前のめりになって聞き返す。

「ほうよ」と、老女は身体(からだ)全体(ぜんたい)(うなず)いた。

「ホントに、あれらは、急におかしゅうなるんよ」

 矢儀は、ペンを(にぎ)り直し「ちなみに、いつ(ごろ)のことですか?」と、問う。

 老女は俄然(がぜん)はりきって(しゃべ)り出した。

 

☝ここまでが前回でした 

 

 

「ありゃあ、たしか池田(いけだ)のお義母(かあ)さんが()うなった(とし)じゃったから……昭和五十年(だい)(なか)(ごろ)かねぇ。(しゅうとめ)()うなって、(よめ)の私が集会(しゅうかい)に出るようになったんよ」

 ()()は、メモ帳にペンを(はし)らせる中、(すみ)っこに〝池田〟と書き()した。

 話の(なが)れからすると、目の前の老女(ろうじょ)名字(みょうじ)は、おそらく〝池田〟だと思われる。

「そうそう、夏の(あつ)い夜じゃったわ」

 記憶(きおく)(よみがえ)ってきたか。老女は、何度も(うなず)きながら、軽快(けいかい)(しゃべ)り続ける。

「集会のあった帰り道、()(くら)ン中で話声(はなしごえ)がするけぇ、懐中(かいちゅう)電灯(でんとう)を向けたんよ。ほしたら、消防団(しょうぼうだん)建物(たてもの)(かげ)に、若いカップルがおってね。どっちも(うえ)(もん)じゃったわ。小汚(こぎたな)格好(かっこう)で、どっかすれた感じがするけぇ、すぐわかるんよ。それに未遠(みとお)じゃあ考えられんわ。まだ十代の子供が、遅い時間に()()きするなんて――」

 調子(ちょうし)よく(しゃべ)っていた老女は、そこでふと、話し相手(あいて)が中学生と思い出したらしい。

「いや、まぁ」と、幾分(いくぶん)()ずかしそうに、手をひらひらと振って、ひとり()()がる。

「もちろん、私ゃあ、何も見んかった()りをして、通り()ぎようとしたんよ。じゃけど、女の子のほうが、急に(くる)しそうな(うめ)(ごえ)()げ出してねぇ。最初は具合(ぐあい)が悪うなったんかと思うちょったら、急に豹変(ひょうへん)したんよ。雄叫(おたけ)びを()げたり、ケラケラ笑ったり。かと思うたら、いきなり泣き出したり。結局(けっきょく)、相手の男が、女の子を引きずるように連れて帰ったけどね。まーぁ、とにかくたまげたわ」

 老女は、若干(じゃっかん)()がった背中を精一杯(せいいっぱい)()()らせ、(おどろ)いてみせた。

 

 

〜続く〜

 

 


フォローしてね…