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はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説

ケ・ハレあらすじ

まずは、あらすじから読んでいただけると嬉しいです

 

①ケ・ハレ 序章(神の放物線)

学校内転落事故のゆくえ

②ケ・ハレ 第一章(禁忌の石段)

その石段、通るべからず

 

③ケ・ハレ 第二章(上の秘密)

石段の上の秘密

 

 

 

 

 矢儀は、とりあえず自転車を降りた。左側のコンクリート擁壁(ようへき)を、じっくり(なが)める。

 稔( みのる)美紀(みき)の話では、(うえ)へ続く道の入り口は削られ、わからなくなっているらしい。でも、道そのものはあるはずだ。舗装(ほそう)された部分より(うえ)()がれば、入り口は見つかるかも――

矢儀が想像を(めぐ)らした時だった。

 カーブの先から、ひょっこり人が(あらわ)れる。

(☝ここまでが前回) 

 

 

 

 やや背中(せなか)()がった老齢(ろうれい)の女性だった。パーマでボリュームを出した短い(かみ)は、白色とも灰色ともつかない色。年は、八十代か。老女は足を止め、坂の上から胡乱(うろん)()な視線を向けてくる。

「あのー!すみません。ちょっとお聞きしたんですけど」

 ()()は、自転車を路肩(ろかた)に止め、老女の元に()()った。いかにも大昔(おおむかし)を知っていそうな人物(じんぶつ)だ。

「僕たち、()保中(ほじゅう)の、生徒で、郷土史(きょうどし)を、研究(けんきゅう)して、いるんですが――」

 (ゆる)やかな坂道とはいえ、一気(いっき)に駆け上がったせいで、息が切れる。

「ええ? 何て?」

 老女(ろうじょ)は、案外(あんがい)大きな声で聞き返してきた。おそらく耳が遠いのだろう。

「僕たち、仁保中の生徒で、地元(じもと)の歴史を勉強してるんです」

 矢儀は少し大きめの声でゆっくり話す。もちろん、笑顔も忘れない。

間近(まぢか)に見た老女は、目尻(めじり)(しわ)も深く、(ほお)のたるみも目立(めだ)つ。だが、矢儀には、学校で一番かわいいと評判(ひょうばん)の女子より、よほど魅力的(みりょくてき)だった。こんな素敵(すてき)な女性を、ここで(のが)してなるものか。

「ぼくは矢儀と申します。あとの二人は、織田村(おだむら)と……兼行(かねゆき)です」

 織田村は、駆け足で坂を()がって来ていた。一方(いっぽう)、兼行は、あらぬ方向(ほうこう)を見ながら、面倒臭(めんどうくさ)そうに近づいてくる。

 矢儀はさっさと話を戻した。

「それで今、未遠(みとお)の石段について調べていて――」

 老女の眉根(まゆね)がぐっと寄る。

予想(よそう)(どお)りの反応だ。矢儀は、なに()わぬ顔で続けた。

(くだ)ったところに、古い石段がありますよね? 実は昨日、未遠の方から、石段以外に、石段の(うえ)()がる道もあるとお聞きして――」

(うえ)にゃあ、立ち入るもんじゃない」

 深い(しわ)がさらに深くなり、老女の目つきが変わる。

 

 


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