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はじかれ者中学生3人が『禁忌の石段』の謎を解くミステリー小説

ケ・ハレあらすじ

まずは、あらすじから読んでいただけると嬉しいです

 

①ケ・ハレ 序章(神の放物線)

学校内転落事故のゆくえ

②ケ・ハレ 第一章(禁忌の石段)

その石段、通るべからず

 

 

 

 帰り道は(らく)だった。

 高野(たかの)(だい)()りるまでは、ほぼ(くだ)(ざか)だ。

 雨粒(あまつぶ)に顔を(たた)かれながら、自転車を()ばす。

 次から次へと、水滴(すいてき)が目に入ってきた。(ぬぐ)っても(ぬぐ)っても、キリがない。

 最初こそストレスだったが、パンツの中までビチャビチャになる頃には、もうどうでも良くなった。気分は、いっそハイになる。

 後方(こうほう)兼行(かねゆき)織田村(おだむら)も、同じ心境(しんきょう)か。織田村は途中(とちゅう)から、(あた)りを(はばか)らず、狂ったように絶叫(ぜっきょう)していた。

 自転車のオートライトが(たの)もしく思えるほど、周囲(しゅうい)一気(いっき)(くら)くなる。

 時折( ときおり)すれ(ちが)う車のヘッドライトで、強い雨が()っていることがわかった。

 できるなら、このまま家に帰りたい。だが、各自(かくじ)(かばん)部室(ぶしつ)()いたままだ。一度、学校へ(もど)るしかない。

 校舎(こうしゃ)()(おか)(のぼ)り、ほうほうの(てい)で、ようやく正門(せいもん)辿(たど)り着く。

 中央棟(ちゅうおうとう)(わき)支柱(しちゅう)時計(どけい)を見ると、五時三十分。

 校舎(こうしゃ)の一部や体育館(たいいくかん)には、まだ明々(あかあか)()かりがついている。

 ()()兼行(かねゆき)織田村(おだむら)の三人は、東棟(ひがしとう)()(ぐち)で、(くつ)靴下(くつした)()()らかした。(かみ)から、制服(せいふく)から、水滴(すいてき)(したた)り落ちる中、裸足(はだし)二階(にかい)屋上(おくじょう)テラスにある部室(ぶしつ)まで()()がる。

「もう、最悪(さいあく)! (ケツ)(あな)までビチャビチャですよ」

 部室の()かりを()けるなり、織田村が()える。

 わざと下品(げひん)な言葉を使うあたり、かなりご立腹(りっぷく)らしい。

 矢儀は、後輩(こうはい)(いか)りを軽く背中(せなか)()(なが)して、部室(ぶしつ)(おく)()かった。

 スチール(だな)(なら)ぶおよそ十二畳分(じょうぶん)のスペースは、本来(ほんらい)()()禁止(きんし)だ。バレたら、生徒会(せいとかい)から大目玉(おおめだま)()らうだろう。

 だが、今は緊急(きんきゅう)事態(じたい)だ。とにかく、ずぶ()れの身体(からだ)()くタオルがほしい。

 矢儀は、幾分(いくぶん)寒気(さむけ)を感じながら、スチール(だな)を見て回る。

 (さいわ)い、(たな)下段(げだん)に置かれたプラスティック製の(かご)の中に、タオルの山はあった。

 すぐさま(かご)を引っ張り出す。(やま)()みのタオル……らしき(ぬの)を持てるだけ持って、矢儀は部室スペースへ戻った。

「ほらよ」と、兼行と織田村に一枚ずつ()げる。残りは、ひとまず(つくえ)(うえ)()いた。

「僕には、雑巾(ぞうきん)に見えますが……」

 ボロボロの布を(はな)に近づけ、織田村は顔をしかめる。

()けたら、何でもええじゃろ」と言い(かえ)したものの、(たし)かに少し(にお)う。さすがの矢儀も、(かお)(あたま)は、()めておいた。

 もっとも、強者(つわもの)もいる。

 兼行はムスッとしたまま、風呂(ふろ)()がりみたいに、ガシガシと(かお)(かみ)まで()いていた。

 

 


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